会社を辞めずに新たな仕事を見つける「社内転職」
仕事を進めていると、「今とは違う仕事がしたい」と考えることがあります。就職・転職直後でイメージギャップを感じたり、あるいは熟練して他へのチャレンジ意欲が生まれたり……。しかしそんなとき、すぐに転職を考えればいいかと言えば、必ずしもそうではありません。会社を辞めることなく仕事を変える「社内転職」についてご紹介しましょう。
転職が必ずしも成功に繋がるとは限らない
転職すれば、確かに今とは違う仕事に就けるかもしれません。しかし違う仕事=異職種への転職は、思いのほか難航するケースが多く見られます。また、もし転職できたとしても、実際には新たな仕事が自分に合わなかったらどうでしょうか? 無理に続けてストレルが溜まる、耐え切れず早期退職してしまう、などの可能性が考えられるでしょう。いずれも、転職成功とは言いがたい結末です。
キャリア形成のうえで、転職はとても有効な手段です。しかし安易な転職はそのメリットを得ることなく、むしろマイナスになることも認識しておきましょう。転職せずに今の課題を解決できるなら、それに越したことはありません。そのための方法として挙げられるのが「社内転職」です。
異動や兼務など社内でできることを探そう
社内転職とは会社を辞めて転職するのではなく、同じ会社内で異なる仕事に就くというもの。具体的には、異動や他部署・他業務の兼務などが挙げられます。
例えば営業職を通じて「外勤より内勤が良いな」と感じれば、事務・管理部門などへ異動願いを出してみてください。必ずしも受け入れられるとは限りませんが、特に人事異動のタイミング次第ではポジションの空きがあるかもしれません。自社の採用情報をチェックし、求人している部門・職種にアプローチしてみるのも良いでしょう。
あるいは会社によって、2部署に在籍する兼務体制を可能としている場合もあります。ただしこの際にはいずれかがメインとなり、両立する必要があるので仕事は大変です。既存部署に限らず、例えば新規プロジェクトに手を挙げることで、未経験の分野にトライできる可能性もあります。内々で担当が決定してしまうこともあるので、チャンスを逃さぬよう、日頃から社内へアンテナを張っておいてください。
いずれの場合でも、日頃から先輩・上司あるいは人事担当者へアピールしておくことが大切です。「この人はどういう仕事がやりたいのか」を知ってもらうと、ポジションが生まれた際に声を掛けてもらえる可能性が高まります。もちろんそのうえでは、現在の仕事でしっかりと成果を出すことが大切。特に兼務の場合には、現在の仕事を余裕でこなせるようでなければ、すぐにパンクしてしまうでしょう。
社内転職もキャリア形成に役立つ
社内転職が実現できれば、その後のキャリアにも大いに影響を及ぼします。例えば営業職からWeb業界に興味を持ち、自社サイトの運営を兼務させてもらえたとしましょう。専門企業ではないため、経験できる範囲は限られます。しかしその経験をもとに転職活動をおこなえば、まったくの未経験と比べて「最低限の知識がある」など高評価を得られるはずです。もちろん、社内転職の末、「やっぱりこの仕事は自分に合っていなかった」と思い知ることもあるでしょう。それでも、転職後にミスマッチに気づくことに比べれば、“転職する前に現実を知ることができた”ことはメリットと言えるでしょう。
転職という新たな道へのチャレンジも良いですが、キャリアチェンジが同じ会社内でできないか、確認してみるのもいいのではないでしょうか。(ライター:ナレッジ・リンクス/三河賢文)