ITエンジニアなら知っておきたい「競合他社への転職」のコツ
ITエンジニアは、基本的にこれまで培ってきた技術をベースにした転職をするため、転職先が競合他社となるケースは少なくありません。しかしシステムの根幹に関わるITエンジニアは、機密情報を持っていることもあるでしょう。そのため、転職することを会社に告げると、嫌味を言われたり妨害を受けたりすることがあるようです。どうすれば無駄なトラブルを避け、円満に転職することができるでしょうか。具体的には、次のように4つのコツが挙げられます。
ITエンジニアの円満転職のコツ
- 会社との契約内容を確認する
- 適切な引き継ぎ期間を設ける
- 転職先を言わない
- 公になっている情報の整理
それぞれについて、細かく解説していきましょう。
1)会社との契約内容を確認する
通常、入社する際には、会社と労働契約を結んでいるはずです。転職する際は、まずはその契約書に、競合他社への転職に関する記述があるかどうか確認しましょう。仮に競合他社への転職を制限する記述があっても、退職後1年間~3年間ほどに制限されているのが普通です。競合他社への転職を一生涯にわたって制限するような規約があった場合は、弁護士や労働基準監督署のなどへ相談すると良いでしょう。ただし、退職金を上乗せするなどで一定期間転職が制限されることはあるでしょう。
2)適切な引き継ぎ期間を設ける
職業選択の自由は、誰にでも認められている権利です。これは転職でも同様で、個人の転職を会社側が制限することはできません。しかし、いくら転職することが自由とは言っても、業務を放り出して退職するのは、ビジネスパーソンとしてほめられたものではありません。業務内容により異なりますが、1週間~1か月ほどは適切な引き継ぎ期間を設け、スムーズに退職できるようにする必要があります。後任者や引き継ぎ相手が決まっていない場合は、引き継ぎマニュアルを作成しておくのがよいでしょう。
3)転職先を言わない
会社側からすると、やはりライバル会社へ自社エンジニアを転職させるのは避けたいものです。しかし転職先がどのような企業であっても明かす必要はありません。仮に転職先を明かすように強く言われても、「それを言う義務はありません」と応えましょう。時として、企業名を明かすことで、転職後に思わぬ妨害工作を受けることもあるようです。余計なトラブルを避けるためにも、必要最低限の情報を伝えるのみに留めましょう。
4)公になっている情報の整理
ほとんどの場合、転職活動時には面接が設けられています。例えば前職に関する質問が投げ掛けられても、公になっていない情報は「機密情報」と捉えられるでしょう。面接などで機密情報を話してしまうと、エンジニアとしての信頼性に欠けます。結果として転職が失敗に終わり、会社とのトラブルに発展する可能性もあるでしょう。自分をアピールする場面でも、「話して良いこと」を見極めた上で発言してください。
これまでの経験が活かしやすいため、転職候補には競合他社があがってくることが多いはずです。会社が就業規則などで同業他社への転職を制限していても、必ずしもそれが有効とは限りません。会社との契約内容や個人の権利をしっかり把握し、円満に転職できるよう準備を進めてください。(ライター:ナレッジ・リンクス/原 進)