異業界への転職で営業パーソンが注意したい6ポイント
同じ営業職でも、業界によって必要とされるスキルや営業手法は全く異なります。いくら優秀な成績を残していても、別の業界でも同じような結果が出せるとは限りません。意気揚々と転職し、思うような営業ができず「こんなハズじゃなかった」と後悔する人が、実は少なくないのです。異業界へ転職を目指す場合に注意しておきたいポイントについて、いくつかご紹介しましょう。
転職前の注意点
異業界への転職では、営業手法や覚える知識も異なります。そのため、転職する前段階から自分のキャリアを理解しておきましょう。「何ができるのか」を明確化し、目指す業界の実態を可能な限り把握しておくことが重要です。
■自分の強みを分析する
営業として結果を出すには、自分の強みに合った営業手法を見つけ出すことが大切です。例えばコミュニケーションスキルが高く、物怖じしないタフな精神を持っている人は、多数のターゲットからクライアントを新規開拓する、飛び込み営業やテレアポなどが向いているでしょう。一方、情報収集・分析が得意な人なら、綿密な調査を行った確度の高い深耕営業などが適しています。
自分の強みから「どのような営業が得意なのか」を明確化しておくことは、転職先へのアピールでも重要なポイントです。
■業界ごとの営業手法を把握する
業界によって、社内体制も大きく異なります。例えば昨今、WEB等によるインバウンド型の営業が増えています。この場合、問い合わせに対するファーストアプローチは営業パーソンではなく、別の担当者が行うことが多いでしょう。飛び込み営業など第一線で活躍してきた場合、そのギャップにつまずくケースが少なくありません。
中には「テレアポ」「営業提案」「契約後フォロー」など段階によって分業している企業もあり、これらは営業としての役割・やりがいなどにも影響が出る要素です。
■新たな「学び」への心構え
業界には、特有の知識やノウハウがあります。前職の業界で覚えた商材の知識・専門用語が、異業界では通用するとは限りません。むしろ、ゼロから必要な知識・ノウハウを覚え直すことのほうがほとんどです。
そして中途採用では、新卒採用のように手取り足取り教わるわけにもいきません。実務を通じて自ら学び、場合によっては自宅で勉強するといったことも必要でしょう。業界によっては、いきなり資格取得が必要になるといったこともあります。その覚悟があるか、自分自身に確認しておきましょう。
転職後の注意点
転職前のイメージと実態が大きくかけ離れ、転職を後悔するビジネスパーソンもいます。そうならないためには、特に「待遇」「キャリア」「経験」という点から注意して臨むことが重要です。
■年収が下がる可能性を見据える
年収アップを目指す場合、よく失敗するのがインセンティブなどに希望を抱き過ぎる転職です。もちろん成果を出せば、高い年収を手に入れることも可能です。しかし結果を出せるか否かは、働いてみなければ分かりません。またインセンティブ制を取り入れている企業は、基本給は低く設定されていることが多いので、成果が出なければ前職より年収が低いことが考えられるのです。
その他、会社の業績が悪化するなどの要因で年収が下がる可能性もあるでしょう。年収を重視する場合、そうした事情にも気を配る必要があります。
■キャリアが途切れることもある
前職で役職に就いていた場合でも、転職後は営業担当からスタートするがほとんどです。もし営業成果が振るわず役職などを得られないままでいると、せっかくのキャリアが途切れてしまいます。そのため、社内におけるキャリアステップを把握しましょう。「どうすれば、どのようなキャリアが構築できるのか」を知らずにいると、描いた将来像から大きく外れてしまうことになりかねません。
■自分なりの経験を応用する
新しい知識・ノウハウを学ぶ必要はありますが、それと同時に過去の経験で得た知識・スキルを探し出し、応用していくようにしましょう。本当にスキルゼロで営業していては、中途採用された意味がありません。顧客情報やスケジュールの管理方法、あるいは営業トークに至るまで、自分だからこそ持ちうる武器を持つことは、転職先で成果を挙げるために大切なことです。
この他、商材の属性(「無形商材」と「有形商材」)でも、営業スタイルや求められる能力が違います。本当に異業界でもやっていけるのか、やっていける根拠は何かを冷静に考え、自分の力を活かせる転職先を探すことが重要です。(ライター:ナレッジ・リンクス/三河 賢文)