いつの時代でも「市場価値の高い」ITエンジニアとは
ITエンジニアのキャリア形成では、どうしても技術に関する知識・スキルが重要視されがちです。しかし技術は、時代によって評価が変わります。そのため、1つの技術を極めれば一生安泰……ということはありません。一方、「新しい技術をキャッチアップし続ければいい」と考える人もいるでしょう。もちろん、それも考え方としては“アリ”です。
しかし、技術力以外に、ビジネスで求められる普遍的な能力を身に付けると、さらに市場価値は高まります。具体的には、以下のような能力が挙げられるでしょう。
- 高いコミュニケーション能力
- 経営感覚がある
- 柔軟性な考え方ができる
もちろんこれらを複数備えていれば、さらに評価は高まるはずです。
1. 高いコミュニケーション能力
技術志向の人が比較的多く存在するITエンジニアの世界では、企業から求められるコミュニケーション能力のハードルをクリアしている人は、実はそれほど多くありません。しかし常駐先企業とのやり取り、社内外での情報共有、ちょっとしたメールや仕様策定の会議など、どのような場面でもコミュニケーション能力は求められます。「顧客の真意を察したうえで、最適な仕様を提案できる」、「誰でもすぐに理解できる開発指示書を作成できる」、「ちょっとした会話から、ミスや不具合を発見・共有できる」といったことがごく当たり前にできる人は、ITエンジニア以上に、欠かせない社員として企業に重宝されるでしょう。
多くの人が、コミュニケーションの大切さを理解していますが、コミュニケーション能力の高さは、その効果を数値化することが難しいものです。コミュニケーション能力の高さを示す専門資格などもありますが、転職時の選考においては、参加したプロジェクトでどのような立ち位置で活躍したかを説明できるよう準備しておくと、アピールに繋がるでしょう。
2. 経営感覚がある
企業によっては、「経営感覚を持つように」と社員へ求めていることがあります。売上などが身近なマネージャーやリーダーは、経営感覚が養われているかもしれません。しかし現場のエンジニアでも、こうした経営感覚を養うことはできます。「より売上につながることができることはないか」、「新分野へチャレンジできないか」、「どうすれば顧客満足につながるか」などをITエンジニアならではの視点から考え、最適な方法で提案し、実行に移せる……。そんな人であれば、将来の幹部候補として抜擢されることも夢ではありません。
経営感覚を身につける方法として、BABOKやMBAなど経営に関する学習も効果的です。また、休日など空いた時間に、フリーランスとして活動してみることもできるでしょう。アプリを開発して自ら売上をあげるなど、儲けるための工夫を試みるのはいい経験になるはずです。
3. 考え方に柔軟性がある
仕事や企業というものは、1つの方法、1つのビジネスだけで上手くいくとは限りません。予期せぬトラブルやライバル企業の出現、時代の変化といったさまざまな要素によって変化を強いられます。そのため、いろいろな可能性に目を向けられる冷静さと、柔軟な考え方が大切になってきます。これは「前例の無いことに挑戦する」「これまでの方法を覆す」など、常識を打ち破るようなアイデアにあふれた人とも言えるでしょう。こうした人材は、ITエンジニアとしてだけでなく、会社に活気をもたらす人材として評価されるでしょう。
ここで紹介した内容は、確かに能力の多寡を計りづらいものです。しかしだからこそ、その能力があると判断されれば自分の価値が高まります。転職での選考・面接などに備え、実例を交えつつ説得力のあるエピソードを準備しておいてください。(ライター:ナレッジ・リンクス/原 進)