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    【転職のリアル】生命保険営業の現状と将来性 デジタル時代でも需要あり

    生命保険営業

    急速なデジタル化やコロナ後の生活様式の変化により、対面営業を主体とする生命保険業界は変革の時を迎えています。「もう保険に加入する人はいないのでは?」「ネット申込みが主流になり営業職の需要は減るのでは?」という不安の声も聞かれます。

    しかし実際のところ、生命保険営業職は今なお多くの企業が積極採用を行い、営業経験者にとっては現実的な転職先の一つとなっています。なぜデジタル時代においても生命保険営業が選ばれるのか。今回は、30代前後の営業職の方々に向けて、生命保険業界の現状分析と将来性について解説します。

    生命保険業界の現状と将来性

    デジタル化の波が押し寄せる中、生命保険業界は大きな変革期を迎えています。データで見る実態はどうなっているのでしょうか。

    1.生命保険市場の実態

    生命保険文化センターの2024年度「生命保険に関する全国実態調査」によると、2人以上世帯における生命保険(個人年金保険を含む)の世帯加入率は89.2%にのぼり依然として高い加入率を維持していると言えます。

    若年層の加入率は以前と比べて低下傾向にありますが、その一方で30代以上の層では医療保険やがん保険など第三分野と呼ばれる商品への関心が高まっています。

    大手生保の決算を見ると、コロナ禍からの回復基調にあり、多くの企業が増収増益を達成しています。これは単に回復というだけでなく、商品開発や営業手法の見直しによる積極的な経営改革の成果とも言えるでしょう。

    2015年をピークに保険代理店の総数は減少傾向にあり、個人代理店において顕著です。一方、大手保険ショップチェーンの「ほけんの窓口」では、2010年以降毎年約100店舗のペースで拠点を拡大しています。ここから、生命保険業界には、対面での専門的なコンサルティングへの需要が依然として存在している表れと見ることもできます。

    2.デジタル化と対面営業

    確かにネット生保の台頭は無視できない事実です。シンプルな定期保険やがん保険など、商品内容が分かりやすい保険商品については、オンライン完結型の申込みが増加しています。

    一方で、専門的な知見や幅広い情報を有する専門家による対面営業への需要も存在します。ネットマイルが保険相談窓口の利用経験者を対象に行った調査によると、「保険相談窓口は使うべきだと思いますか?」の問いに「はい」と答えた人は70.4%にのぼっています。

    「保険相談窓口に行くメリット」としては「プロに相談ができる」(31.9%)、「いろいろな保険が知れる」(23.6%)が上位に。生命保険のような長期的かつ複雑な商品においては、デジタルと人的サービスのハイブリッド型の需要が高まっているのです。

    大手生保各社も、単にデジタル化に対抗するのではなく、デジタルを活用した営業支援ツールの開発や、オンライン面談システムの導入など、従来の対面営業のメリットとデジタル技術を融合させる方向に舵を切っています。

    3.消費者ニーズと営業スタイルの変化

    生命保険営業は、単なる「保障の提供」から「総合的なライフプランニング」へとその役割を進化させています。リスク管理、資産形成、相続対策までを視野に入れた提案が求められるようになり、より専門性の高いコンサルティング営業へとシフトしているのです。

    また、オフィスへの飛び込み営業が難しくなった現在、紹介営業やセミナー型営業、さらにはSNSを活用した情報発信と集客など、営業手法自体も多様化しています。前出のネットマイルの調査でも「店舗とオンラインどちらで相談しましたか?」との問いに「オンライン」が45.6%、「店舗」が54.4%でした。

    こうした変化に対応できる柔軟性と専門性を持った営業パーソンへの需要は、むしろ高まっていると言えるでしょう。

    生命保険営業の実際

    生命保険営業には、世間一般のイメージと実際の仕事内容にはギャップがあります。現代の生命保険営業は従来のイメージから大きく変化しています。

    1.営業スタイルの変化

    かつての生命保険営業といえば、「飛び込み営業」や「押し売り」といったネガティブなイメージが先行していました。「職場の人間関係を使って売る」「親戚や知人を回る」といった営業スタイルも一般的でした。

    現代の生命保険営業は、顧客のライフプランに寄り添う「ファイナンシャルアドバイザー」としての役割が強調されています。営業活動も「とにかく件数をこなす」から「質の高い提案と長期的な関係構築」を重視する方向に変化しています。大量のアポイント数よりも、一人ひとりの顧客に対する深い理解と的確な提案が評価される時代になってきているのです。

    2.顧客獲得アプローチの変化

    確かに若年層を中心に「保険離れ」と言われることがありますが、それは必ずしも保険そのものへの需要の低下ではなく、顧客とのコミュニケーション方法の変化を示しています。現代の顧客獲得アプローチとして効果を上げているのは、以下のような方法です。

    まず、特定のライフイベント(結婚、出産、住宅購入など)に合わせたターゲット型アプローチです。漠然と「保険に入りませんか?」ではなく、ライフイベントに伴うリスクとその対策という文脈で提案することで、顧客の関心を引きやすくなります。

