ブラック経営者に共通する10の事柄
「社員や社長もみんな優秀で人柄がいいのに、なぜかブラック企業だ」という会社は、まずありません。そんな社員ばかりであれば、ブラック企業体質を改善しようとするからです。
逆にブラック企業の内部には、十中八九“ブラック経営者”が存在します。というよりも、ブラック経営者がいるからこそ、ブラック企業が生まれると言ってもいいでしょう。ということは、ブラック経営者を見抜くことができれば、ブラック企業を避けることもできます。ブラック経営者に共通する特徴は以下の通りです。
- 社員を「雇ってあげている」という“上から目線”。
- 社員を常に疑っている(テープレコーダーなどで業務実態を記録している)。
- 社員からの意見に聞く耳を持たない、間違いを認めない。
- 成功は自分の手柄、失敗は社員のせいにする。
- 会社の財産(資金、設備、社員)を私的に使っている。
- 自分の“鶴の一声”で人事を決定している。
- 飲み会のおごりなど、仕事に無関係なところで社員に“恩を着せる”。
- 自分の経歴(学歴、○○社でトップセールスなど)を自慢する。
- “感動”“夢”などあいまいなビジョンを掲げる。
- 朝礼やミーティングでひんぱんに訓示を行う。
上記のうち5つ以上当てはまればブラック経営者と見なしてもほぼ間違いありません。すべて当てはまるブラック経営者はなかなかいないでしょうが、総じて「自分が一番で、世の中は自分の思い通りになる」と無思慮に思い込む傾向が見られます。
その他、バブル期を経験してきた中高年のブラック経営者の場合、独断で役に立たない珍妙な置物や高価な美術品を社内に設置するといった特徴も見られます。
まともな経営者とブラック経営者の違い
では、まともな経営者とブラック経営者の根本的な違いはどこにあるのでしょうか? 「経営に対する考え方」「社員に対する考え方」「自分の役割に対する考え方」の3つの視点から違いをまとめたのが下記の表です。
まともな経営者 |
ブラック経営者 |
|
---|---|---|
会社経営に対する考え方 |
業界動向や消費者ニーズを分析し、それに臨機応変に対応する。会社として可能なことと不可能なことを冷静に判断できる。 |
業界動向や消費者ニーズ、会社として可能なこと・不可能なことを把握しておらず、自分の思惑通りに事態が運ぶと妄信している。 |
社員に対する考え方 |
部下を自分より優秀な“専門家”と認める(またはそうなることを望んでいる)。そして、その専門家の意見には冷静に耳を傾ける。 |
自分の“手足”だと思っている(またはそうなるように仕向ける)。そのため、思い通りに動かないことはあり得ないと考えている。 |
自分の役割に対する考え方 |
具体的に解決すべき課題を描き、そこに向けて会社を導いていく。決断のリスクを背負い、会社を代表する信念と責任を持っている。 |
自分が会社そのものであり、自分が儲けることを第一に考える。そのため、会社のために果たすべき役割という概念がそもそもない。 |
まともな経営者であれば、ビジネスが容易には思い通りに行かないものだとわかっています。そのため、失敗は受け入れ、部下からの意見には熟考し、押す時は押し、引くときは引きます。
しかしブラック経営者は、自分の思い通りに動くはずだと考えるので、失敗したら社員のせいにし、間違いを認めようとしません。こうしたブラック経営者のもとでは、会社は徐々に疲弊していき、やがて市場から退場することになります。