用地仕入 ~不動産業界の花形職種~
仕事の役割 ~スピード勝負で土地・建物を仕入れる~
用地仕入は不動産業界に独特の職業です。その役割は、名前の通り、土地や建物を仕入れること。仕入れ対象はマンション用地や建売用地、中古住宅・中古マンションなどです。不動産ビジネスにおいて、マンションデベロッパーや建売業者が利益を生むためには、用地仕入れによって土地・建物を仕入れることがスタート地点となりますから、ビジネスの根幹に関わる重要なポジションと言えるでしょう。
実際の仕事では、コスト・条件面から、「利益を産み出せる土地・建物」を見極めることが最も大切。利益を生む土地、利益を生む建物を確保するのがミッションなのです。仕事の流れは、不動産屋や不動産売却を検討している人、グレードの高いマンション住人などに、どんどん仕入れ営業をかけることから始まります。
営業方法はテレアポやチラシのポスティングなどで、「土地・ご自宅を無料で見積もりします」などと声をかけます。土地情報を集めるにはこの、地道な営業力が必要になります。仕入れたい用地が決まったら、場所や価格を検討し、現地調査を行います。良い土地だと、他の不動産業者との価格競争になることもあるので、スピード感が問われる仕事でもあります。
おおよその年収
平均年収は約600万円と高めです。高額の歩合制を採用している企業もあり、年収1000万円以上を稼ぎ出す人も少なくありません。
求められる能力 ~利益を見極める目と地道な情報収集力、フットワーク~
不動産業界で、用地仕入に携わる人はいわゆる「エリート」と言われます。知識と経験に裏付けられたシビアな目で土地・建物の利益を見極め、地主と交渉しながら土地・建物を仕入れるわけですから、誰にでもできるような仕事ではありません。未経験でもチャレンジできますが、実績をつくらなければ、年収300万円代で終了してしまう人もいます。向き・不向きがはっきりと分かれる仕事でしょう。
また、他の業者よりも先んじて、良い土地を仕入れるには情報収集力とフットワークの軽さが大切です。実際、土地の情報は地味な活動を通して得られます。始めは空き部屋情報収集から始まって、地道に歩き回り、ポストにチラシがいっぱいの家や空き家などを探し出します。そこから地主や大家さんなどと交渉を進めていくわけです。ぼんやりと仕事を待っている人には務まらない職業なのです。
向いている人柄 ~度胸があり、常に前向きに進んでいける人~
用地仕入れは数千万~数億円規模の大きなお金が動く仕事です。そのため度胸があって、チャレンジ精神がある人には向いているでしょう。また、営業面では積極的に知らない人にも働きかける必要があるので、ポジティブで押しの強い人であれば、天職になるはずです。あとは、他人を説得できるトークのうまさ、信頼してもらえる人柄も大切です。廃れてしまった中古住宅地や活用されていない土地を新しく再生して、利益を産み出す土地に変えるので、アイデアがあると良いでしょう。
仕事のやりがい ~廃れてしまった土地を再生させ、利益を上げる~
用地仕入の仕事は単に不動産を右から左に流すだけではありません。空き地や廃れてしまった住宅街の土地から、利益を作り上げ、産み出す仕事でもあります。ビジネスを生むことにやりがいを感じる人は多いはずです。また、仕事の実績分だけ、歩合として年収にも反映されやすく、1000万円以上を稼ぎ出せる仕事としてやりがいも十分にありそうです。不動産業界のなかでも、花形的な仕事なので、仕事へもプライドを持って取り組めるでしょう。
仕事の辛いところ ~業界的に冷遇されやすい環境も~
土地を仕入れるのが仕事なので、仕入れが上手くいかなければ会社や上司から、風当たりが強くなる面があります。また、さまざまな町を歩き、地主や不動産屋さんを訪問しないといけないので、仕事もハードです。業界的にも上下関係が厳しく、仕事ができない人は冷遇されやすく、サービス残業も多いなど、いわゆるブラック企業的だと言われる企業もたくさんあるようです。(ライター:二之形幸子)