ITエンジニアがスタートアップ企業で働くメリット・デメリット
スタートアップ企業とは、創業したばかりで新しいビジネスモデルを開発している企業のことです。ベンチャー企業と混同されがちですが、ベンチャー企業は既存のビジネスモデルで事業を行うことがメインなのに対し、スタートアップ企業は全く新しい商品・技術・ビジネスモデルを事業の中心に据えていることが特徴です。
特にITやネットの世界でスタートアップ企業が多く起業されていますが、実際にITエンジニアがスタートアップ企業で働くとどういった違いがあるのでしょうか。具体的に、そのメリットとデメリットを見ておきましょう。
スタートアップ企業で働くメリット
大きく分けると、スタートアップでは以下3つのメリットがあります。
1. 少人数のため一人一人の裁量が大きい
創業当初は資金が限られるため、同僚も多くないでしょう。そのため、少人数で仕事を回すために、自然と一人一人の裁量も大きくなります。年齢や経験年数によって制限されることも少なく、若くても能力さえあればすぐにプロジェクトマネージャーなどのポジションを任されることがあります。今よりも大きな裁量を持ちたいと考える人にとっては、良い点と言えます。
2. スピード感が必要で意思決定力が磨かれる
大企業の場合、会議や稟議書など意思決定にかなりの時間が必要です。しかしスタートアップでは、短期間での成果が求められます。自分で考え、短い時間で改善を繰り返すことが重要となる環境です。そのため、自ずと判断力や技術力が磨かれます。
3. 上場した時に報酬が得られる
ストックオプションを活用している企業であれば、上場した時に高額な報酬を得ることができます。特にIT・ネット関連のスタートアップ企業の場合、ITエンジニアがビジネスや商品の根幹に関わることも多いので、多大な報酬を手にするチャンスがあるでしょう。その面、入社時の給与は低いことがあるかもしれません。しかし、業績に貢献しても給与に反映しにくい一般的な企業に比べると、魅力的な制度と言えるでしょう。
スタートアップ企業で働くデメリット
では反対に、どのようなデメリットがあるのか。同様に、3つの点からご説明していきましょう。
1. 制度や福利厚生などは整っていないことが多い
社員の教育や給与体系、福利厚生などが整っていないことは少なくありません。これらを整える場合、管理するための人材も必要になり費用がかかるためです。創業当初は、何よりもビジネスを成功させることが重視されます。安定や成熟した組織を求める人には向いていないでしょう。
2. 長時間労働を強いられることがある
スタートアップ企業は新ビジネスを軌道に乗せる必要があるにも関わらず、人数が限られるため、どうしても長時間労働になりがちです。裁量が大きくスピード感も必要なため、定時帰宅などはできないものと考えておきましょう。しかも残業代が出ることは少ないため、仕事と生活のバランスを重視する人はよく考えるべきです。
3. ビジネスが成功するとは限らない
新しいビジネスモデルを手掛けることになるため、必ずしも成功するとは限りません。アイデアとしては優れた製品であっても、それが市場に受け入れられるかどうかは別問題です。最悪の場合、倒産ということもあり得ます。倒産してしまえば、当然ながらストックオプションを使うこともできません。つまり、メリットの一つでもある高額報酬を得られない可能性もあるということです。
新たなビジネス創出する楽しさ・やりがいから、スタートアップ企業への転職は人気が高まっています。しかし転職においては、どのような企業でもメリットやデメリットは少なからずあるものです。自分が何を重視するかを理解し、その条件を満たす職場を探すことができれば、転職で後悔することはないでしょう。(ライター:ナレッジ・リンクス/原 進)