ITエンジニアが海外で働くための心構え5か条
雇用の流動化とともに、海外へ転職するITエンジニアも増えてきています。いま現在は日本で働いていても、将来はシリコンバレーなどで働くことを目標にしている人もいるかもしれません。しかし海外で働く場合、国内での転職に比べて環境変化が大きくなります。実際に働き出してからギャップを感じる前に、これから取り上げる5つの点について心構えを持っておく必要があるでしょう。
1. 仕事への取り組み方が異なる
国内においても、企業により仕事の進め方に違いがあります。文化が違う海外ともなれば、国内以上に取り組み方が異なるでしょう。まずは開発をスタートさせてから微調整していくのか、仕様をしっかり決めてから開発に入るのか、残業してでも納期を守るのか、効率の良さが評価されるのか…など、これまでと違った、新しい働き方にチャレンジすることになるかもしれません。こうした違いを知り、要求に柔軟に対応できれば、自分にとってもプラスになるでしょう。
2. 生活環境の変化
当然ながら住む国が変わるということは、衣食住の全てに影響します。特に食事や住宅事情、生活費などは日本と大きく異なるでしょう。そのため、採用時の給与では生活が一時的に苦しくなることもあるかもしれません。毎日の生活が本調子でなければ、仕事にも影響が出るはずです。生活に関わる変化を考慮した上で、転職を検討してください。
3. 横の繋がりがリセットされる
海外に就職した場合、国内に残された友人や元同僚と気軽に会って話すということは難しくなります。SNSなどで気軽に連絡をとることは可能ですが、会う機会は制限されます。こうした横のつながりを新たに得たいのなら、現地でも新たな人間関係をイチからつくり上げていく必要があります。エンジニア向けの勉強会や交流会にも自分から積極的に参加していく必要がありますから、人間関係の構築にはそれなりの労力が必要でしょう。
4. 出世争いは厳しい
外国人も受け入れている欧米や東アジアのIT企業は、その多くが実力主義・成果主義です。また、プログラマならプログラマ、プロジェクトマネージャーならプロジェクトマネージャーと、各人の仕事がきっちり決められています。つまり「SEとして3~4年働き続けていれば、いずれはプロジェクトマネージャーに抜擢される」ということはめったにないのです。また、言葉の問題や人間関係の面でどうしてもハンディキャップを負っていますから、現地の人との出世争いするのは厳しいと言わざるを得ないでしょう。
ただし、中には、日本向けに製品やサービスを提供するため、日本人の管理職を採用したいと考える企業も少なくありません。企業の狙いなど特性を把握することで、自分に合った企業を選ぶことができるでしょう。
5. 必ず働けるとは限らない
海外企業への転職を希望したとしても、必ず働けるとは限りません。国内での転職よりも転職の成功率は低く、就職が決まらない可能性も想定しておきましょう。また、海外で働くには、ワーキングビザの取得が必要です。現地の労働者に比べ、それが課題になることもあります。決まらない場合は海外拠点のある企業を受け、海外転属を目指すのも一つの方法です。
環境は大きく変わるものの、転職への取り組み方は国内と基本的には変わりません。文化の違いや仕事への取り組み方、生活環境が日本と異なることを理解してください。海外への転職においても一つの企業に固執し、期待しすぎることは得策とは言えないでしょう。(ライター:ナレッジ・リンクス/原 進)