会社倒産による転職時の注意点
ここ数年の日本国内の企業倒産件数は、毎年およそ1万社。これだけの数であれば、勤め先の会社が倒産することは決して珍しいことではありません。これは企業の規模を問わずに言えることです。しかしそうなれば、当然ながら社員は新たな職場を探さなければいけなくなるでしょう。そんなとき、次のような不安・疑問を抱くかもしれません。
「会社の倒産って転職時にマイナスなのでは?」
「勤め先が倒産するとキャリアに傷がつくのでは?」
「いざ倒産して次の勤め先が見つからなかったら」
そんな不安を拭うべく、ここで会社倒産による転職時の注意点を解説します。いざという時のために、参考にしてください。
会社の倒産は転職でマイナスとなるのか
会社の倒産が原因で転職する場合、「倒産するまで勤務し続けて転職する」「倒産を予見して事前に転職する」という2パターンがあります。それぞれのケースで状況が違ってきますので、注意してください。
<倒産まで務めて転職する場合>
あなたが現場の一社員であれば、倒産を止めることはできないでしょう。そのため、職を失うのも会社都合であり、「やむを得ない転職」というかたちになります。したがって、面接などでも倒産がマイナス評価となることは基本的にありません。転職面接でも、倒産してしまった事実を正直に伝えましょう。
<倒産を予見して事前に転職する場合>
倒産を予見しての事前転職は、退職理由が自己都合となります。経営状況などは外部から見られるものではなく、志望企業や面接官には倒産するか否かを判断する材料がありません。そのため「何か本当の理由を隠しているのでは?」「会社のせいにしているのでは?」など、疑惑を抱かれてしまう可能性もあるでしょう。「本当に倒産するこを見越して転職しているのか?」と退職理由について、深掘りされるかもしれません。
次の勤め先が見つからない可能性
殆どの場合、勤務先の倒産は突然のようにやってきます。また事前に分かっていても、倒産直前は何かとバタついてしまい、転職活動にあまり時間が割けないかもしれません。そのため、場合によっては退職後すぐに仕事へ就けず、ブランクが空いてしまう可能性を考えておきましょう。
こうしたケースでの転職活動は、人材紹介会社を活用するのも1つの方法。求人情報を探したり面接日程を調整したりと、手間のかかる作業を代わりに行ってくれるので効率的です。事前に伝えておけば、退職日に合わせて入社できるよう交渉も行ってもらえます。また、退職した時点で次の勤め先が見つかっていない場合は、まずハローワークへ失業保険の手続きを行ってください。倒産するまで勤務していた際の退職は会社都合のため、すぐ失業手当を受けることができます。失業手当があれば、安心して転職活動を続けられるでしょう。
面接では倒産の事実のみを述べる
突然の倒産によって、現場の社員も少なからず被害を受けます。最悪の場合、給与の未払いなどもあり得るでしょう。社長をはじめとした経営陣や上司に対して、恨み言のひとつも言いたくなるかもしれませんが、転職面接ではそうした悪口はひかえましょう。倒産にいたった経緯と、その中で自分がどのように働いていたか、あくまで事実ベースで説明しましょう。
「倒産なんて自分には関係ない」これは誰もが考えていること。しかし実際のところ、それは突然起こります。もちろん深く経営に関わってきた方であれば、会社倒産は転職時にマイナスとなる可能性があるでしょう。しかしそうでなければ、倒産は大きく影響しないはず。不安になる気持ちを抑え、落ち着いて転職活動を進めてください。(ライター:ナレッジ・リンクス/三河賢文)