会社が傾く7つの予兆とは?経営悪化を見抜くサインを知る
会社の経営が傾きかけているとき、その兆候はしばしば間接的な形で現れます。こうしたサインを見逃さないことは、自らのキャリアを守るために重要です。
これらの兆候は、表面的には小さな変化に見えるかもしれませんが、会社の安定性や将来性に直結する重要なサインです。経営状況に疑念を持ち始めたときの判断材料として、ぜひ参考にしてください。
1.人材流出・社員の健康悪化
人材の流出や社員の健康悪化は、会社内部で問題が生じている予兆です。
(1)中堅社員の退職が相次ぐ
中堅社員は会社の財務状況や経営方針の混乱に敏感で、問題を感じ取ると転職を選びます。中堅社員の流出は会社のノウハウの喪失を招き、残された社員の負担を増やすことでさらなる人材流出を引き起こすことがあります。
(2)休職者が増えている
休職者が増えることは、過剰な業務負荷やストレスの増加を示すサインです。特に精神的な負担による休職が多発する場合、マネージャーが社員をケアできておらず、会社が社員の健康を十分に守れていないことの現れとなります。
2.長時間労働の常態化
長時間労働の常態化は、経営が人材不足や業務過多に対処できていないことを示す重要な予兆です。
(1)サービス残業が常態化している
サービス残業は違法であり、会社が業務負荷を適切に管理できていないことを示します。社員が長時間働くことが当たり前になっていると、経営陣が労務管理を軽視していることがわかります。これにより、社員の健康やモチベーションに悪影響が及び、離職を考える社員が増加します。
(2)人手不足が慢性化している
慢性的な人手不足が続く場合、会社が必要な人材を十分に確保できていないことを示します。これは採用活動に人やお金のリソースが割けていないことが原因です。既存の社員に過剰な業務負担がかかり、休職や離職がさらに加速するリスクが高まります。
(2)休憩や有給取得を抑制している
休憩時間が取りにくかったり、有給休暇が取得しにくい環境は、社員の働きやすさを著しく損ないます。こうした状況が続くと、社員は会社への不信感を強め、早期の離職を考え始める可能性が高くなります。適切な休息が取れない状況が続くと、社員の健康やプライベートが犠牲になり、転職意欲が高まる要因となります。
3.財務状況の悪化
会社の財務状況が悪化することは、社員の生活に直接的な影響を与え、不安感を増幅させる重要な予兆です。
(1)給与遅配や賞与削減が生じる
給与の遅配や賞与の削減は、会社が資金繰りに苦しんでいることを示します。社員にとって、給与や賞与は生活の基盤であり、これが不安定になるとモチベーションの低下や離職の増加を招きます。このような財務問題は、社員同士の信頼関係にも悪影響を及ぼし、職場の雰囲気が悪化する原因となります。
(2)支出の遅延が生じる
仕入れ代金の支払いが遅延したり、オフィス設備の修理やメンテナンスが後回しにされるなど、会社が業務に必要な支出を遅らせると、取引先との信頼関係を損ねるだけでなく、業務の効率を低下させるリスクがあります。
(3)資金管理が不透明
資金の使途が不透明な場合も、財務管理に問題があると考えられます。たとえば「新規事業の投資」と説明されていた支出が結果を生まないまま続いたり、経営陣の高額な出張費や不明確な経費が増える場合などです。
4.コスト削減の過剰化
従業員に対して過剰なコスト削減を求めるのは、会社の財務状況が悪化している予兆です。
(1)過度なコスト削減が求められる
オフィスの備品不足や業務機器の更新停止など、必要な経費が削減される場合、会社の持続的な経営に支障をきたす兆候です。これにより、社員の業務効率が低下し、不満が増します。
(2)福利厚生や研修が削減される
福利厚生の削減や研修の中止は、社員の成長機会を奪うだけでなく、モチベーションを下げる要因となります。こうした状況は、社員が将来性を疑い、転職を考えるきっかけとなります。
(3)必要な採用活動が停止される
必要な人材の採用が停止される場合、会社が人件費削減を最優先していることがわかります。これにより、既存の社員の業務負担が増し、職場全体の士気が低下します。
5.経営の混乱や戦略の不明確さ
経営の戦略が一貫しておらず、混乱している場合、会社の成長が停滞する予兆です。
(1)脈絡のない新規事業に手を出す
脈絡のない新規事業に手を出すことは、会社が短期的な利益を追求し、リソースを無駄にしていることを示します。これにより、社員は会社の方向性に疑念を抱き、モチベーションが低下します。
(2)経営陣が頻繁に交代する
経営陣が頻繁に交代する場合、会社の経営が不安定であることを示します。社員の間に不信感が生まれ、組織の一体感が失われる原因となります。
(3)不明確な戦略が放置される
社員が「会社は何を目指しているのか分からない」と感じることで、不安感が増大し、離職を考える要因となります。
6.雇用形態の不安定化
雇用形態の変化は、短期的なコスト削減を最優先する経営方針を示す予兆です。これは、会社が財政的な余裕を失っていることの表れでもあります。
(1)非正規雇用を増やしている
非正規雇用の増加は、会社が人件費の削減を進めていることを示します。これにより、正社員の不安感が増し、職場の一体感が失われるリスクが高まります。
(2)人員整理が行われる
突然の解雇や人員整理は、会社の経営が苦しい状況にあることを直接示します。これにより、社員の信頼が損なわれ、組織全体の士気が低下します。
7.社内の活気や連帯感の欠如
社内の活気や連帯感が薄れることは、会社が社員のモチベーション維持に対する取り組みを怠っている予兆です。
(1)会社負担のイベントが縮小している
会社負担のイベントや福利厚生が縮小されることは、社員のモチベーションを保つための取り組みが不足していることを示します。これにより、社員同士の交流が減少し、職場の一体感が損なわれます。
(2)社員の不満や愚痴が増えている
社員間で不満や愚痴が増えることは、会社全体の連帯感が薄れていることを示します。これにより、職場の雰囲気が悪化し、転職を考える社員が増えることが多くなります。
いち早く辞める以外の道もある
会社が傾くとは、要するに「売上利益が減少し、会社の資産が不安定になる」ということです。これは事業環境の変化によって起こるものも含めて、経営陣のマネジメントの不備によるものです。
予期せぬ事業環境の変化によって、コスト削減やリストラが行われるかもしれません。その際に、いち早く会社を辞める道もありますが、正しい方向で軌道修正が図られているならば、立て直しに貢献することも考えられます。
したがって、ここであげた「予兆」も、その原因にさかのぼって解決を図ることで「会社が傾く」状態を改善することが可能な場合もあります。その経験は、自らのキャリアの中で行きていくかもしれません。