経営コンサルタント ~経営者の心強いパートナー~
仕事の役割 ~企業経営を全面サポート~
経営コンサルタントは企業経営に関するトータルなコンサルティングを行います。具体的には企業の経営状態(財務、人事、事業内容など)に関する情報を参考に、より望ましい方向へ、アドバイスをするのが主な役割です。経営者の心強いパートナーともいうべき存在でしょう。財務諸表とにらめっこしながら膨大な資料を作成したり、企業の経営会議に出席したり、あるいは経営者と一対一で何時間も話し合ったりすることもあります。
会社の経営戦略は主に社内の経営企画部が行いますが、新商品を開発するときや新しいプロジェクトを実行するときなど、何か新しいことを始めるときに求められることが多いようです。会社寄りの視点ではなく、業界全体を俯瞰的に眺められるプロの意見は経営戦略に大きな影響を与えます。大企業の経営者を相手に理路整然とプレゼンテーションする…。そんなイメージがあるため多くのビジネスパーソンの憧れであるとともに、学生にも人気な職業のひとつです。年収も高めで、誰からも一目置かれる存在です。
おおよその年収
平均年収は600万円と高めです。大手企業をクライアントに持つような実績あるコンサルタントだと、年収1000万円以上を稼ぎ出す人も多いのがこの職業の特徴です。
求められる能力 ~経営者レベルの知識と経験、人脈が不可欠~
経営コンサルタントに資格は不要ですが、MBA(経営管理学修士、Master of Business Administration)の資格を持っていると信頼度がアップします。働きながらMBAの取得ができるセミナーもあるので、経営コンサルタントに興味があるなら、勉強して損はありませんし、就職の際は有利に働きます。
もちろん、会社の経営者にアドバイスするわけですから、彼らと対等に話し合い、実際に効果の出る経営ノウハウと知識が必要です。また個々のクライアントごとに情報を集めるためには、企業からのデータをもらうだけではなく、自分から識者に意見を聞きに行ったり、現場の社員から声を集めたりする姿勢も大切。そういう意味では人脈の広さやフットワークの軽さなども求められます。
そのうえで、さまざまな角度から企業の現状を見つめ、最終的な「答え」を導き出し、プレゼンしていかなければいけません。実務面では分かりやすく資料づくりなどのプレゼン力も求められそうです。
向いている人柄 ~第三者的視点を持つ勉強家~
経営コンサルタントが経営者に向いているか、というとそうではなかったりします。経営者が舵取りだとすれば、コンサルタントはその補佐役。第三者としての冷静な視点を持ち、経営者に足りない部分をサポートしていけるような人が向いています。また企業経営全般についての幅広い経験と知識が必要なので、常に勉強を続けられるような研究熱心な人、好奇心旺盛でいろいろな角度からものを考えられる人が向いているでしょう。
仕事のやりがい ~経営そのものに携わり、企業を動かす~
企業経営者のアドバイザーとして、経営戦略を練り、重大な意思決定に関わっていく仕事ですので、やりがいも他の職業より非常に大きいでしょう。緊張感のある仕事ですが、その中で最もよい答えを導き出せたり、経営者に自分の思いが理解され、実際に経営改善に結びついたりしたときはこの上もない充実感を味わえます。また、接する人たちも“大物”が多いので、自分の人生観に大きな影響を及ぼす出会いにも恵まれます。
仕事の辛いところ ~必要不可欠な仕事ではないので仕事がないときも…~
コンサルティングの効果が出なければ、当然ながら信用を失います。経営コンサルタントは職人や作業員のように、必要不可欠な存在ではないので、そうなれば仕事がなくなる可能性もあるでしょう。また、同じ意味で、不景気の影響を受けやすい仕事のひとつとも言えます。
さらに経営陣よりも知識や見識が多くなければいけないので、毎日が勉強です。膨大な資料と向き合い、徹夜で勉強し続ける覚悟も必要です。そのような苦労を意に介さず、どんどん知識を吸収できる人はまさに天職になるでしょう。(ライター:二之形幸子)