営業職で使える5つの心理テクニック
デキる営業職の中には、アポを取る際や商談の際に、心理テクニックを用いている人もいます。もちろん製品・サービスへの理解、提案力、ヒアリング能力などの基礎的土台ができていることが前提ですが、心理テクニックを営業時に有効活用できれば、ライバルとの差別化にもつながります。また、転職時の面接でも役立つでしょう。いくつか具体的なテクニックを見てみましょう。
■GIFTの法則
人は何かを与えられると「それに応えなければ」と考える傾向があります。つまり簡単に言えば、「恩返し」したいというものです。何かプレゼントされたとき、もらいっぱなしては悪いなと感じることがあるでしょう。この心理状態を活用するのが、「GIFTの法則」です。たとえば営業先の競合企業に関するデータなど、相手にとってプラスになる情報を提供します。場合によって、試供品などでも良いでしょう。これらを無償提供することで、「ここまで良くしてもらったなら」と、自社の商品・サービス導入(=恩を返したい)へ前向きになってもらうことができます。
■ミラーリング
「ミラーリング」とは相手の何気ない動作を真似ること。実は人間には同じ動作をされた相手には、知らず知らずのうちに親しみを感じやすくなるという心理があるのです。姿勢や呼吸、身振り手振りなどを、わざとらしくならないように、自然に真似にしましょう。ぎこちないとかえって不快感を与えてしまうので、会社や自宅などでトレーニングしておいてください。
■フット・イン・ザ・ドア
たとえば「1万円貸して欲しい」と言われれば、誰しも躊躇したり、不審に感じたりするでしょう。しかし「それなら、1000円でも良いから」と頼まれれば、その心理的障壁は大きく下がるはずです。このように、まず小さなことから頼んでいくことを「フット・イン・ザ・ドア」と言います。小さな頼み事から相手の懐に入り、打ち解けることで少しずつその頼み事を大きくしていきましょう。最初の接点を持つために、とても有効なテクニックです。
■選択話法
相手に二者択一の選択を投げかけることで、断りにくい状況を作り出します。その際、選択肢は購入を前提としたものであることが大切です。例えば「買いますか? 買いませんか?」と問いかけるのではなく、「A商品を買いますか? B商品を買いますか?」という具合です。「Aなら◯◯、Bなら◯◯な改善方法が提案できるのですが、どちらが良いでしょうか?」といったトークも有効でしょう。
■希少性の原理
買いものしている際、「限定◯◯個」などと言われると特別感を抱き、購買意欲を掻き立てられた経験はないでしょうか。いつでも、どこでも手に入るものに比べ、希少性のあるものはその価値が大きく見えるものです。数量を限定するだけでなく、「今月中のご契約なら値引きできますよ」、「○○社さんだけには特別対応しますと」などと打ち出していくのも、「希少性の原理」に従ったテクニックです。
これらの法則は、日常の買いものなどで体験しているものが多いでしょう。それくらい自然に用いられているものなのですから、うまく活用すれば営業力の強化につながるはずです。ただし、心理テクニックだけに頼った営業活動は危険です。まずは土台となる営業力を磨き、シーンに応じて使い分けるようにしてください。営業力があるからこそ、こうしたテクニックも有効に働くのです。(ライター:ナレッジ・リンクス/三河賢文)