    次に、保険だけでなく、資産形成や税金対策などを含めた総合的な提案が効果的です。単品の保険を売るのではなく、人生設計全体の中で保険の必要性を位置づけることで、顧客の納得感を高めることができます。

    さらに、セミナーやウェビナーを通じた情報提供型の集客も効果を上げています。一方的な営業ではなく、有益な情報を提供することで信頼関係を構築し、そこから相談につなげるというアプローチです。

    3.総合的な資産設計提案の重要性

    「保険より投資の方が効率的ではないか?」という声もよく聞かれます。確かに純粋な資産形成だけを目的とするなら、投資信託やiDeCoなどの金融商品の方が有利なケースも多いでしょう。

    しかし、生命保険の本質は「リスク対策」にあります。万が一の事態が発生した際に、家族の生活を守るためのセーフティーネットとしての役割が第一です。この点を明確に理解し、投資とは異なる保険の価値を伝えられることが重要です。

    現在の生命保険営業に求められているのは、保険と投資・貯蓄を対立させるのではなく、それぞれの特性を理解した上で、顧客のライフステージやリスク許容度に応じた最適な組み合わせを提案できる能力です。

    「保険か投資か」ではなく「保険も投資も、そして時にはその両方を組み合わせた商品も」という発想で総合的な資産設計を提案できることが、今日の生命保険営業に求められる重要なスキルなのです。

    転職先としての生命保険業界

    生命保険証券生命保険業界は、営業職としてのキャリアを考える上で、いくつかの魅力的な要素を持っています。

    1.近年の採用傾向

    生命保険業界の採用状況を見ると、多くの企業が積極的な採用活動を継続しています。特に、他業種での営業経験者に対する需要は高く、転職市場としては買い手市場の状態が続いています。

    大手生保はもちろん、中堅生保や保険代理店、保険ショップなど、多様な企業が存在し、それぞれに特色ある営業スタイルを持っています。企業選びの選択肢が多いことも、転職先としての魅力の一つです。

    2.収入面

    生命保険営業の収入体系は会社によって大きく異なります。伝統的な大手生保では「固定給+歩合給」が一般的ですが、固定給の比率や歩合の計算方法は各社で差があります。転職求人は、以下の点を確認しましょう。

    • 初年度の最低保証収入制度の有無と金額
    • 基本給とインセンティブの比率
    • インセンティブの計算方法(新規契約だけか、継続も評価されるか)
    • 既存顧客の引継ぎ制度があるか

    特に注意すべきは初年度の収入です。多くの企業では新規顧客基盤がない状態からのスタートとなるため、初年度の平均年収は300万円〜400万円程度と低く抑えられる傾向にあります。この時期の厳しさが原因で、業界全体の1年以内離職率は30%前後という高い数字になっており、転職を検討する際には以下の点を確認することをお勧めします。

    多くの企業では固定給部分は最低限で、収入の大半はインセンティブ(歩合)に依存する傾向があります。上位20%のトップセールスは年収1,000万円を軽く超える一方、下位層では年収300万円台という厳しい現実もあります。

    一方、例えばソニー生命では「ライフプランナー」と呼ばれる営業職に対し、入社初期は比較的高めの固定給を保証し、その後段階的にインセンティブ(歩合)の比率を高めていく制度を採用しています。営業職が安定した収入基盤の上で顧客開拓に専念できるよう設計され、初年度の離職率低減にも一定の効果をあげています。

    3.将来的なキャリアパスの多様性

    生命保険営業から始まるキャリアパスは多様です。営業職を極めてトップセールスを目指す道はもちろん、マネジメント職として部下を育成する道や、商品開発や営業企画など本社機能を担う道もあります。

    また、獲得した専門知識を活かし、ファイナンシャルプランナーとして独立したり、税理士など他の専門資格と組み合わせてより専門性の高いコンサルタントへとキャリアアップする例も増えています。

    さらに近年は、金融サービスの垣根が低くなる中で、銀行や証券会社など他の金融業界への転職の足がかりとなることもあります。生命保険での経験が、より幅広い金融キャリアの出発点となるケースも少なくないのです。

    新たな可能性の時代に

    デジタル化や経済状況の変化など、確かに生命保険業界を取り巻く環境は大きく変わりつつあります。しかし、それは単なる脅威ではなく、新たな可能性の芽でもあるのです。従来の「飛び込み営業」から、より専門性の高いコンサルティング営業へと進化する今、営業経験者にとっては自らのスキルを活かせる絶好の転職先となり得ます。

    消費者の価値観が多様化し、情報へのアクセスが容易になった今日、生命保険営業はより専門性の高い仕事へと変化しています。単なる商品説明だけでなく、顧客のライフプランを総合的に考え、最適な提案ができる「ファイナンシャルアドバイザー」としての役割が重視されるようになりました。

    こうした変化は、真摯に顧客と向き合い、価値ある提案をしたいと考える営業パーソンにとって、むしろ追い風と言えるでしょう。変化を恐れず、自分のキャリアを主体的に切り拓いていく姿勢こそが、この業界で活躍するための鍵なのです。

     

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