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    金融システムエンジニアになるには? 今求められるスキルと転職成功のポイント

    金融システムエンジニアになるには? 今求められるスキルと転職成功のポイント

    近年、DX推進に伴い金融業界でもITエンジニアの需要が高まっています。特に銀行・証券・保険といった業界では、従来のレガシーシステムの刷新やフィンテックへの対応など、専門性の高いシステム開発が求められています。しかし、一般的なITエンジニアとは異なり、金融システムエンジニアには金融業務の知識やコンプライアンス対応など、業界特有のスキルも必要です。

    今回は、金融システムエンジニアに求められるスキルや知識、そして未経験から転職を成功させるためのポイントについて解説します。金融とITの両方の知識を持つ人材は引く手あまたの状況ですので、キャリアアップを考えている方はぜひ参考にしてください。

    金融システムエンジニアの仕事内容と市場価値

    金融システムエンジニアは、銀行・証券・保険といった金融機関のシステム開発や保守を担当する専門職です。一般的なエンジニアとは異なる特殊な環境で働くことになります。

    1. 各金融業界におけるシステム開発の特徴

    銀行業界では、預金・融資・為替などの「基幹系(勘定系)システム」と、営業支援や顧客管理などの「情報系システム」の開発が主な業務です。特に勘定系システムは24時間365日の安定稼働が求められ、障害が発生した場合の社会的影響も大きいため、高い信頼性と堅牢性が要求されます。

    証券業界では、株式や債券などの売買を支える取引系システムの開発が中心です。ミリ秒単位の処理速度が求められるほか、市場の変動に応じたリアルタイム処理能力も重要となります。

    保険業界では、契約管理や保険金支払いなどの業務系システムに加え、リスク分析や資産運用のためのシステム開発も行われています。長期にわたる契約管理が必要なため、データの長期保存と整合性維持が重視されます。

    2. なぜ今、金融システムエンジニアが求められているのか

    金融業界では、以下の理由から専門知識を持つエンジニアの需要が高まっています。

    レガシーシステムの刷新:多くの金融機関では1990年代に構築された基幹系システムが現役で稼働しており、保守コストの増大やシステム拡張の難しさから、モダナイゼーションが急務となっています。

    フィンテックの台頭:キャッシュレス決済やオンラインバンキングの普及により、既存の金融システムとの連携や新サービスの開発が活発化しています。

    規制対応の必要性:金融機関は年々厳格化する金融規制に対応するためのシステム改修を継続的に行う必要があり、その開発需要は今後も継続すると見られています。

    3. 年収相場と将来性

    金融システムエンジニアの年収相場は、一般的なITエンジニアと比較して高い傾向にあります。20代後半で500〜600万円、30代では700〜900万円程度が相場となっています。特に専門性の高い領域(トレーディングシステムやリスク管理システムなど)に精通したエンジニアは、1000万円を超える年収も珍しくありません。

    将来的には、クラウド移行やAI活用などの新技術導入により、より高度な専門性を持つエンジニアの需要が高まると予測されています。金融知識とITスキルの両方を兼ね備えた人材は、今後も市場価値の高い状態が続くでしょう。

    必須となる3つの専門スキル

    金融システムエンジニアに求められるスキルは多岐にわたりますが、特に以下の3つのスキルが重要です。

    1. 金融業務知識

    金融システムエンジニアにとって、金融業務の理解は必須条件です。例えば、銀行業務であれば預金・融資・為替の仕組みや会計処理、証券業務であれば有価証券の種類や取引ルール、保険業務であれば保険数理や契約管理の流れなどを理解している必要があります。

    特に重要なのは、業務フローとデータの流れを把握することです。例えば、銀行の融資業務では、申込から審査、実行、返済管理までの一連の流れと、その過程で生成・更新されるデータの関連性を理解していなければ、適切なシステム設計はできません。

    また、会計知識も重要です。金融機関の取引はすべて会計処理に結びつくため、仕訳の基本や財務諸表の見方などの知識があると、システム開発における要件定義や設計段階でのミスを防ぐことができます。

