圧迫面接にどう立ち向かう?予期しておきたい6つのパターン
面接の中でも、特に心理的負担が大きいとされるのが「圧迫面接」です。圧迫面接は、応募者のストレス耐性やコミュニケーション能力を測る手段として行われますが、行き過ぎた場合にはハラスメントと見なされることもあります。
今回は、圧迫面接の目的やパターン、具体的な対処法を紹介し、読者が冷静に対応できるような心構えを提供します。これにより、読者がより自信を持って面接に臨むためのサポートとなれば幸いです。
圧迫面接とは?その目的
圧迫面接とは、面接官が意図的にストレスを与えることで、応募者の反応を試す形式の面接です。「本音を引き出す」といった目的もありますが、最も重視されているのは、「顧客対応において、プレッシャー下でも冷静に対応できるかを見極めること」です。
特に営業職や対人業務の多い職種では、取引先とのやり取りで日常的にストレスにさらされる場面が少なくありません。しかし近年では、不当な顧客行為が「カスハラ(カスタマーハラスメント)」として問題視されており、こうした認識は今後さらに広がると見られます。
とはいえ、どの行為がハラスメントに当たるかの判断は、常に明確であるわけではありません。たとえば、大口顧客や富裕層の個人顧客からハラスメントに近い行為を受けた際に、感情的に「失礼です!」と反応すると、ビジネスに大きな影響を及ぼす恐れがあります。そのため、企業はあらゆる状況で冷静に対処できる人材を求めているのです。
圧迫面接のパターン
圧迫面接には、以下のような典型的なパターンがあります。これらを知っておくことで、「圧迫面接」を予期することが可能になり、実際に遭遇した際の対策が取りやすくなります。
1.威圧的な態度
面接担当者が大声を出したり、冷たい視線で応募者を見つめたりすることで、応募者を萎縮させます。こうした態度は、応募者の冷静さを試す意図があります。
2.否定的な発言
「君には無理だ」「この業界には向いていない」といった発言で応募者の自信を揺さぶります。これは、応募者が困難な状況にどう反応するかを確認するためです。
3.無反応
面接担当者が応募者の発言に対して無表情で無反応を貫くことで、応募者に不安を感じさせます。これにより、応募者の精神的な耐久力を試すことが目的です。
4.執拗な質問
同じ質問を何度も繰り返す、または「なぜ?」と執拗に追及することで、応募者の対応力を観察します。これは、応募者がプレッシャー下でどのように反応するかを見るためです。
5.答えにくい質問
「日本には電柱が何本あるか?」など、即答が難しい質問をすることで、応募者の思考力や対応力を測ろうとします。こうした質問は、応募者の論理的思考力や問題解決能力を評価する目的があります。
6.不適切な質問
出身地や家族構成など、採用に直接関係のない個人情報を質問することもあります。こうした質問は、応募者の個人的な領域に踏み込む不当な手法とされ、違法となる場合もあります。
圧迫面接への対処法
圧迫面接に直面した際には、以下の対処法が有効です。
1.単なるテストと割り切る
圧迫面接を受ける際には、あくまで選考の一環であると考え、試験的な場面だと割り切ることが重要です。この心構えが、冷静さを保つための助けとなります。
2.疑問点を丁寧に聞きかえす
意図があいまいな質問をされた場合、「恐れ入りますが、ご質問の件はこういう意味と理解してよろしいでしょうか?」などと疑問点を丁寧に聞き返すことで、感情的なやりとりを、論理的な会話に引き戻すことができます。
3.意外性とユーモアで切り抜ける
例えば「趣味が読書とはずいぶん平凡ですね」と質問されたときに「実は◯◯に関する本が好きでして」などと、意外性のあるネタをこちらから振って雰囲気を変えることも考えられます。
あえて自虐的なユーモアでその場をなごませる方法もあるでしょう。なお、あくまでも相手の考えを肯定的に捉えて笑いに変えることが大事で、否定的に捉えた皮肉で返すと雰囲気が悪くなります。
4.「わかりません」という勇気を持つ
答えにくい質問には、無理に答える必要はありません。分からない場合は「すみません、わかりません」「申し訳ありませんが、その件については全く無知でして」などと正直に答えることも、冷静さを保つための一つの手段です。
5.低姿勢かつ努力をアピールする
「君のキャリアは平凡すぎると思わないか?」「この業界で成功できる根拠は何?」といった圧迫的な質問に対しては、過去の実績をもとに論理的に反論できない場合には、感情的な反論ではなく、謙虚さや前向きさ、そして成長意欲の強さを穏やかにアピールすることが得策でしょう。
6.深呼吸して落ち着く
緊張した場合は、一度深呼吸をすることで気持ちを落ち着けることができます。呼吸を整えることで、自分のペースを取り戻し、冷静な対応が可能になります。
圧迫面接はハラスメントに
近年、圧迫面接はハラスメントとして社会的に問題視されるようになっています。企業側もコンプライアンス意識の高まりから、透明で公正な選考プロセスへの移行を進めています。
ストレス耐性を確認するためだからといって、候補者を唐突に怒鳴りつけてよいわけがなく、例えばシミュレーションと断ってから始めるなど他の方法を考えるべきでしょう。
圧迫面接が行われたことがSNSに投稿されて企業イメージが悪化するなどのリスクもあり、多くの企業がその手法を見直しつつあります。応募者としても、自分の権利や尊厳を守るために、理不尽な面接を受けた場合は慎重な判断が必要です。
面接は厳しい「選考」の場でもある
面接担当者が圧迫面接を正当化する理由として、「顧客対応の場面では、それ以上のプレッシャーに直面することがある」といった考え方が挙げられます。しかし、最近では「カスハラ(カスタマーハラスメント)」が問題視されているように、ストレス耐性を測る方法についても改善が求められています。
一方で、面接は厳しい「選考」の場でもあります。社会には自分とは異なる考え方や価値観を持つ人が多く存在し、そういった人たちと接するたびに、「不快だ」「ハラスメントだ」と過剰に反応するのでは仕事に支障が出る場面もあります。
そのため、面接担当者が「精神的にタフな人材を採用したい」と考える背景も理解しておくべきです。もし、その仕事に本気で就きたいと思うのであれば、こうした側面に対する覚悟も必要かもしれません。