「第二新卒」の転職市場はどう変わったか?データから最新トレンドを読む
近年、「第二新卒」という言葉をよく耳にするようになりました。新卒で入社した会社を数年以内に退職し、再び就職活動を行う若手社会人を指すのが、この言葉です。
彼らの動向は、日本の労働市場に新たな風を吹き込んでいるといわれていますが、それはどういうことなのか。今回は、第二新卒の転職が増加している現状と、それを裏付けるデータ、そして転職市場全体の状況について詳しく見ていきましょう。
第二新卒の転職増加の傾向
第二新卒の転職が増加していることは、さまざまなデータからも裏付けられます。
1.転職市場における第二新卒の重要性の高まり
「doda転職求人倍率」によると、2024年5月時点の転職求人倍率は2.57倍で、昨年同時期と比較すると0.27ポイント増加しています。この中で、特に第二新卒向けの求人が増加しており、新卒採用で補えなかった人員を第二新卒枠で採用する動きが見られます。
2.企業の第二新卒採用への積極姿勢
「マイナビ 中途採用状況調査2023年版」によると、企業の84.2%が第二新卒と呼ばれる20代前半~中盤の年齢層に対して積極的に採用すると回答しています。これは、若いポテンシャルのある人材や基本的なビジネススキルを持つ人材を求める企業のニーズと合致しています。
3.第二新卒の市場規模
毎年約13.5万人程度の第二新卒が転職活動を行っていると推定されます。これは、大卒新卒の民間就職者数(約45万人)の3割が入社3年以内に離職するというデータに基づいています。
なお、日本の18歳人口は、1992年度の約205万人をピークに減少し、2023年度には110万人を割り込みました。一方、大学進学率が26.4%から57.7%まで上昇したことで、大卒者は約40万人から57万人超まで急増しています。
4.転職希望者の増加
dodaの「新社会人の転職サイト登録動向」によると、2024年4月における新社会人の登録者数は、2011年比で約28倍まで増加しています。また、20歳~29歳の男女のうち、およそ3分の2が転職にポジティブなイメージを持っていると回答しています。
5.転職市場の活性化
「doda転職求人倍率」によると、2024年9月の転職求人倍率は2.86倍となり、高い水準で推移しています。特に、社会人1~2年目の転職希望者数が増加しており、若手層の中では就業環境の改善やキャリアチェンジを希望する声が多くなっています。
転職市場の状況
転職求人倍率は高い水準を維持しており、特に第二新卒を含む若手人材の需要が高まっています。
1.売り手市場の継続
「doda転職求人倍率」2024年4~6月の転職求人倍率は、4月2.66倍、5月2.57倍、6月2.60倍と高い水準を維持しています。これは、企業の採用意欲が高いことを示しています。
2.業種別の動向
IT・通信業界では特に高い求人倍率(6.92倍)が見られ、第二新卒を含む若手人材の需要が高いことがわかります。
3.採用要件の緩和
企業は「ポテンシャル採用」「第二新卒採用」のニーズを拡大させており、従来の採用要件外であった転職希望者にも採用機会が広がっています。
転職市場の重要なプレイヤーに
データが示すように、第二新卒の転職は確実に増加傾向にあり、転職市場において重要な位置を占めるようになってきています。企業側も積極的に第二新卒採用を行っており、転職市場全体の活性化に大きく貢献しています。
この傾向は、若者のキャリア観の変化や、企業の人材戦略の多様化を反映しているといえるでしょう。今後も、第二新卒は転職市場の重要なプレイヤーとして注目され続けると予想されます。
転職を考えている第二新卒の方々にとっては、自身のスキルや経験を活かせる機会が増えていると言えるでしょう。一方で、企業にとっては、柔軟な採用戦略を立てることで、優秀な若手人材を確保するチャンスが広がっています。