• 学生が選ぶ「彼氏に勤務してほしい会社」「彼女に勤務してほしい会社」ランキング!

     2013年3月卒業予定の大学生・大学院生を対象とした「彼女に勤務していてほしい企業ランキング」「彼氏に勤務していてほしい企業ランキング」をキャリコネでは発表した。ランキングが映し出した来春卒の学生の会社観とは? 企業や就職事情に詳しい、ブラック企業アナリストの新田龍氏が解説する。(※学生が選ぶ「絶対に就職したい・就職したくない企業ランキング」も公開中)

    【彼女に勤務してほしい企業ランキング】 (キャリコネ調べ、回答数:3422人)

    1位:資生堂 2位:ANA(全日本空輸) 3位:三菱東京UFJ銀行 4位:花王 5位:三井住友銀行 6位:ソニー 7位:みずほ銀行 8位:JAL(日本航空) 9位:ワコール、東京海上日動火災保険

    【彼氏に勤務してほしい企業ランキング】 (キャリコネ調べ、回答数:1105人)

    1位:三菱商事 2位:ソニー 3位:トヨタ 4位:パナソニック 5位:電通 6位:三菱東京UFJ銀行 7位:三井物産 8位:伊藤忠商事 9位:住友商事 10位:NTT東日本、博報堂


    彼氏・彼女とも完全に「イメージ」が先行したランキング

     ランキングの「彼女に勤務してほしい企業編」では、「資生堂」が1位となり、「ANA(全日本空輸)」「三菱東京UFJ銀行」が2位、3位と続いた。「彼氏に勤務してほしい企業編」では、「三菱商事」「ソニー」「トヨタ自動車」という順番になっている。

     この場合、あくまで「恋人に勤務していてほしい」ランキングであるから、単なる人気ランキングよりもさらにイメージ先行になってしまうことは避けられない。

     こうした学生のイメージに対してマジレスするのも大人げないので、まずは客観的に分析していこう。

     「彼女編」の場合は、4位以下は「花王」(4位)、「三井住友銀行」(5位)、「ソニー」(6位)、「みずほ銀行」(7位)、「JAL(日本航空)」(8位)、「ワコール」(9位)、「東京海上日動火災保険」(同)というランキングだ。「資生堂」「ANA」「JAL」「ワコール」あたりがランクインしているのは、いかにもイメージ先行という印象だ。

     また、「三菱東京UFJ銀行」、「三井住友銀行」、「みずほ銀行」、「東京海上日動火災保険」と、金融系の企業が、10社中の4社を占めることになった。これまた、知的で安定感のあるイメージなのだろうか。

     「彼氏編」の場合、いわゆる「人気企業ランキング」にランクインしている会社とほぼ一致しているので、もう説明の必要はないだろう。

     ちなみに、トップ3以外のランキングは「パナソニック」(4位)、「電通」(5位)、「三菱東京UFJ銀行」(6位)、「三井物産」(7位)、「伊藤忠商事」(8位)、「住友商事」(9位)、「NTT東日本」(10位)、「博報堂」(同)となっている。

     比較的に平均年収の低いところを敬遠し、商社やメガバンク、広告代理店を選んでくるあたり、したたかな女子の本音が読み取れる。

     いずれにしても、“完全にイメージだけ”の世界だ。マスコミによる一方的な情報に盲従している、というところだろう。ほほえましくもあるが、一方で危険性も感じられる。
     


     

    ランキングは、本当の「企業の人気」では決まらない!

     一般的な学生が就職したい「人気企業ランキング」を発表しているのは、主に「求人広告会社」である。

     新卒採用の求人広告メディアを運営している会社だから、求人広告は商品、大企業は大事なお客様というわけだ。

     そして、大企業に営業をかける際、「人気企業ランキング」が大きな「営業ツール」となるのだ。

     広告会社の営業マンたちは、「ランキングの調査時期に合わせて広告を出して、調査対象の学生たちにDM打ちましょう」などと持ちかける。

     人気ランキングを上げたい企業はそのアドバイスに従い、求人広告を出稿してメールを送る。学生はその企業の名前を知り、広告を見て少し興味を持ち、「人気企業ランキング」のアンケートに名前を書く、という流れなのだ。

     すなわち「人気ランキング」とは極論すれば、「カネ」と「コピーライティング」の力でなんとでも操作可能なものであり、「このアンケートの調査時期に合わせて、求人広告費をいっぱい使った会社ランキング」と言い換えても過言ではないのだ。

     実際、ランクインしているのはだいたい「BtoC」の事業をやっている大企業。学生にとってイメージしやすい商品とビジネスであるから、「単なるイメージ」と「企業が払った広告料」の集積に過ぎない。だから、「人生を預けられる判断基準では決してない!」と、私は声を大にして言いたい。

    それは本当に「企業研究」か? 実際は「企業鑑賞」「企業想像」もしくは「企業妄想」だ!

     企業の人気ランキングは、その時代ごとの雰囲気に左右される。

     例えば、1950年代は「鉱業」、60年代は「製鉄」や「造船業」、70年代は「繊維業」などが人気業界であった。

     では、この21世紀、そのような業界に進みたいと思う学生は多いだろうか。いずれも、数十年後には「斜陽産業」と言われている。今人気の業界も、いつどうなるやら知れない。

     例えば、手元にある「2012年卒マイコミ大学生就職企業人気ランキング調査」をみてみよう。

     福島第一原子力発電所の事故と、その対応の悪さなどで、スッカリ不人気になってしまった「東京電力」は、「理系人気ランキング」の24位に入っている。(調査時期は事故前)

     そして、学生が東京電力を選んだ理由のベスト5は、1位が「安定しているから」、2位が「社会的貢献度が高いから」、3位が「業界上位である」、4位が「やりたい仕事ができそう」、5位が「環境問題に前向きである」。

     まるで冗談のような結果だが、これはヒトゴトではない。高い志をもって入った会社が、一夜にして崩れ去ってしまうことはどこでもあり得るのだ。

     もちろん、企業を選ぶ価値観は人それぞれである。しかし、ランキングは決して会社の実態を反映したものではない。あくまで会社選びの「ひとつのきっかけ」として、「じゃあ、なんでこの会社がいいと思ったのか」という要素を掘り下げていってほしいのだ。

     「自分が働く場所としてふさわしいのか」

     「公私共に充実した人生を送れる場なのか」

     といったことを熟考し、後悔のない就活をしてほしいと願っている。

    *「キャリコネ」は、社員が投稿した企業に関する口コミ、年収情報、面接体験などを共有するサイトです。2012年3月末現在、45万社、17万件の口コミが登録されています。

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