それでも「一般事務」がやりたいの? 有効求人倍率0.19倍、IT化で消滅寸前… 2014年7月29日 キャリコネ調査班 ツイート 2014年6月の有効求人倍率は1.10倍で、前月に比べて0.01ポイント上昇。19か月連続の改善で1992年6月(1.10倍)に並ぶ22年ぶりの高水準となった。職業別(常用・フルタイム)では、「保安の職業」が3.94倍、「建設・採掘の職業」が2.78倍、「輸送・機械運転の職業」が1.51倍、介護・飲食など「サービスの職業」が1.50 倍と、上位となっている。 一方で「事務的職業」は0.25倍と低く、中でも「一般事務の職業」は0.19倍。害虫駆除や洗車作業員などが該当する「その他の運搬・包装・清掃等の職業」(0.13倍)に次いで最低レベルの倍率となっている。これほどまで仕事の少ない「一般事務」だが、求職者には依然として人気が非常に高いようだ。 事務志望者ばかりで「派遣の正社員化」も進まず? 7月27日に「はてな匿名ダイアリー」に投稿されたエントリーは、派遣社員に正社員化を打診すると、事務職をやりたがる人ばかりだと嘆いている。 「たまに優秀な派遣の人を正規雇用しようという話になるのだけれど、事務職以外やりたくないって人ばかりで困る」 これまでと同じ単純事務を、正社員としてやりたい人と希望する人が多いが、会社としては許されない。スキルを認めて社員にしようとしているのであって、高いスキルの要らない事務職なら代わりはいくらでもいる。 さらに一般事務の仕事は、スタッフを増やすどころか「むしろシステム投資して積極的に削減していきたい」と考えている部門が多い。結局、派遣社員の正社員化は「大抵は話がまとまらない」という。 実際、一般事務はIT化によって「消えゆく職種」の代表格と見られている。CNNの2012年の記事でも、「郵便職員」や「電話セールス・訪問セールス」などと並び、上位だ。 会社の幹部や専門職が、自分で簡単に事務仕事を片付けられるようになった。そのため、事務アシスタントの仕事の需要が「大幅に減少している」――というのは、ホワイトカラーであれば記事を読まずとも実感していることだろう。 「PC講座でステップアップ」は無駄なのか そのような状況下でも、どうしても一般事務を望む人たちは後をたたない。朝日新聞の7月27日付けの記事にも、事務職で働く50代女性の派遣社員が、正社員になるために職業訓練でパソコンのスキルを磨いている、というケースが紹介されていた。 結局この女性が希望する仕事は見つからず、記事は「つなぎのつもりだった倉庫への派遣は、もう1年以上になった」と同情的だ。しかし仕事がないのは、女性だから、中年だからという以前に、「消えゆく職種」を志望しているからではないのか。 前出の匿名ダイアリーは、「中年の人が事務職希望でステップアップのためにPCの講座に通ってます」という行為の無意味さを強調している。 「どうしてそんなの無駄だって誰も教えてあげないのか、不思議になるくらいの話が多くてもやもや。自分の中で、中途採用で事務職希望する人=馬鹿くらいの感じになりつつある」 大学で「女子のためのライフプラン講座」を行っている作家の白河桃子さんは、7月23日付けのヨミウリオンラインで、「女子学生にはなるべく一般事務職はすすめないようにしています」と明かしている。 「ひたすら一般事務」では就職も転職も難しい その理由は、事務職の募集が減っているので「わざわざ競争率が高いところで戦わなくても」と思うからだ。給料は低めで上がらないし、仕事が減っているので「いったん離職すると転職が難しい」という理由もあげている。 「世の中はますます変わり、子育てしながら働く環境が整備され、誰もが働くのが当たり前になっていくことでしょう。その時、『しまった! もっとお給料がいい仕事に就いておけばよかった』と後悔しないように、長い目で考えてくださいね」 一般事務は「仕事がラク」で「定時に帰りやすい」などの理由で、ひたすら一般事務だけをねらって就職・転職活動をしようとしている人もいる。しかし、こんな状況も冷静に踏まえて希望する職種の幅を拡げておくべきではないだろうか。 あわせて読みたい:ワタミ社長「社員は家族」 最新記事は@kigyo_insiderをフォロー/キャリコネ編集部Facebookに「いいね!」をお願いします
