ITエンジニアが転職に失敗する6個の理由
雇用の流動性が高まり、転職が当たり前になった現在、1社に勤め続ける人のほうが珍しい人材と言えるかもしれません。多くの人が転職によってキャリアアップやワーク・ライフ・バランスの実現を図るようになっています。
ITエンジニアの場合、技術力さえあれば転職でも問題がないように思えるかもしれません。しかし、いざ転職してみたら事前に聞いていた業務内容と違っていたり、労働状況が違っていたりといったことが起こる場合も少なくありません。最悪の場合、転職してすぐに再転職してしまう可能性もあります。
ではどのような場合に転職に失敗してしまうのでしょうか。具体的に、6つの理由を挙げてみましょう。
- 転職理由が明確でない。または転職理由が現職への不満でしかない。
- 職場が変わることに伴う環境の変化を見込んでいない。
- 不安や焦りなどにとらわれて、安易に転職先を選んでいる。
- 転職先に良いイメージを抱き過ぎている。
- 将来のキャリアプランを考えていない。
- 他者のアドバイスを素直に聞けない。
これらはITエンジニアに限らずどの仕事でも言えることです。しかし、「技術さえあればどうにかなるだろう」と、自己完結しがちなITエンジニアという職業においては、特に注意が必要です。それぞれの理由について、詳細を見ていきましょう。
1. 転職理由が明確でない。または転職理由が現職への不満でしかない。
転職理由が明確でなかったり、職場への不満などネガティブなものだけだったりすると、転職先で実現したい働き方のイメージが抱けず、“なんとなく”で転職先を選んでしまいがち。転職できたとしても再びネガティブな理由で転職してしまうことが想定されます。転職理由を明確にし、転職先でどのような状況改善を求めているかを、自分自身が認識しておく必要があります。
2. 職場が変わることに伴う環境の変化を見込んでいない。
職場が変わると、仕事において今までと全く違った手法が用いられていることがあります。場合によってはイチから覚え直す必要があり、自分のパフォーマンスを発揮できないかもしれません。こうした転職に伴うデメリットを念頭に置いておかないと、転職後に「こんなはずじゃなかった」と後悔する可能性があります。
3. 不安や焦りなどにとらわれて、安易に転職先を選んでいる。
転職活動が長引くと、内定が得られない焦りから希望条件のハードルを下げ、理想とかけ離れた企業へ転職してしまうことがあります。しかしこれでは転職によって実現したいことが満たされず、転職後も「もっとよく考えてから転職すればよかった」と不満を抱きやすくなります。転職にかかる期間はおよそ3か月~6か月。長期間におよぶ可能性を念頭に置き、焦らず・じっくり企業を選ぶことが大切です。
4. 転職先に良いイメージを抱き過ぎている。
企業の知名度や想定年収など、求人票の良い部分だけを見てイメージを膨らませすぎてしまう場合があります、また、転職サイトでのプライベートオファーなどから、「もしかして自分は転職で有利?」と思い込んでしまうことも少なくありません。しかし転職先には良い点も悪い点もあります。例えば、高年収の裏には激務があるかもしれません。メリットやデメリットを把握し、転職後の実情と自分のイメージとのギャップを減らすことが大事です。
5. 将来のキャリアプランを考えていない。
自分の望む将来像が具体的ではなくても、ある程度の道筋は考えておきましょう。目指すキャリアと転職理由が一致していれば、それは説得力のある転職理由になります。転職でも一本の“筋”を通すことができますし、面接などにおいても採用担当者にぶれない姿勢を見せることができるでしょう。
6. 他者のアドバイスを素直に聞けない。
他人の意見に耳を傾けることは、仕事でも必要な能力です。もちろん、転職においてもそれは同様です。転職コンサルタントや知人に相談することも多いですし、たとえ厳しい意見でも時には冷静に聞く必要があります。意見を聞く余裕がないと、転職活動が長引いてしまったり、転職できなかったりという事態に繋がります。
ITエンジニアは技術力も大切ですが、転職においてはいかに自分のことを相手に伝えられるかが重要です。一度転職してしまえば、以前の職場に復帰できる機会はほとんどありません。後悔して転職を重ねてしまう前に、自分の置かれている状況や求めるものを理解し、正しく相手に伝えるようにしたいものです。(ライター:ナレッジ・リンクス/原 進)