人事コンサルタント ~会社の「人」を改善する専門家~
仕事の役割 ~組織の問題点をみつけ、人事改善を提案~
人事コンサルタントの仕事は、企業の人事制度や組織構成についてアドバイスをすること、その問題を改善するのが主な役割です。問題解決の事案によって業務内容も広範囲で、人事戦略立案、組織構造改革、M&Aに伴う人事制度統合、人材育成体系の構築、採用戦略の立案、組織診断・改革など多岐にわたります。組織・人事コンサルタントと称することもありますが、おもな仕事は同じです。
実際の仕事の流れとしては企業の組織・人事改革などのコンサルティングプロジェクトを請け負うことから始まり、組織や人事に関する問題点を見つけ出します。問題点がみつかったら、それを分析し、最適な解決策を提案、問題解決へと導いていきます。必要に応じて企業の組織編成を変えたり、人事制度を変更したりすることもあるでしょう。このような大改革は一部の社員とって、モチベーションの低下につながる可能性もあるので、それを未然に防ぎながらコンサルティングを行うことも仕事のひとつです。
おおよその年収
平均年収は約450万円~500万円ほどです。優れ手腕を持ち、効果のある人事コンサルティングを行う人であれば、1000万円以上を稼ぎ出すことも可能です。
求められる能力 ~人材と組織に関する知識と経験、経営者の視点~
組織・人事コンサルタントに必要なのは、何よりも人事・組織マネジメントに関する経験です。特に採用戦略や人事評価制度の策定、人材育成制度の策定などの経験は必須と言ってもいいでしょう。こうした企業の人事や組織に関わる業務に就いたことがあれば、その経験が存分に活かせるはずです。また、一般企業での人事担当の経験はもちろん、人材派遣会社や人材マネジメントなどを行う企業に勤めることも重要な経験になります。
未経験から、組織・人事コンサルタントになるのは難しいですが、大学や専門学校で経営学を専攻し、企業構造や組織の運営方法、人事・人材についての考え方を学ぶことで、最低限の知識を身につけることもできるでしょう。
もちろん、コミュニケーション能力も大切です。経営者の話に真摯に耳を傾け、その企業の悩みや問題の原因がどこにあるか、最適な改善策は何かを探し出し、それを的確に相手へ伝える能力が求められます。専門は組織・人事ですが、常に経営的な目線を持たなければいけません。
向いている人柄 ~勉強熱心で、倫理観や責任感のある人~
人事・組織という企業活動の重要情報に関わるため、倫理観や責任感の強い人が向いています。人事コンサルタントの提案次第では、企業でリストラを行うことになるかもしれません。こうした際に責任と覚悟を持てる人でなければなりません。
さらにコミュニケーションスキルが高く、誰からも信頼される人柄であれば、経営者や人事担当者からも信頼され、活躍の場も広がるでしょう。プロジェクトによって、求められることも変わりますので、常に学び続けられる人、最新のトレンドにも常にアンテナを張り、情報収集できる人が向いています。
仕事のやりがい ~企業の経営改革をリードする~
企業の経営改革に携わることができる組織・人事コンサルタントは大変やりがいのある仕事です。企業の経営改革をリードする仕事を任されるので、責任も重大ですが、プロジェクトが成功すれば大きな達成感も得られます。コンサルタントという職業だからこそ、経営改革に毎日立ち会うことができるのです。そのような経験を積み重ねることで、自らの成長にもつながっていきます。
仕事の辛いところ ~社員からブーイングを受けることも~
企業内の“人”を専門に扱うだけに、組織人事コンサルタントは大きなプレッシャーのかかる仕事です。大幅な組織改編、一部事業の分社化、リストラなどに関わることもあるので、現場の社員から批判を浴びることもあるでしょう。また、クライアントの高い要望に応えるため、時間的な制約もあり、人間関係などの様々な問題にも直面します。(ライター:二之形幸子)