金融ディーラー ~お金を動かす金融のプロ~
仕事の役割 ~金融商品の売買で利益を生む~
金融ディーラーは、金融機関(証券会社・銀行・保険会社)が顧客から預かった債券や株、為替などを売買し、その差益から利益を生み出す仕事です。取り扱う金融商品によって、その呼び名も細かく分けられます。
- 外国為替ディーラー…外貨の売買
- マネーディーラー…外貨の賃借
- ボンドディーラー…債券の売買
瞬時の取引によって、高い差益を生み出し、顧客にその利益を還元することが金融ディーラーのミッション。1日の取扱金額が数千万円~数億円におよぶこともあり、熟達したディーラーになるとそれと同規模の利益を上げることも珍しくありません。もちろん、一瞬の判断で多額の資金を動かすので、大きな利益が出ることもあれば、損失を出すこともあります。そのため、社会情勢や金融情勢に精通していることはもちろん、刻々と変化する相場の動きを読みとくための情報収集能力や的確な分析力が求められます。金融市場は24時間動き続けているので、深夜勤務になることも多く、精神面・体力面ともにタフさが必要な仕事です。
おおよその年収
平均年収は約650円ですが、ベテランになると年収1000万円以上を稼ぐ人もいます。
求められる能力 ~相場の一歩先を読める専門知識と経済センス~
金融ディーラーは、金融商品の専門知識や市場分析力が求められます。最低でも、各国の経済政策から企業の財務諸表までを読み解ける知識が必要でしょう。その上で、世界の金融マーケットが舞台に、刻々と変化する相場の一歩先を読める経済・金融のセンスが求められるでしょう。
特に、資格などは必要ありませんが、大学卒業後、金融機関のディーリング部門に配属され、ディーラーとして活躍する人が多いようです。数秒で何億円という莫大な資金を動かしますので、そのプレッシャーはかなりのもの。そんなプレッシャーに耐えられる、強いメンタルを持っていなければいけません。ストレスやプレッシャーに強く、上手く付き合っていける忍耐力が重要です。
向いている人柄 ~冷静で判断力のある人~
金融ディーラーは、「安定した仕事」を求める人には向いていません。また、人間ではなく経済・金融を相手にするので、自分の成果の大きさがハッキリと現れます。実力主義のなかで野心を持ち、結果を出す気持ちのある人が向いています。また、意外に「冷静」「几帳面」「慎重」といった性格の人が向いているようです。顧客から預かった資金をもとに取引をおこなうので、感情的な人や直感だけで物事を決めてしまうような人は向いていません。
仕事のやりがい ~仕事の結果が瞬時に出る~
一瞬で億単位の利益や損失が出る「ハイリスク・ハイリターン」な仕事ですが、毎日がダイナミックで刺激に富んでいるのでやりがいもあるでしょう。自らの仕事の結果が瞬時に出る明快さもあるので、「自分の手でこれだけの利益を生み出した!」と仕事の達成感を味わうことができるのも魅力でしょう。世界規模の金融市場で働けるのも、他の仕事ではなかなか経験することのできない経験です。
仕事の辛いところ ~人間味がなくなり、友人が減ることも?~
「お金」を扱う仕事ならではのプレッシャーとシビアさがあります。損失が続くと、違う職種に配転されることもありますし、最悪の場合クビになることもあるでしょう。また、毎日経済を相手に仕事をするので、人間味が希薄になり、友達が少なくなったというような悩みを抱えるディーラーもいるようです。自分の予想が外れて、大きな損失を出してしまったときは、プレッシャーにも負けそうになりますし、日々、自分との戦いが続くシビアさがこの仕事ならではの辛さでしょう。(ライター:二之形幸子)