それでも「一般事務」がやりたいの? 有効求人倍率0.19倍、IT化で消滅寸前…
2014年6月の有効求人倍率は1.10倍で、前月に比べて0.01ポイント上昇。19か月連続の改善で1992年6月(1.10倍)に並ぶ22年ぶりの高水準となった。職業別(常用・フルタイム)では、「保安の職業」が3.94倍、「建設・採掘の職業」が2.78倍、「輸送・機械運転の職業」が1.51倍、介護・飲食など「サービスの職業」が1.50 倍と、上位となっている。
一方で「事務的職業」は0.25倍と低く、中でも「一般事務の職業」は0.19倍。害虫駆除や洗車作業員などが該当する「その他の運搬・包装・清掃等の職業」(0.13倍)に次いで最低レベルの倍率となっている。これほどまで仕事の少ない「一般事務」だが、求職者には依然として人気が非常に高いようだ。
事務志望者ばかりで「派遣の正社員化」も進まず?
7月27日に「はてな匿名ダイアリー」に投稿されたエントリーは、派遣社員に正社員化を打診すると、事務職をやりたがる人ばかりだと嘆いている。
これまでと同じ単純事務を、正社員としてやりたい人と希望する人が多いが、会社としては許されない。スキルを認めて社員にしようとしているのであって、高いスキルの要らない事務職なら代わりはいくらでもいる。
さらに一般事務の仕事は、スタッフを増やすどころか「むしろシステム投資して積極的に削減していきたい」と考えている部門が多い。結局、派遣社員の正社員化は「大抵は話がまとまらない」という。
実際、一般事務はIT化によって「消えゆく職種」の代表格と見られている。CNNの2012年の記事でも、「郵便職員」や「電話セールス・訪問セールス」などと並び、上位だ。
会社の幹部や専門職が、自分で簡単に事務仕事を片付けられるようになった。そのため、事務アシスタントの仕事の需要が「大幅に減少している」――というのは、ホワイトカラーであれば記事を読まずとも実感していることだろう。
「PC講座でステップアップ」は無駄なのか
そのような状況下でも、どうしても一般事務を望む人たちは後をたたない。朝日新聞の7月27日付けの記事にも、事務職で働く50代女性の派遣社員が、正社員になるために職業訓練でパソコンのスキルを磨いている、というケースが紹介されていた。
結局この女性が希望する仕事は見つからず、記事は「つなぎのつもりだった倉庫への派遣は、もう1年以上になった」と同情的だ。しかし仕事がないのは、女性だから、中年だからという以前に、「消えゆく職種」を志望しているからではないのか。
前出の匿名ダイアリーは、「中年の人が事務職希望でステップアップのためにPCの講座に通ってます」という行為の無意味さを強調している。
大学で「女子のためのライフプラン講座」を行っている作家の白河桃子さんは、7月23日付けのヨミウリオンラインで、「女子学生にはなるべく一般事務職はすすめないようにしています」と明かしている。
「ひたすら一般事務」では就職も転職も難しい
その理由は、事務職の募集が減っているので「わざわざ競争率が高いところで戦わなくても」と思うからだ。給料は低めで上がらないし、仕事が減っているので「いったん離職すると転職が難しい」という理由もあげている。
一般事務は「仕事がラク」で「定時に帰りやすい」などの理由で、ひたすら一般事務だけをねらって就職・転職活動をしようとしている人もいる。しかし、こんな状況も冷静に踏まえて希望する職種の幅を拡げておくべきではないだろうか。
あわせて読みたい:ワタミ社長「社員は家族」
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