営業職が転職面接でついやってしまいがちな「5つのタブー」
転職市場が活況を呈する中、営業職の転職も増加傾向にあります。とはいえ、営業経験があるからといって、転職面接で成功が約束されているわけではありません。ときには、営業職特有の話し方や態度が、意図せずネガティブな印象を与えてしまうケースもあります。
日々顧客との商談で成果を上げている営業職だからこそ、陥りやすい面接でのタブーを理解し、回避することが重要です。今回は、転職エージェントの実例や面接担当者の本音をもとに、営業職が特に注意すべき面接時の5つのタブーを解説していきます。
転職面接で避けるべきタブー5つ
営業職ならではの強みが、転職面接では逆効果になることがあります。面接担当者の評価を下げる5つのタブーとその対策を見ていきましょう。
第1のタブー:おおげさな実績アピール
「目標の200%を達成しました」「社内で常にトップの成績でした」。確かに数字での成果は重要ですが、新たな環境で必ず再現できるとは限りません。具体的な裏付けのない自慢話に聞こえると、信頼性を損なう結果になりかねません。
面接担当者が知りたいのは、その数字をどのように達成したのか、そのプロセスです。例えば「社内で新規開拓が難しいと言われていた地域で、チームを組んで地道な訪問活動と丁寧なフォローアップを続けた結果、前年比150%の売上を達成できました」といった具合に、行動とその成果を結びつけて説明することが重要です。
第2のタブー:商談モードでの話し方
営業職の多くは、お客様との商談で培った話術を持っています。しかし、面接の場で商談のようなトークを展開すると、誠実さに欠ける印象を与えかねません。特に「御社の製品であれば、必ず成果を出せます」といった自信過剰な発言は要注意です。
面接は商談ではなく、互いを知り、理解を深めるための対話の場です。客観的な自己分析に基づく謙虚な姿勢を保ちながら、自身の考えや経験を率直に伝えることを心がけましょう。
第3のタブー:前職への愚痴や批判
「いやあ前職はノルマが厳しすぎまして」「当時の上司の理解がまるで得られず」など、現在の職場への不満を口にしてしまいがちです。しかし、このような発言は、どんなに正当な理由があっても、面接担当者の印象を著しく損ねます。
転職の理由を説明する際は、建設的な表現を心がけましょう。例えば「より幅広い商材を扱いたい」「新しい業界で経験を積みたい」など、前向きな動機を示すことで、意欲的な姿勢をアピールできます。
第4のタブー:質問への曖昧な受け答え
営業経験者は、難しい質問への対応に長けているため、つい話を濁してしまいがちです。「それは状況次第で」「柔軟に対応できます」といった曖昧な返答は、かえって面接担当者の不信感を招きます。
面接では率直さと誠実さが重視されます。「わからない」ことは正直に認め、その上で自分なりの考えや対処方法を説明する姿勢が評価されます。経験がない分野については、「今後学びたい」という意欲を示すことも効果的です。
第5のタブー:準備不足の入社後プラン
「とりあえず頑張ります」「どんな仕事でもやる気があります」といった漠然とした意気込みだけでは、面接担当者の心をつかむことはできません。準備不足の入社後プランは、転職の本気度を疑われる原因となります。
面接前に、応募企業の事業内容や市場環境をしっかり調査し、「御社の○○事業で経験を積み、将来的には新規事業の立ち上げにも携わりたい」といった具体的なキャリアビジョンを示すことが重要です。
面接成功への実践アプローチ
タブーを避けながら、自身の強みを効果的に伝えるためのポイントをお伝えします。
1.「謙虚さ」と「自信」のバランス
営業職には自信を持って自己アピールすることが求められますが、面接では謙虚さとのバランスが重要です。「まだまだ学ぶべきことは多いですが」と前置きしつつ、具体的な強みを示すといった表現が効果的です。
2.「入社後のビジョン」の提示
前職からの待遇改善や環境の変化への希望ではなく、転職後の新しい環境でのキャリアビジョンを明確に示すことが重要です。応募企業の特徴や強みを踏まえた上で、自身の成長プランを提示できれば、より説得力のある面接となります。
3.「具体的エピソード」の準備
面接では、抽象的な説明よりも具体的なエピソードの方が説得力があります。成功体験だけでなく、失敗から学んだことや、チームでの協働経験なども含めて、2~3の印象的なエピソードを用意しましょう。
適切なコミュニケーションを
営業職の転職面接では、日常の商談スキルが裏目に出てしまうことがあります。しかし、今回解説したタブーを意識し、適切な準備を行うことで、面接担当者に好印象を与えることは十分に可能です。
重要なのは、営業パーソンとしての強みを活かしながら、転職面接という場面に合わせた適切なコミュニケーションを心がけることです。自身の経験や能力を正しく伝え、新たなステージでの活躍につなげていきましょう。