ITエンジニアの目指すキャリア5パターン
従来、ITエンジニアのキャリアプランは、PG→SE→PMと管理職コースで進んでいくことが理想的とされていました。しかしワークライフバランスの変化や働き方の多様化が進んだ現在、目指すキャリアは必ずしも一つではなくなっていますし、企業側もキャリア幅の拡充を図っています。以下の5つは、PGやSEからのキャリアアップを大まかに分けたものです。
- PM
- ITコンサルタント
- セールスエンジニア
- ブリッジSE
- スペシャリスト
それぞれのキャリアについて、詳しく見ていきましょう。
1. PM(プロジェクトマネージャー)
プロジェクトを成功に導く責任者です。ITエンジニアにとっての管理職的存在であり、開発の陣頭指揮から顧客との折衝までを担います。技術力やコミュニケーション能力が求められるのはもちろん、開発現場のリーダーシップをとるので開発メンバーからの信頼を得ることも重要です。
なお近年ではPMの負担を軽減するための支援組織としてPMO(プロジェクトマネジメントオフィス)を設ける企業もあります。PMOは高度化・複雑化するプロジェクトマネジメントを支援しつつ、「品質」「納期」「コスト」を満たすように計画・折衝などを行う部門です。
キャリアの難易度:★★★☆☆
キャリアステップの例:PG → SE → (PL)→ PM
向いている人:開発に携わりつつ、メンバーとプロジェクトを管理できる人
2. ITコンサルタント
企業の経営課題に対し、ITを用いた解決策を提案する仕事です。企業ごとのニーズに合わせて現実的な提案を行い、さらに他社と差別化するため付加価値をつけるような提案を行います。開発に直接携わることはありませんが、その代わりに経営者的視点や論理的思考、プレゼン能力、コミュニケーション能力が求められます。またPMよりも一段高い視点で開発プロセス全体を見渡す大局観が求められます。
キャリアの難易度:★★★★★
キャリアステップの例:PG → SE → PM → ITコンサルタント
向いている人:ITの経験を生かして、企業経営に携わってみたい人
3. セールスエンジニア
ITの技術と知識を武器に営業活動を行うポジションです。営業担当なので日々のノルマを達成するための努力と粘り強さが求められるのはもちろん、顧客のニーズを把握し、商談を行い、不意な質問にもわかりやすく答えるコミュニケーション能力も求められます。また、自社のSEやPMと綿密にスケジュールを確認したり相談を行ったりすることも求められます。クライアントと開発陣との間に立ちながら、営業担当としてプロジェクトを潤滑に進めることがミッションと言えるでしょう。
キャリアの難易度:★★★★☆
キャリアステップの例:PG → SE → セールスエンジニア
向いている人:営業志向の人、ITの知見を営業で役立てたい人
4. ブリッジSE
SEとして働きつつ、海外の開発者との橋渡しも行います。特にオフショア開発の提携先のSEとやり取りすることが多いでしょう。オフショア開発を進める上で課題となる言語の壁を乗り越え、円滑にコミュニケーションできるように調整役を担うポジションです。当然ながらオフショア先とオフショア元の双方の言語に対する知識・理解、ビジネス習慣の違いの理解、技術に関する知識が求められます。
ブリッジSEに求められる言語レベルについてですが、ITの開発で使う言葉はそう多くないため、必ずしもネイティブレベルのものが求められるわけでもありません。こちらの記事を参考にしてみると良いでしょう。
キャリアの難易度:★★☆☆☆
キャリアステップの例:PG → SE → ブリッジSE
向いている人:外国語を生かしてITの仕事に携わりたい人
5. 技術スペシャリスト
データベースエンジニア、ネットワークエンジニア、スーパープログラマなど、特定の技術に特化したポジションです。基本的に管理職としてチームマネジメントや顧客との折衝などに携わることはなく、開発に特化して業務を遂行することになります。最新の技術の習得やサービスに関する広い知見だけでなく、「この技術なら誰にも負けない」というプログラミングへの強い意欲が求められます。
キャリアの難易度:その人の技術レベルにより異なる
キャリアステップの例:PG → SE → 技術スペシャリスト
向いている人:プログラミングや最新技術で誰にも負けないという人
職種として細かく分類すると多くの職種がありますが、これからのIT業界の変化に伴い、職種も増えていくことが予想されるでしょう。上記の1~4のように管理職系や営業系へのキャリアチェンジを考えている場合、いつまでにどういった経験をするべきか自身のキャリアについて設計しておく必要があるでしょう。(ライター:ナレッジ・リンクス/原 進)