大企業とベンチャー企業、営業職の働き方の違い
同じ営業職でも、勤務先の企業規模によって働き方は大きく異なります。就職あるいは転職を考えるのであれば、「大企業に勤めるか、それともベンチャー企業に勤めるか」と頭を悩ませる方もいるでしょう。しかし実際に何が異なるのかは、やはり勤務していなければ分からないものです。ここでは営業職の働き方について、大企業とベンチャー企業の違いをご紹介しましょう。
磨かれるスキル
大企業の場合
大企業の営業職の場合、他部署を含む多くの社員とコミュニケーションを取りながら、営業活動を進めることが多いでしょう。そのため、コミュニケーションやチーム内における調整力が磨かれます。研修制度も充実しており、営業職として必要な知識・スキルをじっくり身に付けることが可能です。
ベンチャー企業の場合
これに対してベンチャー企業の営業職は、その多くがOJT等による実践的研修に始まり、早い段階から営業実務に取り組んでいきます。少数精鋭であることが多く、1人1人が独立的に営業活動を行う体制です。自発的かつ主体的であることが求められ、自分自身で考える思考力、そして行動へと繋げていく行動力が磨かれます。また、ベンチャー企業では社員からの提案・発信を歓迎する風土があり、企画力・提案力なども身に付くでしょう。
与えられる裁量
大企業の場合
大企業では社員を役割で区分するスタンスが強く、また上下関係も明確であることが多いでしょう。そのため営業職でも、例えばテレアポ専門や新規開拓専門、契約処理専門などを分業化している場合もあります。営業社員は上司によって管理され、決められた範囲での業務に集中する営業スタイルがほとんどです。新しいツールの導入や戦略実施、あるいは顧客ターゲットの拡大などを含め、基本的には上司など管理者への承認が必要となります。
ベンチャー企業の場合
ベンチャー企業でも、もちろん上司・管理者は存在します。しかし営業社員1人1人に与えられる裁量は、大企業と比べて大きいでしょう。「一括して任される」機会が多く、広い範囲でチャレンジの場が与えられます。新しい営業手法を試したり、あるいはオリジナルの提案資料を作成したりといった活動も、各個人の裁量に委ねられるでしょう。もちろん、その分だけ結果にはシビアな側面がありますが、営業職としての成長スピードは速いと言えます。
成果に対する評価
大企業の場合
大企業では社員数が多い分、チーム全体を評価する傾向にあります。営業職でも昇給・昇格は、安定的かつ緩やかです。あらかじめステップが段階的に定められており、大きな“飛び級”はほとんどありません。また個人の営業成績が低いからといって、大幅に報酬が下がるようなこともあまりないでしょう。
ベンチャー企業の場合
ベンチャー企業では社員が少ない分、営業職の1人1人が常に営業活動を加速し続けなければいけません。そのため個人にフォーカスしてその成果を評価します。インセンティブ制度を設けている場合も多く、高い成果にはそれに応じた報酬が与えられるでしょう。昇格に関しても、入社数年で管理職に就くといったケースが珍しくありません。逆に成果が出なければ降格することもあり、営業成績が評価あるいはポジションと密接に関係してきます。安定性は低い分、大きな躍進を期待できる環境です。
大企業で成果が出たからといって、ベンチャー企業でも同様に成果を残せるとは限りません。環境が大きく異なれば、それに対する向き不向きもあるでしょう。どのような環境でこそ自分は成長し、営業として充実した毎日が送れるのか。それは、自身の性格や志向性を踏まえて判断する必要があります。もし現在の状況に不満がある、あるいは営業成績の伸び悩みを感じているのなら、全く異なる環境への転職を考えてみるのも1つの方法かもしれません。(ライター:ナレッジ・リンクス/三河 賢文)