もしブラック企業に入社してしまったら?
せっかく就職活動を終えて入社した会社が、実はブラック企業だった……。しかし絶望するのはまだ早い! ブラック企業の餌食となり心身まで壊してしまわないよう、ここでは自分の身を守る手段をお教えします。
入社後にわかる「ブラック企業」の特徴
入社後、以下の項目で思い当たることがあった場合、ブラック企業である可能性が高いといえます。複数あてはまる場合は特に注意が必要です。
・仕事、研修内容
■面接で説明された条件とまったく違う
■研修内容が業務に関係ない(精神的修養になっている)
■研修後の試験、課題がクリアできないと不当な扱いを受ける
・組織
■社内暴力やいじめ、体罰、セクハラが行われている
■賭博、不正行為が行われている
■「愛のムチ」「指導」など異常なポジティブ思考の強制
■密告が奨励されている
・経営者
■経営者の私用に社費や社員が使われる
■経営者の気分で解雇、降格、昇格、職種転換などが行われる
■経営者の著書を自腹で買わされるなど、崇拝を強要される
■経営者が社員の悪口を言いふらしている
■カルト、反社会的勢力とのつながりがある
・待遇
■社会保険に加入していない
■定時より早い時間の出社、サービス残業、休日出勤を強要される
■有給、慶弔休暇をとらせない
■給与遅配、現物支給が行われている
・その他
■社員5名以上にもかかわらず就業規則が存在しない
■会社の業務で自腹を切らされる
■自社製品の強制購入
困ったときは専門家に相談!
ブラック企業の中には社員の考え方を巧妙に支配して、抵抗する気力すら奪ってしまう企業もあります。もし会社で「何かおかしい」と感じたら、1人で悩まず早急に専門家に相談することをおすすめします。
専門的な知識にもとづくアドバイスや、第三者からの客観的な意見も参考にしながら、自分にとって最善の行動を決めていきましょう。
・労働組合、労働団体、NPO
・労働基準監督署、人権センターなどの行政機関
・その会社の求人情報を出した求人誌、求人サイト、ハローワーク
・弁護士などの専門家
ブラック企業からの脱出には気をつけて!
ブラック企業に対して辞職の意思を伝えたとき、下記のような反応をされたら慎重に行動してください。
・「辞めれば再就職に不利だ」などプレッシャーをかけてきた
・「迷惑料を払え」などと脅しつけられた
・退職日を勝手に先延ばしされた
・退職に必要な書類を発行してくれない
・退職届を受理してくれない
ブラック企業は簡単に社員を辞めさせないことが少なくありません。しかし退職届を提出すれば、受理・不受理にかかわらず2週間後に退職できることが民法で認められています。また契約社員でも正当な理由があれば契約期間中の退職が可能です。
退職後は離職の理由、退職金、未払い残業代の支払いなどをめぐって、会社やハローワークと交渉しなければならない場合もあります。出退勤の記録や経営者・上司の発言などブラック企業の証拠になりうる材料は、在職中からメモや録音、メールなどに残しておきましょう。
(イラスト:山里將樹)