公認会計士 ~決算書をチェックする会計のプロ~
仕事の役割 ~公正な立場による会計監査~
公認会計士の仕事をおおまかに分けると、監査業務・会計業務・コンサルティング業務・税務業務に分けることができます。弁護士や医師と同様に、国家資格が必要な仕事であり、クライアントからのオファーに応じて会計監査(お金のチェック)やコンサルティングを行います。
この際、公認会計士に求められるのは「常に公正な立場を貫くこと」です。監査では、あくまでも第三者の立場から冷静に、経営状態や決算書をチェックしなければいけません。弁護士や税理士などは、クライアントの立場で利益を守りますが、公認会計士の場合は公平な立場で会計監査を行う必要があります。企業は最低でも年に1回、財政・経営状態を公表することが義務づけられています。これらの財務諸表が適切に作成されているかは、第三者のチェックが必要で、この監査業務こそが、公認会計士だけに認められた仕事なのです。会計のプロとして、企業にとって重大な場面に携わることの多い、重要な役割を担っています。
おおよその年収
平均年収は約800万円と、かなり高めの年収です。国家資格の必要な仕事であり、非常に専門的な知識が問われるためです。ただし、監査法人に所属する公認会計士は、これよりも平均年収が下がるようです。
求められる能力 ~数字に対する高い能力と倫理観~
公認会計士になるには、「公認会計士試験」に合格をして、国家資格を取得しなければいけません。年齢や学歴などは必要ありませんが、司法試験に次いで難しい試験だとされており、非常に狭き門です。試験に合格するためにも、勉強熱心であることはもちろん、仕事上でも高いレベルの情報処理能力が求められるでしょう。また、常に「公正な立場」で、企業の決算書をチェックしなければいけませんので、守秘義務を守るなどの倫理観も必要です。さらに、企業の決算書をチェックする仕事は健全な株取引や市場形成に関わることでもあります。そのため、クライアント企業が相手であってもダメなことはダメと言わなければいけないことも多々あります。そのような正義感と柔軟なコミュニケーションスキルなど、バランスの良さも必要です。
向いている人柄~数字に強く、冷静で正義感が強い人~
他人の情に流されず、ビジネス倫理に強い人が向いています。企業の機密事項に触れることが多いので、口が堅い人ではないと信用されません。また、経営者と接する機会も多いので、数字には強いけれど、気が弱いとストレスを感じてしまうかもしまうでしょう。ダメなことはダメとはっきり言える、冷静で公正な人は公認会計士向きです。
仕事のやりがい ~企業の上場準備に携われる重要な役割~
公認会計士は「監査」のイメージが強くありますが、もうひとつの仕事、企業の上場準備では「アドバイザー」的な役割を果たします。経営者と一緒に上場へ向けて、企業の財務状況の問題点をひとつひとつ解決していく仕事は「企業を育てる」というやりがいがあります。問題点をクリアしながら、クライアント企業が上場を果たせたときは大きな達成感を得られるでしょう。
仕事の辛いところ ~決算期が勝負、家に帰れないほど激務~
決算期の公認会計士はまさに激務です。効率よく仕事をこなせる人であっても、この時期は家に帰れる日がほとんどない状況になってしまうこともあるようです。また、独立した公認会計士の場合は年収も高いのですが、監査法人に勤務している場合は年収もサラリーマン並みです。(ライター:二之形幸子)