ITエンジニアに必要なヒューマンスキル
しばしば職場で、「ヒューマンスキルを磨け!」と言われます。しかしこれは、具体的にどういうことなのでしょうか。「ヒューマンスキル」という馴染みの薄い言葉に、なかなかイメージが沸かない人は多いはずです。このヒューマンスキル、簡単に言えばコミュニケーション能力やマネジメント能力、プレゼンテーション能力など、ビジネスパーソンとしての基礎的な能力を表しています。
ITエンジニア不足が叫ばれる中、転職時にこのヒューマンスキルを重視する会社も増えています。ITエンジニアに求められるヒューマンスキルの実態について、詳しく解説していきましょう。
求められているヒューマンスキル
まずは具体的に必要とされるヒューマンスキルを、以下に3つ挙げてみます。
- 協調性など仕事の上で欠かせないコミュニケーションスキル
- 分かりやすい説明や自分の意見を伝えるプレゼンテーションスキル
- 顧客との調整やチーム運営におけるマネジメントスキル
技術的なスキルならば、経験の長さや保有資格等からおおよその実力が予想できるでしょう。しかしヒューマンスキルは、実際にその人と対峙したり、仕事に取り組んでもらったりしないと見えてきません。そのため転職時には、面接でこのヒューマンスキルをじっくり見られています。
ヒューマンスキルが問われる現場のワンシーン
ヒューマンスキルの低さが露呈してしまうシーンを、いくつかご紹介します。もし思い当たることがあれば、日頃から注意しておきましょう。
人をバカにした態度を取る
自分より経験の浅いエンジニアなどをバカにしたり、高圧的な態度を取ったりする人がいます。これは、エンジニアに限った話ではありませんが、大勢の人がいる組織ならば、自分よりスキルが低い人がいるのは当然のことです。また当然、自分よりスキル・知識が豊富な人もいるでしょう。もし自分がバカにされるようなことがあれば、どう感じるでしょうか。
状況によっては、奮起させる目的で用いられることがあるかもしれません。しかし多くの場合、相手から反感を買うばかりで、会社組織にとってマイナスであると考えられます。組織で仕事をする以上、協調性が欠如しては上手くいかないものです。
人の意見を聞かず、自分の意見を押し通す
ITエンジニアは、チームで仕事をすることがほとんどです。時には他のエンジニアの意見を聞く必要もありますが、中には、その他の意見に全く耳を傾けない人も少なくありません。もちろん物事をすぐに判断しなければならない場合、あまりに多くの意見を聞き過ぎるとまとまらなくなってしまうでしょう。しかしだからと言って、意見に耳をふさいでは懐疑心を生みます。
誰にでも、反対意見を受け入れるのは難しいものです。しかし意見の多様性を認めないと、チームとしての活力が失われてしまいます。自分が万能ではないのだということを理解し、よりよい意見を選択するようにして下さい。
上司からの指示や情報共有が無い
顧客との調整は上手くいくものの、チームが上手く回らないことに悩みを持つ人は多いようです。実際に手を動かすのはチームメンバーですから、必要な情報を共有しなければ、マネジメントを誤ることもあるでしょう。全ての判断をリーダーが下すのではなく、ときには部下に意見を求めたり、一定範囲の仕事を任せたりするなど、部下を育てていく姿勢が重要と言えるでしょう。
ヒューマンスキルは、その必要性を日常業務で感じる機会が少ないでしょう。しかしトラブルが起きた場合、このヒューマンスキルが根底の原因となっている場合が多く見られます。特にプロジェクトを率いるような立場ともなれば、より高いヒューマンスキルが求められるのは必然でしょう。
また、転職して新しい職場に赴く際には、初対面の仲間とコミュニケーションを取ることになります。いくら技術力があっても、組織の一員として溶けこまなければ、その技術力を発揮する機会にすら恵まれないかもしれません。仕事に行き詰まりを感じたら、ヒューマンスキルを見直してみるのも良いのではないでしょうか。(ライター:ナレッジ・リンクス/原 進)