転職面接で「趣味」を聞かれたときに注意すべきこと
転職面接では、志望動機や経験についての質問のほか、「趣味」について聞かれることがあります。一見、仕事に関係のない話題のように感じられますが、応募者の人柄や性格、価値観、さらには仕事への適性やストレス管理能力まで見抜こうとすることもあります。
企業文化やチームとの相性を確認するための材料とされることもあり、面接全体の印象を左右する重要なポイントにもなりえます。今回は、趣味の質問に対する適切な対応方法と答える際の注意点について解説します。
趣味を聞く面接担当者の意図
面接で趣味を聞かれる背景には、以下の5つの意図があります。
1.アイスブレイクの役割
趣味について話すことで、面接の最初の緊張をほぐし、リラックスした状態で会話を進めることができます。これは応募者が本来の自分を見せる機会を提供し、よりフラットなコミュニケーションを図ることを目的としています。
2.人柄や性格を知るため
趣味は応募者の興味や価値観を反映するため、趣味の内容を通してその人の人柄や性格を理解しようとしています。例えば、アウトドア系の趣味を持つ人は行動的でチャレンジ精神があると見られ、一方で読書を好む人は深く物事を考えるタイプと判断されることがあります。
3.仕事への適性を測るため
趣味と仕事の適性が関連していることも多々あります。例えば、チームスポーツを趣味としている人は協調性が高く、プロジェクトを円滑に進められると評価されることがあります。また、ITやデザインに関する趣味があれば、その職務に対して高い関心を持ち続ける人材と捉えられやすくなります。
4.ストレス解消法を確認するため
趣味に熱中することで得られる経験やスキルは、仕事のモチベーションやストレス管理にも活かされることがあります。例えば、長期にわたって趣味を続けている場合、目標達成や計画性の高さを示すことができ、ストレスを趣味で上手に発散していることがわかれば、職場環境においても安定してパフォーマンスを発揮できると見られることがあります。
5.社風とのマッチングを図るため
企業文化やチームとの相性を確認するためにも、趣味の内容が聞かれることがあります。特定の趣味が社内の他のメンバーと一致していれば、コミュニケーションが円滑に進み、仕事がスムーズに進行する可能性が高いと評価されることがあります。
趣味を答える際の留意点
趣味について聞かれた際に注意すべきポイントは以下の通りです。
1.長々と話しすぎないこと
趣味について話し始めると、つい熱が入りすぎて長話になってしまうことがありますが、面接の主題はあくまでも仕事です。趣味に関する話題は手短にまとめ、話しすぎないよう心がけましょう。趣味の内容を伝えた後、仕事に活かせる経験や学んだことを一言添える程度が適切です。
2.嘘をつかないこと
興味を引こうと実際にない趣味を答えたり、趣味を過大に装ったりするのは避けましょう。面接担当者に見抜かれる可能性があるうえ、信頼を失うリスクが生じます。また、入社後にその嘘が発覚すると、社内での人間関係にも悪影響を及ぼしかねません。
3.ネガティブな印象を与えないこと
犯罪に関わりかねないものはもちろん、ギャンブルや過度な飲酒、政治・宗教に関する趣味は、企業にネガティブイメージを与えかねません。たとえ個人的に熱中しているとしても、面接の場では控えるのが無難です。
4.仕事への支障を懸念させないこと
例えば、夜遅くまでゲームをする、長期間にわたる海外旅行など、生活リズムに大きく影響する趣味は、仕事への影響を懸念されることがあります。
「ハイクラス転職」における例外
一般的には高額な趣味を挙げることは避けるべきとされていますが、ハイクラス転職においては、むしろゴルフやワイン、クラシック音楽鑑賞などの文化度の高い趣味が有利に働くこともあります。以下の点に注意して答えると、面接担当者に好印象を与えやすくなります。
1.教養・知識の深さを示唆
例えば、ワインやクラシック音楽への造詣を示すことは、教養の高さや知的好奇心の強さを伝えることができます。顧客が富裕層の場合には、話を合わせやすいという印象をもたれるかもしれません。
2.人脈づくりの機会としてアピール
例えばゴルフは、ビジネスシーンでのコミュニケーション手段としても有名です。趣味を通じてどのように人脈を広げたか、あるいはビジネスの場でどのように役立てているかを具体的に話すことで、アピールにつなげる方法もあるかもしれません。
3.趣味への没頭を感じさせないように
文化度の高い趣味は高評価につながることが多いですが、仕事より趣味に重きを置いていると捉えられないよう注意が必要です。あくまでも仕事優先を前提に、趣味をどのように生活に取り入れているかを伝えましょう。
趣味の話題は避けるべきか
面接で趣味の話題をする意義はあるという見方がある一方で、趣味を聞くべきではないという考えもあります。
趣味はプライベートな部分であり、職務に直接影響を与えるものではないとか、趣味によって面接担当者が不当な偏見を持ち公平な評価ができなくなる(例えばひいきのスポーツチームが違う場合など)という懸念もあります。
とはいえ「言う必要はありません」と喧嘩腰になってしまっては、面接担当者の印象を悪くしてしまいます。
面接成功のカギは、面接全体を通じて自分らしさを見せつつ、企業の求める人材像とのマッチングを意識した回答を心がけることです。それに沿った回答が難しい場合には、趣味の話は無難な範囲でとどめておいた方がよさそうです。