営業の必須スキル「聞く力」のメリットと高め方
営業職と言われると、どうしても“売り込む”というイメージが強いもの。確かに、最終的には顧客に利用あるいは購入してもらうことが、営業職にとって大きな目的です。しかしいくら営業トークを磨いても、購入・契約に繋がるとは限りません。営業として成果をあげるためには、「聞く力」が重要となるからです。「聞く力」のメリットと高めるための方法をご紹介します。
「聞く力」を磨くメリット
「聞く力」について漠然とその必要性を感じていても、本質的にその理由を理解できていない人は多いでしょう。聞く力を高めるメリットは、以下の2点に集約されます。
1. 継続的な信頼関係の構築
営業にとって売上をあげることが最終目的です。しかし“押し売り”まがいの売り方では、一時的な売上は得られても、顧客側が「もうあの会社とは付き合わない」と判断することも考えられます。そうではなく、継続的に売上を伸ばすためには、相手との信頼関係を築くことが重要です。強い信頼関係を作り出せば、「あの会社(あの営業担当者)は当社に必要不可欠だ」と高い満足を示してくれるでしょう。
「聞く力」がこうした顧客満足につながります。相手が何に困っていて、どういう未来を手に入れたいと考えているのか。あるいは購入・契約に際して、どのような不安が引っかかっているのか。こうした情報は、相手から「聞く」ことでしか得られないからです。顧客側も「この担当者は、こちらの不満や不安を解決しようとしてくれる」と判断してくれるでしょう。
もし相手の課題を自社の製品・サービスで解決できないのであれば、「提案しない」というのも1つの方法です。無理な営業で信頼関係を崩すより、将来的な視野で見れば関係を継続することにメリットがあるでしょう。
2. 購入確度を上げる
「聞く」ことで相手から課題や不安といった情報を得れば、自ずと「何を提案すべきか」が見えてきます。あなたが取り扱う製品・サービスにも、様々なメリットがあることでしょう。例えば顧客がコストダウンを課題としているのならば、自社製品・サービスの購入でどれだけコストが削減できるのか、現状との比較などを交えながら提案を行います。
あるいは現在使っている機械の機能拡充を望んでいるのなら、相手に必要とされそうな機能を一覧化し、具体的な活用方法などを提示すると良いでしょう。コストダウンを求める相手に機能説明ばかり行っても、“自社にとってのメリット”を感じてもらうことはできません。むしろ「機能が多いから高そうだ」などと、逆効果になる可能性もあります。
このことは、転職時の面接でも生かされます。企業がどのような背景から、どのような人材を求めているのか。それを的確に把握することで、自分がそこに向けていかに活躍できるのかをPRできるでしょう。また、相手の質問意図を正しく聞き取ることで、的はずれな回答によるマイナス評価を避けることもできます。「聞く力」を磨けば、面接時にも大いにその力が発揮できます。
「聞く力」を高めるための方法
聞く力を磨くためには、やはり経験が重要です。しかし必ずしも、営業商談である必要はありません。例えば家族との会話から、「それってこういうこと?」と確認するようにしてみましょう。認識が外れていれば指摘を受けられます。
また、メモを取って情報を整理することも有効です。会話すべてを書き取ることは難しいですが、重要と思われるポイントを書き出すことはできます。キーワードを自分なりに抜き出していき、そこから「何に困っているのだろう」、「何を伝えたいのだろう」と分析してみましょう。営業商談であれば、ここでいきなり提案を行うのではなく、相手に確認してみることがお勧めです。先ほどの家族との会話と同様に、例えば次のように聞いてみてください。
- ・「お話の中で◯◯が現状の重要課題と思われますが、合っていますか?」
- ・「××の解決が優先事項と感じているのですが、いかがでしょうか?」
- ・「△△できれば、良い方向に向かいそうですか?」
何より、その重要性を意識して商談あるいは日常的な会話に向かうことが大切です。聞く力を磨き、営業力を向上させると共に、転職活動も有利に進めて行きましょう。(ライター:ナレッジ・リンクス/三河賢文)