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    【SaaS業界への転職】MarTech系営業の現状と将来性 データ駆動型マーケティングを支える

    MarTech系営業

    DXの波が様々な業界に押し寄せる中、マーケティングテクノロジー(MarTech)に関連するSaaSサービスは、企業のデジタルマーケティング戦略に不可欠な存在となりつつあります。これに伴い、マーケティングテック(MarTech)系営業職という新たな職種の需要が高まっています。

    このような営業職は、顧客企業のデータ駆動型マーケティングを支えるソリューションを提供する重要な役割を担います。転職を考える若手営業職の方々にとって、この領域は大きな可能性を秘めています。今回は、MarTech系営業の現状と将来性について、実践的な視点から解説します。

    MarTech系SaaSとは何か

    マーケティングテクノロジーとは、企業のマーケティング活動を支援・効率化するためのテクノロジーの総称です。特にSaaS形式で提供されるこれらのツールは、導入のしやすさから多くの企業に採用されています。

    1. MarTechの基本知識

    マーケティングテクノロジーは、企業のマーケティング活動におけるデータ収集、分析、顧客管理、コンテンツ制作、広告配信など様々なプロセスを自動化・効率化するためのツールです。従来は個別に管理されていたこれらの機能が、クラウド上で統合的に提供されるようになったことで、企業のマーケティング部門の業務革新が進んでいます。

    SaaS型のMarTechツールの最大の特徴は、初期投資を抑えて導入できること、そして常に最新機能が利用できることです。これにより、大企業だけでなく中小企業でもハイレベルなマーケティング活動が可能になっています。

    2. 主要なMarTechカテゴリー

    マーケティングテクノロジーは多岐にわたりますが、代表的なカテゴリーとしては以下のようなものがあります。

    • MAツール(マーケティングオートメーション):見込み顧客の育成や行動分析を自動化
    • CRMツール:顧客情報の管理と分析
    • データ分析ツール:ウェブサイトやアプリの利用状況を分析
    • コンテンツマネジメントシステム:ウェブコンテンツの作成・管理
    • SNS管理ツール:複数のSNSアカウントの一元管理
    • 広告運用ツール:インターネット広告の配信・最適化

    日本企業においても、これらのツールの導入は進んでいますが、導入後の活用に課題を抱える企業も少なくありません。そこで重要になるのが、ツールの機能だけでなく、その活用方法まで具体的に提案できるSaaS企業の営業担当者の存在です。

    3. 日本市場における現状と成長率

    国内のマーケティングテクノロジー市場は、年率15~20%程度で成長しているとされています。特にコロナ禍以降、デジタルマーケティングの重要性が高まり、関連ツールへの投資は増加傾向にあります。

    日本市場の特徴として、海外発のグローバルツールと国産ツールが混在している点が挙げられます。グローバルツールは機能が豊富である一方、日本企業の業務慣行に合わない部分もあり、その橋渡しをする営業の役割は非常に重要です。また、導入実績や成功事例が少ない新興ツールの場合、営業担当者の提案力が導入の可否を大きく左右します。

    MarTech系営業に求められるスキルセット

    MarTech系の営業には、従来の営業スキルに加えて、特有のスキルセットが求められます。

    1. 従来の営業スキルとの違い

    従来型の営業との最大の違いは、「製品知識の深さと活用提案力」にあります。マーケティングテクノロジーは単に導入すれば効果が出るものではなく、顧客企業の業務プロセスやマーケティング戦略と組み合わせて初めて真価を発揮します。

    そのため、「この機能があります」という説明だけでなく、「御社のこの課題はこのように解決できます」という具体的な活用シナリオの提示が必要になります。また、顧客のマーケティング課題を引き出す質問力や、現状分析力も重要なスキルです。

    もう一つの大きな違いは、営業プロセス自体が長期化する傾向にあることです。製品デモからトライアル、本導入、そして活用定着までのプロセスをフォローする必要があり、短期的な成果だけでなく、顧客の成功に向けた継続的なサポートが求められます。

    2. 顧客のデータ活用を支援するスキル

    MarTech系SaaSの営業担当者には、顧客企業がデータをどのように活用すべきかをアドバイスできるデータリテラシーが必要です。顧客が自社のマーケティングや営業活動のデータを効果的に分析し、意思決定に活かせるよう支援する役割があります。

    基本的な統計知識やデータ分析の概念(セグメンテーション、コンバージョン率、LTVなど)を理解し、それを非技術者である顧客にも分かりやすく説明できるコミュニケーション能力が求められます。

    3. 必要な技術知識のレベル感

    MarTech系の営業に必要な技術知識のレベルは、取り扱う製品によって異なりますが、一般的には以下のような知識があると有利です。

    • マーケティングの基本フレームワーク(カスタマージャーニー、ファネル等)
    • ウェブサイトの基本構造(Cookie、アクセス解析の仕組み等)
    • データベースの基本概念(顧客データの構造等)
    • API連携の基本的な理解(各種ツール間の連携可能性)

