会社のホームページから見抜く「ブラック企業」のサイン
就活や転職って、どの会社を選ぶか悩みますよね。そんなとき、まず見るのが会社のホームページ(企業サイト)。きれいなデザインや格好いい言葉に目を奪われることもありますが、それによって実態を隠そうとする「ブラック企業」もあるんです。
ホームページだけで会社の全てを見抜くのは難しいし、自分に合った会社は人それぞれではありますが、避けた方がよさそうな怪しい兆候を見抜き、ヒントを得る方法はあります。一緒に見ていきましょう。
ホームページに潜むブラック企業の共通サイン
まず、ホームページの状況から会社の状況を垣間見る方法を整理してみましょう。
1.情報が古い
新しい人を迎え入れようとする今どきの会社なら、ホームページも最新にしておくのは当たり前。更新が数年前で止まってるサイトは、内向きな体質を伺わせ、会社自体も古い体質かもしれません。
2.企業理念が抽象的すぎる
「社会に貢献」「顧客第一」「世界を変える」だけじゃなく、具体的にどうするのか書いてある会社を選びたいもの。理念を実現する方法が見えないのは、言葉だけかもしれません。
3.社長の顔が見えない
ある程度の規模の会社なのに、ホームページに社長や経営陣の顔写真が載っていないのは気になります。なぜ出したがらないのでしょうか。「恥ずかしい」「わざわざ打ち出すほどのものではない」は理由になりません。
4.事業内容がよく分からない
どんな事業をやっているのか、ホームページを見る人に分かりやすく書いていない会社は、新しい人を受け入れるオープンな姿勢とはいえません。社員は言われたことをやればいい、という会社なのかもしれません。
5.自画自賛が過ぎる
「業界トップクラス」「最先端」といった言葉が並んでても、具体的な根拠がないなら要注意。自慢だけじゃなく、実績で語ってほしいです。
6.求人情報が怪しい
「高収入」「即戦力」「経験不問」なんてところだけ打ち出されている会社は要注意。おいしすぎる話には裏がありそう。具体的な仕事内容が書かれてないのも怪しいです。
7.福利厚生の情報が少ない
働く環境や待遇について、あまり触れてない会社は要注意。有給休暇の取得率や残業時間など、具体的な数字を公開している会社のほうが信頼できそうです。
8.プライバシーポリシーがない
個人情報の扱いについて何も書いてない会社は、コンプライアンス意識が低いかも。自分の情報を大切に扱ってくれる会社を選びたいですよね。
9.セキュリティ対策が甘い
HTTPSじゃない、古いプラグインを使ってるなど、サイトのセキュリティが弱いのは危険信号。会社全体のIT意識の低さを示していそうです。
ブラック企業の主なタイプとホームページのチェックポイント
ブラック企業のタイプもひとつではありません。ホームページに現れる主なタイプについて整理してみましょう。
1.働かせすぎタイプ
「やりがいを求める方」「限界に挑戦したい方」なんて言葉、カッコよく聞こえるけど、実は過酷な労働を美化してるかも。
チェックポイント:「根性」「体力」みたいな言葉が目立つ/休暇の取り方について触れてない/残業削減や働き方改革の具体的な取り組みが書かれてない
2.経営が不透明なタイプ
会社の方針や将来計画がはっきりしない会社は要注意。しっかりした会社なら、ビジョンや目標をちゃんと示しているはずです。
チェックポイント:社長のメッセージが紋切り型/社長の顔写真や経歴が書かれてない/経営陣の顔写真がない/会社の沿革や実績がはっきりしない
3.短期的な成果主義のタイプ
経営者の利益のためだけに目先の結果ばかり求めて、長期的な人材育成を軽視している会社は、将来性に疑問があります。
チェックポイント:「成果主義」「実力主義」を強調しすぎ/長期的な人材育成や具体的な研修・教育制度の説明がない
4.退職者が多そうなタイプ
いつも求人を出している会社は、辞める人が多いのかも。特に同じ職種の募集が繰り返されてるなら、その部署の環境に問題があるかもしれません。
チェックポイント:いつも大量の求人を出している/経験不問の正社員募集が多い/入社後のキャリアパスがはっきりしない
5.コンプライアンス意識が低そうなタイプ
法令遵守や企業倫理について、あまり触れてない会社は要注意。ルールをしっかり守る会社で働きたいですよね。
チェックポイント:個人情報の扱い方について書かれていない/コンプライアンスや企業倫理についての説明が少ない/内部通報制度体制に触れてない
6.イメージと現実が乖離しているタイプ
見た目のイメージづくりに力を入れすぎて、実際の仕事内容や会社の文化についてあまり触れてない会社は要注意。
チェックポイント:「家族的」「和気あいあい」など、抽象的な表現が多い/具体的な事業・仕事内容の説明が少ない/会社の説明が現実離れしている
7.社員の不満が多そうなタイプ
社員の声が作り物っぽい場合、ホームページだけではなく口コミサイトもチェックしてみましょう。ネット上の評判と会社の主張に大きな差があるなら、実態は違うかも。
チェックポイント:社員の声が載っているけどリアルさを感じない/社内イベントや社員の交流の様子が見えない/企業風土改善の取り組みが書かれてない
ホームページチェックの注意点
ホームページは会社の実態を垣間見るヒントにはなりますが、それだけで会社の全てを判断するのは難しいです。こんなことも心に留めておきましょう。
1.口コミサイトをチェック
口コミサイトに残されている現役社員・OBOGの声も参考にし、会社のホームページに書かれていることと見比べてみましょう。
2.業界や会社の規模や成長段階を考える
特に若いベンチャー企業では、理念先行型のホームページになることもあります。誰もが共感できる内容とは限りませんが、それによって会社が求職者を選別している側面もあります。
3.自分の価値観と照らし合わせる
「ブラック」の定義は人それぞれです。ホームページのメッセージに自分が共感できないからといって、その会社が「ブラック」とは限りません。自分にとって何が大切かをしっかり考えて、自分の価値観やキャリアプランに合っているか判断しましょう。
4.気になることは実地で確認する
気になることは、面接で直接聞いてみるのが一番です。ホームページで見つけた疑問点を、質問リストに加えておくといいですよ。SNSで現役社員と連絡を取り、気になる点を確認してもいいでしょう。
批判的な目で情報を見極めて
ホームページは、いまや会社の顔です。しかし、表面的な情報だけでなく、行間を読む力も大切です。紹介したチェックポイントを参考に、批判的な目で情報を見極めて、自分に合った会社を見つけてください。
なお、ホームページだけで会社の全てを判断するのは無理があります。口コミサイトと見比べたり、実際に会社訪問をしたり、社員と話したりして、より深く理解することが大切です。就職や転職は人生の大きな決断。慎重に、でも前向きに企業研究を行い、自分らしいキャリアを築いていってください。