「出戻り転職」の注意点&成功のコツ
一度は退職したものの、何らかの事情でその企業へと再び転職してくる……。これを「出戻り転職」と言います。会社から離れることで改めて環境の良さを実感するなど、その理由はさまざまでしょう。働く側からすれば仕事内容や社内ルール、人間関係などが分かっていますので、比較的スムーズに仕事が開始できるメリットがあります。
しかし出戻り転職は、必ずしも良いことばかりではありません。出戻り転職する前に認識しておきたい注意点、そしてそれを成功させるためのコツをご紹介しましょう。
出戻り転職での注意点
通常の転職とは異なり、出戻り転職ではいくつか注意すべき点があります。ここで4つの点を取り上げますので、事前に理解しておきましょう。
1. 出戻りが受け入れられない場合がある
出戻りは、すべての企業で受け入れているわけではありません。中には社内規定でNGとしている場合もあり、出戻り転職の可能性がある場合には、退職前に確認しておきましょう。もし受け入れている場合でも、他の転職者と同じように選考を経ての入社となるケースも少なくありません。その場合、いくら過去に在籍していたとしても、不採用になる可能性があります。出戻り転職が100%採用を約束されたものではないことは、予め認識しておいてください。
2. 以前と同じポジションに配属されるとは限らない
出戻り転職で過去に在籍していたポジション(部署、役職など)に就けるわけではありません。あなたが退職したことで、企業は新規採用あるいは社内異動などをおこなったはずです。場合によっては以前と異なる職種や部署だったり、同じ部署でも以前の部下が上司になったりというケースが考えられます。これにともない、給与待遇も以前とは異なる可能性がありますので、注意してください。
3. 周囲から冷たい目が向けられることがある
出戻り転職は誰もが歓迎しているわけではありません。たとえ企業として受け入れたとしても、同僚・上司の中には「なんで戻ってきたの?」と冷たい視線を送る人がいるでしょう。これは円満退社であっても同じこと。また、出戻りということは、転職先で上手くいかなかったと見られます。「転職先で活躍できなかったのかな」など、出戻り転職に対してマイナスな評価を持たれることもあるはずです。いったん“冷えてしまった”状態から新たに人間関係を築いていくことは、想像より困難なことかもしれません。
4. 以前よりも大きな成果を求められる
出戻り転職では、以前に在籍していた際よりも大きな成果を求められることが少なくありません。先に挙げた人間関係などは、受け入れる側にとってもリスクとなる要素。それでも出戻りするのであれば、通常の転職者と比較しても成果を求めるのは当然でしょう。成果を挙げられなければ、「どうして戻ってきたの?」など反応も厳しくなります。
出戻り転職を成功させるコツ
もし出戻り転職する可能性が少しでもあるならば、まずは退職前からしっかりと成果を出しておかなければいけません。たいした成果を挙げなかった人材を、再びわざわざ受け入れようとは思わないからです。もちろん、人間関係についても同様。円満退社によって会社とわだかまりを残さないだけでなく、社員から「あの人なら戻ってきてもらっても良いな」と思われるような関係が求められます。
もちろん、転職活動時にも工夫が必要です。まず聞かれるのは、「なぜあのとき退職したのか」といった内容でしょう。たとえ前向きな理由だったとしても、自社に何かが足りなかったから退職したと考えるのは当然のこと。それを踏まえ、志望動機をしっかりと練っておく必要があります。もし退職時の理由が「キャリアアップを目指すため」など前向きなものでも、裏を返せば、企業にとって「自社ではこの人の目指すキャリアが用意できなかったのだ」と判断されるのです。
出戻り転職を遂げている方は少なくありません。しかし通常の転職とは異なる側面を持ち、対応や心構えとして注意すべき点が多々あります。もちろん、一度は退職しているわけですから、そのときと同じような悩み・不満を抱くことは十分に考えられるでしょう。1つの選択肢として捉えながら、よく考えて決断してください。(ライター:ナレッジ・リンクス/三河 賢文)