ITエンジニアが身に付けておくべき5つのブラック企業対策
競合他社がひしめき合うIT業界で、納期やコストの圧縮が頻繁に起きます。そのため社員にしわ寄せが行きがちで、ブラック企業になりやすいとも言えるでしょう。ブラックなIT企業を見抜くためのポイントはこちらの記事を参考にしていただきたいのですが、ITエンジニアとして働く以上、ブラック企業に遭遇してしまうことは誰にでもありえます。
入社後のブラック企業への対策として、以下の5点を意識しておきましょう。
- いつでも転職できるように自分のスキルを高めておく
- 他社のエンジニアと交流を持ち、自社のブラック度を判断する
- 入社前に得た情報と入社後の勤務実態のズレを確認する
- 協力会社への要求内容を確認する
- 技術部と営業部でコミュニケーションが取れるか確認する
これらのポイントについて、詳しく見ていきましょう。
1. いつでも転職できるように自分のスキルを高めておく
ブラック企業に入ってしまうと、残業などで自由時間をつくることが難しくなると想定されます。しかし、1日30分でも15分でもいいので自主的に勉強する時間を持ちましょう。コードを書く、新技術を研究する、専門書を読むなど、短時間でもできることはあるはずです。
自主的にスキルを高めることでブラック企業に依存する必要がなくなり、「いつ転職しても大丈夫だ」と精神的にも余裕ができます。もちろん、実際の転職の際にも自分の市場価値も上がるので転職でも有利でしょう。
2. 他社のエンジニアと交流を持ち、自社のブラック度を判断する
「灯台下暗し」のことわざにもあるように、社員として企業に属していると自社がブラック企業かどうかは判断しにくくなります。特に新卒社員や若手ほど他社の状況を知らないため、比較・判断するのが難しいものです。客観的な判断材料を持つためにも、他社のエンジニアと交流を持つことが重要です。
SNSつながることもできますし、近年はITエンジニア向けのイベントも豊富です。人脈形成は転職にもプラスですから、他社のITエンジニアと情報交換を行いましょう。
3. 入社前に得た情報と入社後の勤務実態のズレを確認する
新しい会社に入社したら、まずは事前情報と実態のズレを確かめてみてください。ブラック企業の中には「とにかく入社させて仕事漬けにしてしまえばいい」という“洗脳”まがいの採用方針を行っているところもあります。これは、事前情報と入社後の実態のズレに気づく前に激務に慣れさせて、都合よく社員を使い倒す手口です。
こうなると「この会社はこんなものなのかも」と感覚がマヒし、ブラック企業であることに気づきにくくなります。そうならないためにも、入社後は早めに求人票の内容や面接で得られた情報が正しいものだったかどうかを確認しましょう。
4. 協力会社への発注内容を確認する
IT企業では自社内のメンバーだけでは人員が足りず、他社に開発業務を委託することがあります。このとき、あなたの所属する会社が、委託先の企業に対して無理な要求をしている場合は要注意です。他社にブラックな要求をしている企業や、下請けいじめをしている企業は業界内でも嫌われますし、最悪の場合そこで働いたことでキャリアに傷がつく可能性もあります。
また、あなたが委託先とのやり取りを担当する場合、上司から「もっと委託先を働かせろ!」と詰め寄られることも考えられるでしょう。そうなるとあなた自身がブラック的なビジネスパーソンになってしまいます。
5)技術部と営業部でコミュニケーションが取れるか確認する
営業部が受注した案件に技術部が口出しできない、逆に技術部の開発やその品質について営業部が口を出せないというIT企業は少なくないようです。特に社内のコミュニケーションが慢性的に悪いブラック企業では、この傾向が顕著です。転職後は営業部と技術部のコミュニケーションの度合いを確認してみましょう。
「お互いについて陰口を言っている」、「ひんぱんに責任の押し付け合いが起きている」といった状況であれば、転職を検討する必要もあるかもしれません。ただし、ちょっとしたすれ違い程度であれば、改善できる可能性はあります。営業部の人とミーティングを密に取る、新規の受注時には営業担当と開発担当が同席するといった工夫で、営業部と技術部のコミュニケーション不足を解消できます。
ブラック企業には入社しないに越したことはありませんが、上記の通りIT企業は他の企業よりもブラック化する要因が強いものです。そのため入社する前だけでなく、入社した後もブラック企業対策を行うことが肝心。「自分のキャリアは自分が守る」という意識を持って、日々スキルを高め、状況によっては転職を選択肢に入れることも大切です。(ライター:ナレッジ・リンクス/原 進)