弁護士 ~法律の知識を武器に人々の権利を守る~
仕事の役割 ~法律アドバイスから民事事件・刑事事件の弁護まで~
弁護士は、高度な法律の知識を武器に、人々の権利や利益を守る仕事です。一般に、犯罪などの刑事事件の解決に取り組むイメージが強いですが、必ずしも裁判ざたになるような問題ばかりを扱うわけでもありません。不動産売買トラブルや交通事故の慰謝料、離婚、相続、会社の法務トラブルなど、法律が関係するのであればどんな案件も弁護士が活躍するフィールドといえます。
実際の仕事では、依頼者や関係者と事件の解決に向けて話し合いをしながら、法務的な手続きをしたり、依頼者を守るために法廷で発言したりします。刑事事件であれば検察官に対して、民事事件であれば相手の弁護士に対して、依頼者に代わって論争をおこないます。法令や判例に関する幅広い知識だけでなく、依頼者の意見や考えをしっかり把握しておく必要があります。
勤務する場所としては、法律事務所に就職するのが一般的ですが、経験を積んだのちに、自分の個人事務所を開業する人も多くいます。年収も比較的高く、人々から大きな信頼を得ている職業といえるでしょう。
おおよその年収
平均年収は約1000万~1200万円と非常に高額です。しかし近年、弁護士の数が増えており、「弁護士になったはいいけど仕事がない」という人も少なくありません。こうした人の中には年収300万~400万円というケースもあるようです。
求められる能力 ~高度な法律知識とコミュニケーション能力、営業力~
弁護士を名乗るのであれば、当然ながら司法試験に合格して、弁護士資格を取得する必要があります。司法試験は日本でも最難関の試験と言われており、試験を受ける前に法科大学院を終了するか、司法試験予備試験に合格しておく必要もあります。晴れて弁護士資格を取得したとしても、それで終わりではありません。法律に関する実践的な知識・ノウハウを常にブラッシュアップしていくことが求められます。毎年おこなわれる法改正について把握しつつ、新たな判例も研究していかなければなりません。
専門知識とは別に、高いコミュニケーションスキルも必要です。依頼者の問題に寄り添い、的確なアドバイスのできる弁護士でなければ、信頼を得ることはできません。一人ひとり、依頼者の問題や価値観も違いますので、マニュアル通りの対応ではなく、それぞれに誠実であり続ける必要があります。
また最近は弁護士数も増加しており、競争も激化しているので、より「営業力」が求められます。例えば離婚・相続問題や交通事故の示談など、得意分野を持つことも営業力のひとつでしょう。ベテラン弁護士の中には、宣伝・営業活動をするのは「弁護士として品がない」と批判する人もいますが、今後は相談者とのコミュニケーションを重視し、仕事を得るための営業努力を怠らない弁護士が活躍していくでしょう。
向いている人柄 ~勉強好きで、誠実さと冷静さのある人~
弁護士になる前も、弁護士になってからも、常に勉強と研究の連続です。基本中の基本ですが、自分の知識に磨きをかけ続けられる人は、弁護士向きでしょう。また、人を弁護する仕事なので、他者と誠実に向き合える人のほうが依頼者からも信頼されるでしょう。ただし、単に「優しい」だけではNG。法律という厳格な決まりのある世界の中で、情に流されず、時には厳しい判断を下すことも求められます。
仕事のやりがい ~「結果」が出たときの大きなやりがい~
法律知識を駆使して問題を解決するのが弁護士の役割ですから、大変やりがいのある仕事といえます。依頼者からの相談に応え、裁判を通じて問題が解決したときには、仕事のやりがいを感じられるでしょう。また、万が一にも無罪の人が有罪とされないよう、また不当に重い罰を科されないようしっかり弁護し、それが認められたときなどは、社会的にも大きな評価を得られるでしょう。
仕事の辛いところ ~シビアな問題にも対処しつつ、営業の苦しさも~
自分の抱える問題を解決できなくなった人たちが、最後に駆け込むところが弁護士です。離婚や相続、刑事事件などについては相談内容もシビアなことが多く、精神的に参ってしまうこともあるようです。そんな中でも依頼者に感情移入することなく、冷静に弁護をする姿勢が求められます。また、弁護士としての資格は持っているものの、最近は営業をしなければ仕事がない弁護士もいるようです。年収も弁護士の平均年収を下回ってしまうことが多く、まさに個人の技量が試される時代になっていると言えるでしょう。(ライター:二之形幸子)