有形商材と無形商材、営業手法と求められる資質の違い
営業職が扱う商材は、大きく「有形商材」と「無形商材」に分けられます。自分の目指す方向を決めるうえで、何を扱う営業職に就くかは非常に大切。営業手法などにも大きく影響を与えるため、転職時に求められる資質も異なるでしょう。
有形商材と無形商材
そもそも有形商材と無形商材とは何なのでしょうか。世の中にはさまざまな商材がありますが、簡単に説明すれば次のようになります。
<有形商材>
手に取る(触れる)ことのできる商材。自動車や住宅、紙・ガラスなどの素材、電化製品、部品、食品などカタチのあるもの。
<無形商材>
コンサルティングや研修、情報など目に見えないものの他、人材や広告など1つのカタチとして定めがないもの。
営業職は、自身の取り扱う商材がどちらに当てはまるか、確認してみましょう。そのうえで、ここから商材によって異なる営業手法や転職時に求められる資質の違いについて解説していきます。
営業手法と求められる資質の違い
ここでは3つ営業手法の違いについて取り上げながら、それを背景として求められる資質についてお伝えします。
1)ネガティブイメージの払拭
有形商材の場合、最終的にはその商材そのものを相手に見てもらう(場合によっては使ってもらう)ことができます。そのため、相手は実際に購入・契約後のイメージを明確にすることが可能です。あるいは、すでに「これが必要だ」「これが欲しい」と決まった状態で商談に進むこともあるでしょう。何よりも、相手からの質問・疑問に答えられる商品理解が求められます
しかし無形商材の場合、“何が起きるか”はなかなか分かりません。例えば「コンサルティングを受けることで、どのような結果が得られるのか」「エージェントを通じて人材を採用した際、その人材がどのような活躍を見せてくれるのか」などは、実際にサービスを購入したあとでないとイメージしにくいのです。
そのため購入・契約に当っては、「もしも効果がなかったら」などネガティブなイメージが少なからず残るでしょう。無形商材はこのイメージを払拭するため、より綿密にヒアリングを行い、潜在的ニーズの把握を行います。そして相手が前向きに検討できるよう、過去事例を紹介したりプレゼンテーション資料を用意したりと、あらゆる角度から提案を投げかけます。そのため、コミュニケーション能力や提案力が鍵を握るでしょう。
<長期的なフォローアップ>
無形商材の中には、「売って終わり」となる商材が少なくありません。もちろん定期メンテナンスが必要だったり、新商品が出れば追加依頼を獲得するため連絡を取ったりすることはあるでしょう。しかし購入・契約後、コミュニケーションの機会は商談前よりも少なくなるはずです。どちらかと言えば、市場を読み解き新たな顧客を開拓できる力が必要となります。既存顧客へ定期的にコンタクトを取りつつ新規営業を行うケースもあり、マルチタスクでの業務処理能力も重宝されるでしょう。
これに対して無形商材の多くは、長期的なフォローアップが必要です。例えば広告なら効果測定を行ったり、人材派遣なら更新時の確認・交渉を行ったり。1つの顧客と、より濃い関係を構築していく必要が生じます。何よりも各顧客との信頼関係構築が重要です。適切なフォローアップには、複数企業について状況を正確に把握する管理能力も求められます。
無形商材と有形商材では、同じ営業職でも多くの違いがあります。たとえ無形商材で優秀な成績を残せたとしても、有形商材で同じように活躍できるとは限りません。何を扱い、どのような営業手法で、どういう営業職を目指したいのか。転職時にもこれらを明確にしたうえで、進むべきキャリアを切り拓いてください。(ライター:ナレッジ・リンクス/三河賢文)