    2. ITスキルと開発手法

    金融システムの開発には、一般的なシステム開発で必要とされるスキルに加え、金融業界特有の開発手法や技術知識が求められます。

    プログラミング言語としては、基幹系システムではCOBOLやJavaが今でも多く使われています。情報系システムでは、Java、.NET、PHPなどが中心となっています。また、最近ではPythonを活用したデータ分析やAI開発のニーズも高まっています。

    データベースについては、大規模データを扱うためOracle、DB2、SQLServerなどの商用データベースが主流ですが、クラウド移行に伴いAWS RDSやAzure SQLなどのクラウドデータベースの知識も重要になっています。

    開発手法としては、金融システムは安定性が重視されるため、ウォーターフォール型の開発が主流でした。しかし、フィンテック領域ではアジャイル開発やDevOpsの導入も進んでおり、両方の手法に対応できる柔軟性が求められています。

    3. コンプライアンスとセキュリティ対応力

    金融機関のシステムは、顧客の個人情報や資産情報を扱うため、高いセキュリティレベルが要求されます。また、金融庁による各種規制やガイドラインへの準拠も必須です。

    具体的には、FISC(金融情報システムセンター)のセキュリティガイドラインやPCI DSS(クレジットカード情報保護の国際基準)などの業界標準に準拠したシステム設計・開発が求められます。また、マネーロンダリング対策やサイバーセキュリティ対策などの知識も重要です。

    システム監査やセキュリティテストの経験があると、金融システムエンジニアとしての市場価値が高まります。障害発生時の対応プロセスや、インシデント管理の知識も求められるスキルの一つです。

    金融知識の効率的な学習法

    金融システムエンジニアとして活躍するためには、IT知識だけでなく金融知識も必要です。効率的に金融知識を習得するための方法を紹介します。

    1. 金融知識の基礎から学ぶ

    金融知識の習得は、まず基礎から始めることが重要です。銀行・証券・保険それぞれの業界の基本的な仕組みや商品知識を学ぶことから始めましょう。

    書籍:「銀行論」「証券市場論」「保険論」といった入門書から手に取ることをおすすめです。また、金融機関のディスクロージャー誌(事業報告書)を読むことで、実際のビジネスモデルや収益構造を理解することができます。

    オンライン学習:金融機関や証券会社が提供する無料セミナーや、YouTubeなどの動画コンテンツも効果的です。例えば、日本証券業協会や全国銀行協会などの業界団体が公開している教育コンテンツを活用するのも良いでしょう。

    2. 業界特化型の資格取得

    金融知識を体系的に学ぶ方法として、資格取得は効果的です。特に以下の資格は、金融システムエンジニアのキャリアにおいて有利に働きます。

    銀行業務検定:窓口、融資、外国為替、年金・投資などの分野別に専門知識を証明できる資格です。特に「財務3級」は財務分析の基礎を学べるため役立ちます。

    証券アナリスト(CMA):証券投資や企業分析に関する専門知識を身につけられる資格です。システム開発においても、業務要件の理解度が深まります。

    FP(ファイナンシャルプランナー):金融商品全般の知識を幅広く学べる資格です。特に3級・2級レベルは金融の基礎知識として有用です。

    TOEIC:金融英語やシステム開発の英語ドキュメントを理解するために、英語力も重要です。特に700点以上あると転職時に評価されやすくなります。

    3. 実務経験を補完する方法

    未経験者が金融業務の知識を得るには、実務に近い形で学ぶことが効果的です。

    オープンAPIやサンドボックス環境の活用:最近では多くの金融機関がAPIを公開しており、実際にアプリケーションを開発することで金融システムの仕組みを学ぶことができます。例えば、銀行APIを使った家計簿アプリの開発などが挙げられます。

    ハッカソンやコンテストへの参加:金融機関やフィンテック企業が主催するハッカソンに参加することで、実践的な知識や人脈を得ることができます。

    副業やフリーランスでの経験:本業とは別に、小規模な金融関連システムの開発に携わることで、実務経験を積むことができます。クラウドソーシングサイトなどを活用すると良いでしょう。

