“派遣のITエンジニア”へ転職する前に考えるべき3つのこと
転職を機に自由な働き方を求めるのであれば、派遣のITエンジニアとして働くことも選択肢のひとつ。不安定なイメージが強い派遣勤務ですが、正社員とは異なるメリットも少なくありませんし、派遣会社によっては正社員より良い待遇を得られることもあります。ただし、デメリットがあることも確かなので、まずは派遣のエンジニアに転職した場合の長所と短所を理解することが大切です。
(1) 派遣エンジニアのメリット
まずは派遣だからこそ得られるメリットを考えてみましょう。
・自分好みの仕事を選べる
普通の企業の場合、正社員は実際に携わる仕事を自分では選べることはまれです。安定した雇用を得る代わりに、会社側から指示を出されるからです。しかし派遣であれば、仕事内容や勤務地をはじめ、自分の希望に合致する条件から選ぶことができます。学んでみたい言語を選んで働くことも可能でしょう。
・スキルや経験を活かせる
企業の方針は社員のキャリアパスに大きく影響します。全体で数パターンのキャリアパスのみが決められていることが多く、スキルや経験を存分に活かせるかと言えば、なかなか難しいでしょう。派遣の場合、自分のスキルや経験を求めている企業と探したうえで契約できます。そのため、能力を遺憾無く発揮できる可能性が高まるでしょう。
・様々なプロジェクトに携われる
所属先の企業によっては過去の実績から仕事を受けることが多く、強みとなる業界などは企業によって異なります。安定的に仕事を受けられる点は強みですが、「色々な業界を経験したい」という希望があれば、派遣の方が有利となるでしょう。派遣であれば、プロジェクト単位で勤務先を探すことも可能です。
・決められた条件で働ける
派遣として働く場合、給与や就労形態などの条件が明示された上で、勤務先を決めることがほとんどです。そのため、契約外の仕事を受ける必要はありません。もし条件外の仕事を求められても、その判断は自己の裁量に任されます。
(2) 派遣エンジニアのデメリット
メリットがあれば、やはりデメリットもゼロではありません。双方を理解したうえで判断することが、派遣ITエンジニアへの転職を成功させるポイントです。具体的なデメリットについて、いくつか見ておきましょう。
・報酬は携わる案件次第
自由に仕事を選べるとは言っても、報酬はスキルの需要や契約企業によって差が出ます。報酬が正社員より高く支払われることもありますが、逆に低くなってしまうこともあるでしょう。そのため、勤務条件だけではなく報酬面にもあらかじめ注目しておく必要があります。
・毎月報酬が支給される保証がない
派遣の場合、状況によっては短期間のうちに次の仕事を探す必要があります。もし仕事に空白期間が出来てしまえば、その間は収入が得られません。そのため、仕事探しは現在携わっている仕事と同時進行で行う必要があるでしょう。このことから、収入の不安定性を感じる方が多くいらっしゃいます。
・収入と仕事のバランスを考えなければいけない
派遣では、これまで経験のない分野の仕事にチャレンジできる機会があるかもしれません。こうしたチャレンジは、仕事の幅を広げるために必要なことです。しかし経験がないことを理由に安価で仕事を引き受けてしまったり、報酬を減らさてしまったりすることもあります。収入と仕事のバランスを考えながら、しっかりと判断する必要があるでしょう。
・仕事での悩み相談が難しい
正社員として長く勤務していれば、会社の仲間に悩みを相談することもできるでしょう。しかし派遣として一定期間で職場を移る場合は、なかなかそうもいきません。また、派遣という立場から、周囲の社員に相談事を持ちかけることが難しいという場合もあるでしょう。
(3) 派遣ITエンジニアに向いている人
以上のような内容を踏まえると、次のような人であれば、派遣のITエンジニアに向いていると言えそうです。
- ・次々と変化していく環境に柔軟に対応できる人
- ・他にもやりたいことがあり、自由な時間を確保したい人
- ・ひとつの業界に縛られず、色々な経験を積みたい人
「楽そうだから」という理由で派遣ITエンジニアに転職するのであれば、それは早計です。収入が安定しないことは想像以上に苦しく、即戦力になれなかった場合には職場内での風当たりが強いことが想定できます。そうした苦しさも現実的にとらえた上で、転職先を判断するようにしましょう。単純に今の環境を変えたいだけであれば、派遣ではなく正社員のまま転職するということもひとつの方法といえます。(ライター:ナレッジ・リンクス/原 進)