ブラック企業を見分ける10のポイント
最近、世間から注目を集める「ブラック企業」。その実態は明らかにされていない部分も多く、定義もあいまいなのが実情です。ここでは、ブラック企業とは一体どんな企業なのか、転職したらどうなるのかなど、事例をあげて説明します。
1 どんな会社がブラック企業になる?
そもそもブラック企業とは具体的にどういう企業を指すのでしょうか。一般的な見方では「違法性の高い(あるいは極めてグレーな)過酷な労働によって労働者を使い潰す企業」とされており、サービス残業や理不尽なペナルティなどを課すことで知られています。ブラック企業の特徴として、以下の点があげられます。
1. 休暇(有給・法定休日)が取れない
2. 社会保険(健康保険・厚生年金)に加入していない
3. セクハラ、パワハラが日常化している
4. 解雇、昇格、降格などの人事が、経営者の好き嫌いで行われている
5. 採用時に提示された仕事内容、待遇と実態が大きく異なる
6. サービス残業が横行している
7. 会社の資産、社員が経営者によって私物化されている
8. 管理職が怒声や罵倒で恐怖マネジメントを行う
9. 不明確な目標の達成を要求される。未達成だと解雇など不当な制裁を受ける
10. 退職願を受理しない
上記の3つ以上の項目が当てはまる会社は「要注意」といえるでしょう。また、社員を精神的に追い込んで健康を損なうほどの過重労働を押し付ける会社も、ブラック企業の傾向が強いと考えられています。
2 ブラック企業“じゃない”ケースもある!
一方、下記のような事例は「一般的な企業でも起こりうるケース」であり、これらを理由にブラック企業と判断することはできないと考えられています。
・上司や先輩の指導が厳しい
会社の損失や事故を未然に防ぐ観点からも、「部下を指導するのは上司(先輩)の仕事」という考えが一般的です。繰り返し指導して改善されない場合は、部下を厳しく叱るのも通常業務の範囲内と見なされます。
・ノルマを課せられ、達成できないと叱責される
ノルマが達成可能な範囲で設定されているのであれば、ブラック企業と判断するのは困難。「ノルマに追われるプレッシャーに慣れない」という方は、ノルマがある仕事に性格的な適性がないとも考えられます。
・残業が多い
ケースバイケースではあるものの、残業が多いという理由だけではブラック企業とは言いきれません。ただし、社員に過剰な使命感やプレッシャーを与えることで、サービス残業が発生しているのであれば、ブラック企業である可能性が高いと考えられます。
3 ブラック企業に入るとどうなる?
ブラック企業の恐ろしさのひとつに「業界、企業規模、知名度に関係なく存在する」ということがあります。最近はどこの企業も社内情報が外部に漏れないように必死ですから、求人に応募した人や内定した人が、ブラック企業を選別することはきわめて難しくなっているといえます。
入社後にブラック企業だと判明した例
・「残業なし」のはずが、残業制度自体が存在せずサービス残業を強制された
・「年間休日120日以上」のはずが、実際は有給さえ申請できない雰囲気だった
・求人票に載っていた年収モデルと実際の支給額に著しい違いがあった
・大量採用によって入社したが、3年以内に同期の大半が自主退職した
転職者の心身や人生も壊しかねないブラック企業。次の項目では、そんなブラック企業を事前に見抜くための「ヒケツ」を伝授していきます。
(イラスト:山里將樹)