就職先に「親が反対」 今どきの企業が「オヤカク」欠かせない理由 2014年4月24日 キャリコネ調査班 ツイート 就活用語に「オヤカク」という新たな言葉が誕生した。4月22日付け日経新聞(電子版)の「我が子の就活をかき乱す過干渉の親たち」によると、内定を出す企業が、学生の親にも連絡を入れて入社の確認をしているという。 親の意思を確認するから、「オヤカク」。記事によると両親に確認することが重要で、母親が承諾の返事をしても、父親が反対して内定辞退を申し入れてくるケースがあるそうだ。 金融業出身の母。製造業に内定得た長男に「愕然」 ネットで「オヤカク」を検索すると、現在はアイヌ語しかヒットしない。しかし、親への確認が行われているのは確かなようだ。2年前に新卒でベンチャー系商社に就職した20代女性のFさんも、会社に「オヤカク」されたと振り返る。 内定後、Fさんが会社で入社関係の書類を書いていると、人事担当者がその場で「親御さんの了承を取りましたか?」と確認。うなずくと自宅に電話し、母親に「株式会社〇〇の人事です。4月から娘さんが弊社で働くことになりました。よろしくお願いします」とあいさつした。このときは、父親への確認はなかったという。 せっかく内定が決まったのに親が反対する、というケースは数年前から囁かれるようになった。2012年1月刊行の常見陽平氏『親は知らない就活の鉄則』にも、せっかく子どもが内定を取ってきたのに、親が「そんな会社は知らない」と言い放つというエピソードが載っている。 ネットのQ&Aサイトにも、同様の例が見られる。ヤフー知恵袋に相談を寄せた女子大生は、憧れの広告業界から内定をもらったが、会社の規模は小さく、給料も安い。親からは「長く勤められない」「生活が苦しいぞ」と反対されているという。 発言小町には「息子の内定を断らせたい」という親側の相談もある。投稿者は金融業界で一般職をしていたころに、総合職の夫と知り合い結婚。現在は専業主婦をしている。長男が「名の通った製造業」から内定をもらったが、息子の内定を辞退させ、なんとか両親と同じ業界で働いて欲しいのだという。 「子どもには算盤(そろばん)や英語やピアノなど沢山の教育を施してきたのに、それが工場で働くということを聞いて愕然としました。私たちがこれまでしてきたことは何だったのだろうと」 「昭和的価値観」とのギャップが最大化している なぜこのような「オヤカク」が必要になっているのだろうか。就活生と接する機会の多いブラック企業アナリストの新田龍氏は、こんな例を耳にしたという。 「親が子どもの内定先をネットで調べ、『ブラック企業』と書かれているのを見て、入社に反対するケースもあるようですね」 こういった不安を解消するためか、「オヤカク」は主に中小企業やベンチャー企業で行われており、電話や手紙だけでなく、役員と人事が親に直接あいさつをしに家庭訪問することもあるのだそうだ。規模の小さな会社の場合、入社辞退が及ぼす影響は大きい。 また、現在は親子の価値観の断絶が大きくなっているという指摘もある。人事コンサルタントの深大寺翔氏は、親の「昭和的価値観」が、子どもの就職先を受け入れることができない面が大きいと指摘する。 「いまの学生の親は、バブル時代に就活を経験した50代が多い。当時は大卒なら比較的楽に大企業に入ることができたので、バブル崩壊後やリーマンショック以降の厳しい就職事情を理解していない人もいる。特に、地方公務員の父親や専業主婦の母親は世の中の変化に疎いので、ギャップが大きいのです」 親はカタカナ社名や新しいビジネスモデルの会社を理解できず「そんなところで定年まで勤められるのか?」と心配する。しかし子どもは、物心ついたころからネットやスマホになじみ、最初の会社を数年で辞めた場合のキャリアプランまで考えていたりする。 企業としては、親の意見に振り回されるような学生は採りたくないが、子どもにとって親は頼りになる社会人の先輩。邪険な扱いもできないのが悩ましいところだ。 あわせて読みたい:アイドルは自分で考えない?
就職先に「親が反対」 今どきの企業が「オヤカク」欠かせない理由
就活用語に「オヤカク」という新たな言葉が誕生した。4月22日付け日経新聞(電子版)の「我が子の就活をかき乱す過干渉の親たち」によると、内定を出す企業が、学生の親にも連絡を入れて入社の確認をしているという。
親の意思を確認するから、「オヤカク」。記事によると両親に確認することが重要で、母親が承諾の返事をしても、父親が反対して内定辞退を申し入れてくるケースがあるそうだ。
金融業出身の母。製造業に内定得た長男に「愕然」
ネットで「オヤカク」を検索すると、現在はアイヌ語しかヒットしない。しかし、親への確認が行われているのは確かなようだ。2年前に新卒でベンチャー系商社に就職した20代女性のFさんも、会社に「オヤカク」されたと振り返る。
内定後、Fさんが会社で入社関係の書類を書いていると、人事担当者がその場で「親御さんの了承を取りましたか?」と確認。うなずくと自宅に電話し、母親に「株式会社〇〇の人事です。4月から娘さんが弊社で働くことになりました。よろしくお願いします」とあいさつした。このときは、父親への確認はなかったという。
せっかく内定が決まったのに親が反対する、というケースは数年前から囁かれるようになった。2012年1月刊行の常見陽平氏『親は知らない就活の鉄則』にも、せっかく子どもが内定を取ってきたのに、親が「そんな会社は知らない」と言い放つというエピソードが載っている。
ネットのQ&Aサイトにも、同様の例が見られる。ヤフー知恵袋に相談を寄せた女子大生は、憧れの広告業界から内定をもらったが、会社の規模は小さく、給料も安い。親からは「長く勤められない」「生活が苦しいぞ」と反対されているという。
発言小町には「息子の内定を断らせたい」という親側の相談もある。投稿者は金融業界で一般職をしていたころに、総合職の夫と知り合い結婚。現在は専業主婦をしている。長男が「名の通った製造業」から内定をもらったが、息子の内定を辞退させ、なんとか両親と同じ業界で働いて欲しいのだという。
「昭和的価値観」とのギャップが最大化している
なぜこのような「オヤカク」が必要になっているのだろうか。就活生と接する機会の多いブラック企業アナリストの新田龍氏は、こんな例を耳にしたという。
こういった不安を解消するためか、「オヤカク」は主に中小企業やベンチャー企業で行われており、電話や手紙だけでなく、役員と人事が親に直接あいさつをしに家庭訪問することもあるのだそうだ。規模の小さな会社の場合、入社辞退が及ぼす影響は大きい。
また、現在は親子の価値観の断絶が大きくなっているという指摘もある。人事コンサルタントの深大寺翔氏は、親の「昭和的価値観」が、子どもの就職先を受け入れることができない面が大きいと指摘する。
親はカタカナ社名や新しいビジネスモデルの会社を理解できず「そんなところで定年まで勤められるのか?」と心配する。しかし子どもは、物心ついたころからネットやスマホになじみ、最初の会社を数年で辞めた場合のキャリアプランまで考えていたりする。
企業としては、親の意見に振り回されるような学生は採りたくないが、子どもにとって親は頼りになる社会人の先輩。邪険な扱いもできないのが悩ましいところだ。
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