ブラック企業の研修でよくある7つの特徴
いくつかのブラック企業では、入社後に社員研修を設けているところがあります。特に新卒採用を行っている企業で顕著で、「社会人経験が浅いうちに、うちの会社色に染めてやろう」という目的があります。
そうした“ブラック研修”はできるだけ避けたいものですが、新卒社員ほど「研修ってこんなものかな」と思いこんでしまいがち。ブラック企業の社風に染まりきってしまう前に、ブラック企業でよくある研修の特徴を学んでおきましょう。
ブラック企業の研修の特徴
ブラック企業の研修として、主に下記の7つの特徴があげられます。これらのうち2つ以上当てはまれば、ブラック企業の研修と見なしてもほぼ間違いありません。
- 大声で社訓や社歌、将来の目標などを何度も叫ばせる
- 業務と関係のない重労働や精神修行をさせる
- 社員への人格否定が行われる
- 外部との連絡が絶たれた場所で研修を行う
- 研修を受ける社員のランク付けを行う
- 研修中の失敗に対し、罰則などのペナルティーを与える
- 研修の費用(宿泊費、移動費など)が自腹・給与からの天引きである
これらのうち1~4は、社員が持つ考える力・比較検討する力を奪い、“会社にとって都合のいい人間”を育て上げるために行われます。2に関しては、マラソンや座禅など実際の業務と関係のないものがほとんど。「忍耐力や度胸をつけさせるため」といった理屈でこうした研修を正当化するブラック企業もありますが、もしマラソンや座禅でビジネススキルが身につくのであれば、企業はこぞってマラソン選手やお坊さんを採用するはずです。現実ではそうなっていないのですから、忍耐力や度胸をつけるという理屈は単なる後付けにすぎません。ブラック企業の「洗脳」の手口も参考にしてください。
5と6は、例えば「研修でのテスト結果が良いグループはAランク、普通はBランク、悪ければCランク」といった具合です。さらに「Cランクになったら昼食抜きで居残り2時間」などのペナルティーを課す企業もあります。これらは、研修を受ける社員たちの間に競争を持ち込むことで、会社や研修担当者への批判をかわす狙いがあります。
最後の7については言うまでもなく、普通の企業ではあり得ないことです。もちろん社員の自主的な勉強会などであれば、各自が自腹で研修費を支払うこともあります。しかし全員参加が義務付けられている新入社員の研修なら、人事関連の予算として計上されるはずです。入社時から社員に金銭を負担させるような企業は、研修後も自爆営業や仕事のミスに対する罰金などを課してくる可能性が高いでしょう。
なぜブラック企業の研修は社員にとってマイナスなのか
中には「結果として忍耐力や度胸がつけば、このような研修もありなのではないか?」と考える人もいるかもしれません。確かに、ブラック研修が苦にならない人や、実際に仕事に役立ったという人も中にはいるでしょう。
しかし上記で述べた通り、ブラック研修の本当の目的は「会社にとって都合のいい人材」や「自分で考えず、会社の言うことを聞くだけの人材」を育てることにあります。いくら忍耐力や度胸がついても、上司に意見できない人材や社内の問題点を指摘できない人材、自主的に改善を積み重ねていけない人材になってしまっては、これからの時代で活躍できるはずがありません。また、その会社内では通用したとしても、将来 転職する際には大いに不利でしょう。
もし本当にブラック研修が社員教育に効果的であるのなら、アップルやグーグルといった最先端のグローバル企業でも取り入れられているはずです。しかし現実にはそうなっていませんし、そうなるだろうという想像もできません。ブラック研修は社員を“洗脳”するための手口だとしっかり肝に銘じ、ブラック企業の社風に染まる前に転職するほうが賢明といえるでしょう。