    これらは転職前に基礎知識を身につけておくことで、入社後の立ち上がりを早めることができます。特に異業種からの転職を考えている場合は、オンライン講座やセミナーなどを通じて、最低限の知識を習得しておくことをおすすめします。

    顧客のデータ駆動型マーケティングを支える営業担当者の役割

    顧客企業がデータに基づいた意思決定や営業活動を行う「データ駆動型マーケティング」を実践するためには、適切なマーケティングテクノロジーの導入が不可欠です。MarTech系SaaSを提供する企業の営業担当者は、顧客企業のデータ駆動型マーケティングを支援する重要な役割を担っています。

    1. 顧客の営業課題を理解したソリューション提案

    MarTech系SaaSの営業担当者は、顧客企業の営業・マーケティングデータを分析し、どのような課題があるのかを特定することから始めます。例えば、リード獲得のコストが高い、商談化率が低い、営業サイクルが長いなど、データから見えてくる課題に対して、自社のSaaSソリューションがどのように解決できるかを提案します。

    具体的なプロセスとしては、顧客の現状データを収集・分析し、データから見える課題や機会を特定します。次に、ツールの機能と紐づけた具体的な改善策を提案し、導入後の効果予測として数値目標を設定します。最後に、導入後の実測値による効果検証と追加提案を行います。

    このプロセスを踏むことで、「なぜこのツールが必要か」という根拠を、感覚ではなく数字で示すことができます。これは、予算決裁者を説得する上でも非常に有効です。

    3. 成果測定とROI証明の支援

    顧客企業がマーケティングテクノロジーを導入する目的は、最終的にはビジネス成果の向上です。MarTech系SaaSの営業担当者は、導入前に顧客と一緒に明確なKPI(重要業績評価指標)を設定し、導入後にその達成度を測定する方法を提案することが重要です。

    例えば、MAツールの導入であれば、「リード獲得数の20%増加」「リードナーチャリングのコスト30%削減」などの具体的な目標を設定し、その達成を支援します。投資対効果(ROI)を証明できるかどうかが、継続利用や追加導入の決め手となります。

    3. 営業活動自体のデータ分析と改善

    データ駆動型マーケティングでは、顧客のデータだけでなく、自らの営業活動もデータ化し、分析・改善することが求められます。商談から成約までの平均期間、各段階(デモ、トライアル、見積もり等)の通過率、提案内容別の成約率、顧客属性別の成約率・契約継続率などの指標を管理します。

    これらのデータを分析することで、「どのような顧客に、どのような提案をすれば成約しやすいか」という知見が得られます。そして、その知見を活かして営業活動を最適化することで、成績の向上につなげることができます。

    MarTech系営業への転職を成功させるための準備

    MarTech系SaaS企業の営業職への転職を成功させるためには、適切な準備が必要です。ここでは具体的な準備方法をご紹介します。

    1. 効果的な自己アピールポイント

    MarTech系営業への転職において効果的なアピールポイントは、数字で示せる営業実績(達成率、成長率など)、顧客の課題解決に貢献した具体的な事例、デジタルツールの活用経験(自社業務で使ったものでも可)、マーケティングやデータ分析に関する知識・経験、新しい知識を学び続ける姿勢や好奇心などです。

    特に重要なのは、過去の営業経験で身につけたスキルが、MarTech系営業にどう活かせるかを具体的に説明できることです。例えば、「製造業での営業経験があり、製造業のマーケティング課題に対する理解がある」といった具合です。

    2. 業界・製品知識の効率的な習得法

    短期間で業界・製品知識を習得するためには、各社のウェブサイトやブログ記事を読み込んだり、無料のウェビナーや製品デモに参加したりすることが効果的です。また、MarTech関連のオンラインコミュニティに参加する、実際に無料トライアルを利用してみる、業界の展示会やイベントに足を運ぶなどの方法も有効です。

    また、自分自身がMarTechのターゲットユーザーになったつもりで、「自分がこのツールを使うとしたら、どのような価値を感じるか」という視点で考えてみることも有効です。

    顧客の成功を支援するパートナーとして

    MarTech系営業は、顧客企業のデータ駆動型マーケティングを支える重要な存在です。単にツールを販売するだけでなく、顧客がデータを活用して営業成果を向上させるためのパートナーとしての役割を担います。

    データ分析の知識とコミュニケーション能力を併せ持つ営業担当者への需要は、今後も拡大し続けると予想されます。従来型の営業スキルを持つ方が、データリテラシーを高めることで、MarTech系営業として大きな価値を発揮できる時代が到来しています。

    変化を恐れず、新しい知識を吸収し続ける姿勢さえあれば、顧客企業のデータ駆動型マーケティングを支えるMarTech系SaaSの営業職は、30代に差し掛かる営業職の方々にとって、キャリアの可能性を大きく広げる選択肢となるでしょう。

     

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