目指すのはスペシャリストかゼネラリストか?
ITエンジニアのキャリアを考えるとき、「スペシャリストとゼネラリスト、どちらを目指すべきか?」という議論がよく見られます。つまり、いくつかの専門技術に特化したITエンジニアを目指すのか、それとも幅広い技術とマネジメント能力を生かした管理職型ITエンジニアを目指すのか、という議論です。
スペシャリストとゼネラリスト、それぞれの強み
どちらにも良い点があり、会社によって求められるエンジニアは変わります。それぞれの強みを知ったうえで、自身が目指したいキャリアステップを考えてみましょう。スペシャリストとゼネラリスト、それぞれの強みには次のようなものが挙げられます。
スペシャリストの強み
- ・プロジェクトへの影響力、裁量が大きくなる
- ・プロジェクトに携わる際に、自分の技術力を発揮しやすい
- ・技術によっては仕事が途切れることがない
- ・社会的にも影響の大きいプロジェクトに携われる
ゼネラリストの強み
- ・複数分野の経験を活かしたマネジメント能力がある
- ・複数の技術を知ることで、状況への順応が早い
- ・トラブル時など的確な指示を出しやすい
- ・システムを体系的に理解できる
これらの強みは、場合によって相互に見られるものもあります。あくまで、特徴として現れやすいものです。
目指すのは「スペシャリスト+ゼネラリスト」
スペシャリストやゼネラリストの強みは上記の通りですが、両社に明確な境目はありません。所属企業によって、仕事の範囲も異なるでしょう。また実際のところ、会社ではどちらのタイプも求められています。どちらか一方しかいない組織では、プロジェクトも失敗してしまう可能性が高まるからです。そのため、企業としてはどちらもバランス良く在籍していることが理想的です。
そうであれば、社会人としてのキャリアを考える場合、「スペシャリスト+ゼネラリスト」という視点が必要でしょう。こうした視点を持つことで、応用力のあるエンジニアになることができるはずです。「技術に特化していればキャリアは安泰だ」、「私はマネジメントもできる人材だから大丈夫」と安心することはNGなわけです。
また、スペシャリストやゼネラリストは、ただ経験を積めばなれるというものではありません。これは、いくら教育体制や規定が整っている会社でも同様です。本気で目指したとしても、スペシャリストやゼネラリストの理想像に到達できる人は限られてくるでしょう。むしろそれよりも大切なのは、そこへ到達するためのプロセスです。
どのような技術を身につけるのか、自分の年齢であればどれくらい管理能力があるべきなのか、どんなプロジェクトに参画したいのか、などを自分の頭で考え、実行していくこと。目指すのがスペシャリストであれゼネラリストであれ、そうした地道なステップを着実にこなすことが、将来的にはプラスに働くはずです。
まずは、自身のキャリアをどのように形成していくかを決めましょう。選択肢は「転職しながら形成する」か「一つの会社で経験を積む」かです。そのためには、まず現在の環境を見直したうえで、どのようなキャリアが積めるのかを現実的に考えることも大切となります。(ライター:ナレッジ・リンクス/原 進)