歯科医 ~歯の健康を守る口腔領域のお医者さん~
仕事の役割 ~むし歯や口腔内の病気全般を治療・予防する~
歯科医は患者さんの歯の治療やむし歯予防を指導することが主な仕事です。むし歯治療のイメージが強いですが、歯周病や歯茎に関する治療、親知らずの抜歯、歯石の除去、入れ歯や義歯をつくります。また、歯の治療だけではなく、口腔内の病気全般、ときには、顎の病気も歯科医のカバー領域になります。たとえば、口腔ガンの早期発見なども歯科医の大切な役割でしょう。
また、最近では、歯を綺麗に見せることに重点を置いた「審美歯科」を専門にする歯科医も増えてきました。歯並びやホワイトニングなど歯の矯正やホワイトニングによって、歯を美しく見せたいという人が増え、そういった要望に応えるだけの技術や知識のある歯医者が求められています。こういったさまざまな技術を駆使して患者さんの口腔内の健康と美を取り戻すことが、歯科医の仕事です。
おおよその年収
平均年収は約650万円と高めですが、立地や医師の技術によって年収に大きな差もあります。例えば開業医の場合、1000万円以上を稼ぐ医師も少なくありません。しかし一方、最近は歯科医院の競争が激化し、なかには年収が200万円~350万円程度の歯科医も増えていると言われています。
求められる能力 ~大学の歯学部は学費も高く、経済力も大切~
歯科医になるには歯科大学や大学の歯学部(6年制)を卒業し、歯科医師国家試験に合格後、さらに1年以上の研修を受けなければいけません。歯科大学や大学歯学部は入学難度も高いうえに、学費も高いので経済力も必然的に求められます。もちろん大学で学んだ知識だけでなく、現場で身につけたノウハウや判断力なども求められまう。
また、歯科医のスキルとして最も必要なのは手先の器用さでしょう。口腔内という狭い範囲でさまざまな器具を使って治療を行うので、器用さや繊細さが求められます。口腔内で歯を削る、噛み合わせを調整するなど、非常に細かな作業を連続して行うので、0.1ミリ単位での作業をこなせるだけの細やかな技術が要求されます。
その他、近年は歯科医院の数が非常に増えているので、単に施術がうまいというだけでなく、歯科医院の雰囲気や経営戦略なども重要な要素になっています。
向いている人柄 ~周囲から信頼され、向学心がある人~
開業医の場合、周囲から慕われる人柄も求められます。患者さんへの対応だけではなく、歯科医院では歯科衛生士や歯科助手などとのチームワークが大切で、コミュニケーション能力は必須です。また、歯科医療の技術進歩は、目まぐるしく、新しい資材や治療法をどんどん取り入れなければいけません。患者さんから頼られる歯科医になるには、専門誌などで知識を得たり、技術講習に行ったりするなど、向上心を持ち続けられる人が向いています。
仕事のやりがい ~患者さんの歯を治療し、感謝される仕事~
歯とは皮膚とは異なり、一度損傷すると再生することはありません。そのため、今ある歯をいかに大切に使うか、適切な治療をして口腔内の不具合を解消するかが大切です。歯の不具合によって、食事が食べられない、痛むなど、深刻な悩みに発展しやすい箇所です。日常生活に直結する部分を治療する医者として、患者さんのために最善を尽くし、感謝されることは何よりもやりがいを感じる瞬間になるでしょう。
仕事の辛いところ ~評判に左右されやすく、競争も激化~
最近ではインターネットで歯科医院の評判もすぐに広まります。患者さんの不満や感想が自分の知らないところで広まり、落ち込んでしまうこともあるでしょう。そのため、昔よりも患者さんに丁寧に気を遣いながら接しなければならない傾向があるそうです。
また、歯は再生しないので一回一回の施術にも気を遣います。歯科医院も非常に増えて、競争も激化しており、開業したものの、一般の会社員よりも年収の低い歯科医も年々増えているようです。(ライター:二之形幸子)