パッケージ導入コンサルタントになるには?
企業が業務システムを導入する際、開発費用や期間の圧縮などを求めて、パッケージソフトウェアを利用することがあります。例えばERP(総合業務パッケージ)、SCM(サプライチェーン管理)、CRM(顧客管理)などの分野では高品質な既存のパッケージソフトがあり、導入するだけで業務改善に役立てることができます。
このパッケージを導入する時に活躍するのが、パッケージ導入コンサルタント。「開発するわけじゃないんだから、パッケージ導入って簡単なんじゃないの?」などと思っている人がいらっしゃるかもしれません。しかし転職へのハードルは高く、求められる能力などはあまり知られていません。ではいったい、どのような人が向いていて、どのようなスキルが求められるのでしょうか。
パッケージ導入コンサルタントの適性
パッケージソフトの導入時には、導入される顧客企業への深い理解と、導入時のメリットや注意点を説明できるコミュニケーション能力、業務改善に向けた膨大な課題をクリアし続けるヤル気が求められます。そのため、以下のような資質がある人は向いているでしょう。
- 客観的で論理的な思考ができる
- 俯瞰で捉え、全体像とスコープをうまく切り替えることができる
- 顧客のためになるものを作り上げる熱意がある
- 周囲と上手くコミュニケーションを図り、職場で存在感がある
上記のひとつひとつを見れば、ITエンジニアにも求められる資質です。ただし、パッケージ導入コンサルタントであれば、上記4つをまんべんなく備えている必要があります。「コミュニケーション能力は足りないが、論理的思考に強く、プログラミングが得意」ということでは務まらないのです。
また、同じパッケージソフトを導入するとしても、顧客ごとに要件は異なりますから、常に現場で学び続ける姿勢も重要。「全部できているから楽勝」などと思っている人よりは、「常に意識しているが完璧とは言えない」と考える人の方が良いかもしれません。この姿勢は態度にも現れますし、何よりも謙虚でいる方が、今後の成長も見込めます。
パッケージ導入コンサルタントに求められるスキル
顧客企業が高価なパッケージソフトを導入するのは、業務改善を期待してのことです。当然ながら、顧客の業務フローを理解しなければ、その改善もできないでしょう。また、「この機能を追加導入すれば、こういった理由でこれだけの業務が効率化できます」といった論理的な説明ができなければ、導入時にも信頼されません。したがって、以下のようなスキルが求められることになります。
- コミュニケーション能力
- ITエンジニアとしての豊富な経験(設計、開発、導入、運用など)
- 企業経営に関する知識
- プレゼンテーション能力
- 顧客企業の業務フローへの理解
これらの経験が十分だとしても、誰もがパッケージ導入コンサルタントになれるわけではありません。自分の経験だけで足りるという現場はそうそうないでしょう。足りないものは経験から予測するなど、さまざまなことに対して柔軟に対応していく必要が出てきます。
若手のエンジニアであれば、将来の成長を期待されて採用されることもあるかもしれません。しかし「コンサルタントを育てたい」という会社は、実際のところそれほど多くないでしょう。自分のスキルを磨くと共に、適性として挙げたような考え方や行動力も養うことが、パッケージ導入コンサルタントへの近道です。(ライター:ナレッジ・リンクス/原 進)