地方のブラック企業に「要注意」な3つの理由
テレビや新聞でブラック企業が取り上げられるとき、問題が指摘されるのは、都心部の大企業であることがほとんどです。しかし、実際には地方の中小企業のなかにも、ブラック企業やブラック企業予備軍は数多くあります。むしろ、「大企業の陰に隠れて目立たない、地方のブラックな中小企業のほうが問題だ」と指摘する声もあるほどです。Uターン転職やIターン転職でブラック企業に入社してしまわないよう、地方のブラックな中小企業について考えてみましょう。
地方の中小企業がブラック企業化しやすい理由
地方へのUターン・Iターン転職というと、都心の喧騒を離れて、ワークライフ・バランスを実現しやすくなる……という印象があるかもしれません。しかし一般的に、地方の中小企業では、以下のような要素が都心の企業よりも顕著に表れる傾向があります。そして、これこそが地方の中小企業がブラック化しやすい理由です。詳しく解説していきましょう。
1. 会社の絶対数が少なく、会社の比較や転職がしにくい
総務省・経済産業省の「平成 24 年 経済センサス」によれば、全国の企業のうち20.2%が東京、埼玉、神奈川の都心部に集中しています。その分、地方の企業は数が少ないことになりますから、会社選びの選択肢はどうしても少なくなってしまいます。例えば「社風が良くないけど、他に働く場所がない」、「パワハラを受けているけど、転職先がない」ということも考えられるでしょう。社員が容易に会社を抜けられないので、ブラック企業でも人材確保に困ることもありません。結果、地方の中小企業ではブラック企業化が進みやすくなります。
2. 職場の人間関係と地元の人間関係が切り離せない
中小企業では、職場の人間関係と地元での人間関係がイコールになっていることがしばしばあります。隣近所の人や同じ町内会の人が、同じ職場で働くことも珍しくないのです。そのため、地元で生活していくためには、職場でトラブルを起こさずに過ごすことが求められることがよくあります。例えば「町内会の会長が上司なので、職場でブラック企業批判をすると、普段の生活に悪影響が考えられる」といった事態も起こるわけです。地域のコミュニティーの中で孤立するわけにはいかないので、ブラック企業だと思っていても抗議の声を上げにくくなってしまいます。
3. IT化が遅く、非効率さが解消されにくい
地方では、都心部に比べるとどうしてもIT化の進展が遅れがちです。IT化(業務システム開発やEコマース開発など)を請け負う会社も少ないですし、そもそもITに強い人材が少ないといった理由もあります。そのため、例えば営業や財務・会計、在庫管理、製造といったさまざまな分野で、単純な人海戦術が強行されがち。また逆に、パソコンに少し詳しいというだけでIT関連の業務を兼任されてしまい、激務におちいったりします。結果的に、社員は非効率な働き方、不公平な業務負担を強いられてしまいます。
もちろん、地方の中小企業のすべてに、上記の要因が当てはまるわけではありません。地方の中小企業にも、やりがいをもって働ける企業はたくさんあります。しかし、「地方だからのんびり働けるだろう」、「地方の人は優しいから、職場の人間関係も良好なはずだ」という安易な希望を抱いて転職するのはNGです。地方には地方ならではの、「ブラック企業化のタネ」が隠れていることに注意する必要があるでしょう。