営業職のための「キャリアの棚卸し」ノウハウ
営業職としてキャリアアップを考えるのであれば、職務樹歴や実績について客観的な視点から整理・分析を行うこと、すなわち「キャリアの棚卸し」が大切です。何気なく取り組んでいる仕事も、「キャリアの棚卸し」を行うことで明確化・明文化され、今まで気づかなかった部分が見えてくるでしょう。
以下に、具体的な「キャリアの棚卸し」を有効に行うためのポイントを、手順に沿ってご紹介していきましょう。
1. 時系列で大まかな経歴を書き出す
まずはあなたの経歴を「時系列」で記述します。ここで書き出すのは、「どの会社、どの部署に所属し、どんな仕事をやったのか」といった内容。履歴書の経歴欄に記入する程度のもので大丈夫です。
2. ポイントを絞って整理する
すべての経歴を書き出せたら、今度はその情報を詳しく整理していきます。その際、次に挙げる4つのポイントに注目して書き出してみてください。
- 業務の基本情報
- 成功例
- 上司や取引先からの評価
- 失敗例
<Point 1:業務の基本情報>
これまで会社情報や業務内容、取り扱った製品・サービスなどを詳しく記述します。例えば同じ営業職でも、新規営業とルート営業、あるいはカウンター営業では業務が異なります。混合的に取り組んだ場合には、比率なども書いておくのがお勧めです。
もちろん、取り扱った商材・サービスについても書いておきましょう。有形商材なのか無形商材なのか、どういう製品でどういう売りがあるのかなどによって営業手法や得られる業務知識が全く違います。こうした情報から、自らのキャリアで活かせる強み、あるいは進むべき方向などが浮き彫りになってくるのです。
その他、取引先(相手の会社規模、B to BなのかB to Cなのか)や業界の特徴なども整理しておくと、あなたの強みや業務知識が判断できます。
<Point 2:成功例>
営業職としての売上実績、成功したプロジェクト、社内における賞の受賞、業務改善など、営業職として達成した成功例を、その成果とあわせて記載しておきます。
この際、できるたけ具体的に書き出すことが重要です。売上金額や部署内で何位の成績だったのか、業務改善案によってどういう点が良くなったのかなどを書き出しておくと、職務経歴書の作成時や面接時に役立ちます。またチーム全体での成功であれば、チーム内における自分の立場や役割なども書きましょう。
即戦力を求める企業への転職は、こうした成功事例が大きなアピールとなります。営業職として売上実績はもちろんですが、目標達成できたのか否か、あるいはそのうえで乗り越えた困難と手段なども合わせて整理しておくと、より説得力を強める素材となります。
<Point3:上司や取引先からの評価>
成功例に近いものですが、実際に成功したというのではなくても、上司に「このようなところが君の強みだよ」とか業務上評価された事柄などを記述してください。他者からどう思われているのか、組織内での自分の立ち位置などを理解できます。
<Point4:失敗例>
成功例と同じく、失敗例も「キャリアの棚卸し」の作業に欠かせません。客観性を保つという意味でも大切な項目です。冷静に失敗例を分析することで、自分でも気が付かなかった弱点が見えてきます。弱点が分かれば、それを改善する道筋も見えてきますし、短所を補う長所も見出すことができるでしょう。
3. やりがいを感じるポイントを見つける
ここまでの手順で「キャリアの棚卸し」を行ったら、最後にその中から自分にとって最もモチベーションが高まった業務や商材を確認しましょう。他社からの評価や成果ではなく、あくまで「やり甲斐を感じた」など自分自身の気持ちから考えます。
どんな仕事でも、やり甲斐を持って取り組むことが成功への近道となります。大きな成果を上げられなかった業務であっても、あなた自身が強いやりがいを感じていたのであれば、今後のキャリアアップのきっかけになり得るでしょう。逆に何事も嫌々に取り組んだのでは、大きな成功を残すことはできません。「これまでの経験を活かせる」だけでなく、自らがやりがいを感じて取り組めるか否かも重要なのです。
キャリアの棚卸しで得られた内容は、いずれも転職先に対してアピールできる強みとなります。また弱みを見つめ直すことで、今後どんな能力を伸ばすべきかわかるようになるでしょう。
激しく変動する時代だからこそ、柔軟性のある発想と高度なスキルが要求されます。「キャリアの棚卸し」を通して自分自身を紐解くことは、転職やキャリアアップにおける重要なステップといえるはずです。(ライター:ナレッジ・リンクス/山下正幸)