ケアマネージャー ~要介護者と介護保険サービスをつなぐ~
仕事の役割 ~周囲を巻き込みながらより良い介護プランを構築する~
ケアマネージャーは正式名称を「介護支援専門員」といい、介護を必要とする高齢者と介護保険サービスをつなぐ大切な役割をもっています。具体的な仕事は介護サービスを必要とする高齢者とその家族からの相談を受けることで始まります。相談を受けた上で、要介護者を抱える悩みや問題点を浮き彫りにして、介護サービスをどのように利用すれば生活が向上するかマネジメントしていきます。サービスを紹介するだけではなく、介護プランの作成、必要書類の作成代行など幅広い社会保障制度や地域のコミュニティーを巻き込み、親身になって考えることが大切でしょう。
ケアマネージャーの仕事内容は一言では言い尽くせないほど多岐に渡り、上記の仕事のほかにも介護保険の給付請求、提供された介護サービスのモニタリング(きちんとサービスが提供されているか、健康状態の変化はないかなど)、介護保険サービスの新規利用者の獲得などありとあらゆる仕事があります。実際に働く場合、介護施設に所属する人と個人で独立して働く人がいます。
おおよその年収
平均年収は約400万円と介護・福祉業界の中では高めです。介護施設に所属する人の場合、介護福祉士として介護の現場にも関わりながら兼任する人も多いようです。
求められる能力 ~知識と人間性、対人援助能力が大切~
ケアマネージャーになるには「介護支援専門員証」を取得しなければなりません。取得するまでには「介護支援専門員実務研修受講試験」を受ける必要があります。その試験に合格した上で「実務研修」を修了し、各都道府県の介護支援専門員名簿に登録をおこなうことで、介護支援専門員証が交付されます。
もちろん、ケアマネージャーとして働くには介護施設を運営する企業に就職するか、自身で介護相談の事務所を起業するなどしなければなりません。ケアマネージャーへの道のりは決して近くないと言えるでしょう。
実際の業務では、対人援助能力が最も必要とされます。対人援助能力とは、単にコミュニケーションスキルが高いというのではなく、高齢者やその家族がどんな点に困っているのか、日常会話の中から引き出す力です。毎日の生活で困っているシーンはないか、健康状態の微妙な変化などを読み取り、介護福祉士と相談しながら実際の介護プランに反映させていくことが求められます。このようにケアマネージャーは、知識と人間性の両方が求められる、非常に大変な仕事です。
向いている人柄 ~落ち着いた対応のでき、誰かの役に立つことが好きな人~
ケアマネージャーは高齢者やその家族から多くの相談を受ける仕事です。誰からも信頼されるような人柄が何よりも大切です。また、高齢者を相手にする仕事なので、利用者は自分より確実に年上になります。「年下=頼りない」と思わせないくらい、落ち着いてしっかりした対応のできる人が向いています。要介護者やその家族の「困ったな」「助けてほしい」という気持ちに寄り添い、解決に向けて周囲を巻き込んでいける人は、活躍できるでしょう。
仕事のやりがい ~高齢者とその家族の毎日をより良いものにしていく~
初めて介護サービスを受ける不安な高齢者や、介護疲れで生活の余裕を忘れた要介護者の家族たちの笑顔を見られることこそが、ケアマネージャーのやりがいです。また、介護保険制度を利用して、介護サービスを取り入れ、利用者の生活が変化していくことがあります。自分が関わることで、利用者の生活状態が良い方向に変わっていくというところは、ケアマネージャーの仕事の醍醐味です。
仕事の辛いところ ~ストレスフルな環境で人間関係悪化も~
ケアマネージャーは責任のある仕事なので、一般の介護職よりも大きなプレッシャーを感じる場面が多いでしょう。それが仕事を続けていくときの辛さになってしまうことがあるようです。また、介護の仕事は全般的に人材不足の状態が続いているため、かなり多忙な職場です。肉体的にも精神的にも辛いことは多々あります。こうしたストレスのために人間関係も悪くなってしまうこともあるようです。(ライター:二之形幸子)