税理士 ~税務の知識・ノウハウを駆使するプロフェッショナル~
仕事の役割 ~経営コンサルの顔も持つ税務の専門家~
税理士は税務の専門家です。企業や個人事業主などから依頼を受け、払うべき税金の計算や申告、納税書類の作成、相続税の代行手続きなど、ありとあらゆる税金の相談に応じます。税の種類だけでも所得税・法人税・固定資産税・相続税・贈与税・事業税など、細かく分かれているので、税理士はすべての税法について専門的かつ高度な知識を持たなければいけません。こうした税務関連の知識・ノウハウを駆使して、クライアントが適切に納税できるようにサポートするのが、税理士の役割と言えるでしょう。
国家資格を取得すれば「税理士」にはなれますが、新しい税に関する法律や判例など、日々情報や知識を吸収していく必要があります。また、仕事内容も税務の専門家という枠を越えた財務のプロ、企業の経営戦略コンサルタントとして活躍する人も多い職業です。実際の勤務先としては大手の税理士事務所に所属するほか、独立して個人で働く人もいます。また、大手企業の中には、専任の税理士を抱える企業もあります。
おおよその年収
平均年収は約750万円と高めです。年収1000万円以上稼ぐ人も珍しくありませんが、開業したばかりでクライアントが少ない場合、年収300万円未満のこともあるようです。税理士とひとことで言っても、その年収には幅があります。
求められる能力 ~高度な専門知識とコミュニケーション能力~
税理士と名乗るには、まず国家試験に合格しなければいけません。簿記論、財務諸表論、所得税法など複数の科目を受験する必要があり、合格するまでに2~5年かかると言われる難関私見です。合格まで目標に向かって受験勉強する必要があり、忍耐力が求められるでしょう。
税金は非常に複雑なので物事を整理しながら考えることができて、数字に強い必要があります。お金に関することで間違いが許されない仕事なので、几帳面さも必要です。また、税務の知識だけでなく、コミュニケーション能力も必要です。クライアントありきの仕事なので、実務ではお客様の話を伺いながら適切なアドバイスをして、必要な書類・資料などを作成します。そのためには、まずはお客様の話をきちんと聞いて、相手の状況や要望を的確に把握する能力、伝えるべきことを相手が理解しやすいように、分かりやすく伝える能力が大切です。
向いている人柄 ~数字が好きでデスクワークに喜びを見出だせる人~
仕事の大半が数字・書類との闘いなので、デスクワークが好きでなおかつ頭の回転の速い人が向いています。毎年変わる税金の細かな仕組みを学び続ける意欲があり、向上心を持ち続けられる人は税理士として活躍できる素質があります。仕事内容が、企業の年間収支を計算したり膨大な量の領収書や売り上げ明細を一枚ずつ確認したりといった、地味な作業の連続なので、そういった細かい計算や事務作業が苦にならないタイプの人が税理士には多いようです。
仕事のやりがい ~税金を通して多くの人に頼られる存在~
税務サポートを通じてクライアントの信頼を得れば、納税・節税から経営戦略などにも携わることができ、ゆくゆくは経営のパートナーになれることが税理士の最大のやりがいでしょう。また、「税金」を通してさまざまな人たちの手助けをできることもやりがいのひとつです。節税対策では多くの人に頼りにされる存在になり得ます。
仕事の辛いところ ~簡単な仕事ではなく、転職回数だけ増える人も~
クライアントの数字とにらめっこしながら、細かい税法とつき合わせて納税額を計算し、さらに節税アドバイスまでおこなう……。税理士の仕事は予想以上にハードです。特に年度末や確定申告の時期には仕事がどっと集中し、残業代なし・深夜1時まで働く税理士もいるようです。努力をして税理士の国家資格を取得したものの、一般企業に務める友人がうらやましく見えるなど、仕事が軌道にのるまでは気苦労も多いでしょう。そういった環境から抜け出そうとするあまり、やみくもに転職回数だけ増えていく税理士もいます。(ライター:二之形幸子)