    金融機関出身者との交流:金融業務経験者との人脈を広げることも有効です。SNSや勉強会などを通じて、現場の声を聞く機会を作りましょう。

    未経験からの転職成功戦略

    金融業界未経験者が金融システムエンジニアとして転職するためのポイントを解説します。

    1. 強みとなるスキルの見極め方

    未経験からの転職では、自分の強みを明確にすることが重要です。以下のような強みがあれば、金融システムエンジニアへの転職で有利になります。

    大規模システム開発経験:金融システムは大規模かつ複雑なため、大人数での開発経験やプロジェクト管理経験があれば評価されます。

    データベース設計・運用経験:金融システムはデータの整合性や永続性が重視されるため、データベースに関する知識や経験は大きな武器になります。

    セキュリティ関連のスキル:情報セキュリティスペシャリスト資格や、セキュリティ対策の経験があれば、金融システムの開発で重宝されます。

    業務系システム開発経験:ERPやCRMなどの業務系システムの開発経験は、金融業務の理解にも役立ちます。

    転職前に、これらのスキルをポートフォリオとしてまとめておくと、面接での説明がスムーズになります。

    2. 効果的な転職活動の進め方

    金融システムエンジニアへの転職では、一般的な転職活動とは異なるアプローチが効果的です。

    業界特化型の転職エージェントの活用:金融業界やIT業界に特化した転職エージェントを利用することで、自分に合った求人を効率的に見つけることができます。

    SIerや金融系ベンダーへのステップアップ:直接金融機関に転職するのが難しい場合は、金融システム開発を手がけるSIerやベンダー企業への転職がファーストステップとして有効です。

    金融業界の動向リサーチ:面接では、金融業界の最新動向や課題に関する知識があると評価されます。日経金融新聞やFintech関連のニュースサイトをチェックしておきましょう。

    ポジションの絞り込み:未経験者は、「要件定義」「テスト」「保守運用」などの比較的参入しやすいポジションから始めることも検討しましょう。

    3. 面接で評価されるポイント

    金融システムエンジニアの面接では、技術力だけでなく以下のような点も重視されます。

    コミュニケーション能力:金融システム開発では、業務部門との折衝や要件のすり合わせが重要です。わかりやすく説明する能力や、質問に的確に答える姿勢が評価されます。

    論理的思考力:複雑な業務フローや要件を整理し、システム設計に落とし込む能力が問われます。過去の業務での論理的な問題解決例を準備しておきましょう。

    金融業界への関心度:なぜ金融システムエンジニアを志望するのか、金融業界のどのような課題に関心があるのかを明確に説明できると好印象です。

    自己学習能力:金融知識やIT技術は常に進化するため、自発的に学習する姿勢が重要です。最近学んだことや取り組んでいる自己啓発について話せるようにしておきましょう。

    面接前には、志望する企業の金融サービスやシステム構成について可能な限りリサーチしておくことも大切です。

    これからの金融システムエンジニアに求められる視点

    金融システムエンジニアは、ITスキルと金融知識を併せ持つ専門性の高い職種です。テクノロジーの進化とともに、フィンテックの台頭やAI活用など、金融システムは日々変化しています。そんな中で価値ある人材になるためには、自身のITスキルを磨くことはもちろん、金融業界の動向やビジネスモデルへの理解を深めることが重要です。

    金融機関が真に求めているのは、技術だけでなく、その技術を使って金融ビジネスの課題を解決できる人材です。システム開発の知識と金融業務の知識を橋渡しできるエンジニアは、今後ますます重宝されるでしょう。また、グローバル化やデジタル通貨の普及に伴い、国際的な金融規制や最新技術への対応力も問われています。

    専門性と実務知識を組み合わせることで、市場価値の高いエンジニアとしてのキャリアを築くことができるでしょう。金融システムエンジニアは、単なる技術者ではなく、金融ビジネスのパートナーとしての役割が期待されています。

     

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