転職における年収交渉のポイント
転職するからには現職よりも良い待遇を期待したいところですが、必ずしも年収が上がるとは限りません。一方、たとえ企業側からの提示額が低くても、ちょっとした交渉から年収条件を希望に近づけることができます。もちろん交渉が通るかどうかは、人によって異なります。年収交渉のポイントについて押さえ、「泣き寝入り」とならないようにしましょう。
こんな人なら年収交渉できる
年収交渉は誰でも成功するわけではありません。例えば未経験の業界・職種へ転職するのであれば、交渉の余地はないと考えて良いでしょう。むしろ年収交渉することで、「この人は自分を分かっていない」とマイナスに評価される可能性さえあります。せっかく内定が出ているのに、「それなら条件が合わない」と取り下げになるかもしれません。
年収交渉が可能なのは、あなたが“交渉材料”を持っている場合です。例えば営業職なら「ターゲットとなる業界と強いコネクションがあり、それを転職後も活かせる」、ITエンジニアであれば、「専門書を執筆したほどの確かなノウハウと経験がある」などです。年収を上げてでも「採用する価値あり」と考えさせる何かを提供できるなら、それが交渉材料となるはずです。
ただしこの場合、その根拠となる具体的な内容が求められます。先に挙げたコネクションであれば、どのような企業のどのような人物と繋がりがあるのか。そしてそのコネクションが、転職先でどう活かせるのかについて、しっかりプレゼンテーションしましょう。どれだけの著名人と繋がっていても、「転職先の企業においてどうメリットがあるか」を感じてもらえなければ、年収交渉の素材にはなりません。
中には現職での給与をベースとして、希望年収を提示する方がいます。しかし現職で受けている給与は、あくまで現在の職場での評価。それは転職先企業で保証するべきものではありません。希望額を提示するからには、やはり「転職先でどのように貢献できるのか」の明確なプレゼンテーションが必要です。
年収交渉を切り出すタイミング
年収交渉は、できるだけ内定提示の前に行いましょう。多くの企業では、2次面接以降のタイミングで待遇面に関する具体的な話があります。ここで交渉をおこないましょう。
実際の交渉では、焦って「年収はどのくらいになりますか?」とダイレクトに質問することは避け、最初は企業側の提示する給与を確認しましょう。そのうえで、交渉材料を説明しながら、「このポジションで必ず~~のミッションを達成するつもりです。給与を○○万円とすることは可能ですか?」と投げかけてみましょう。あなたの交渉材料に説得力があれば、企業側も年収アップを検討できるはずです。
年収アップはしなかったが内定はもらえた場合
交渉の結果、希望する年収には届かなかったものの内定はもらえた……。そんなとき、内定を受諾するか迷いどころです。この場合は、「年収○○万円を実現するとすれば、御社でどれくらいの貢献が求められますか?」「御社で年収○○万円を実現させているのは、どのような人ですか?」と質問してみましょう。企業の回答から、希望年収を実現できそうだと判断できれば、内定受諾して入社後に希望年収を目指すのもアリでしょう。
転職では相手企業からの条件提示を待ち、たとえそれが希望に届かなくても、何も言い出せず受け入れてしまうケースが少なくありません。しかし年収は働きに対する対価であり、働くうえでのモチベーションにも大きく関わるでしょう。気持ちよく新天地での仕事に集中するためにも、納得のいく条件で転職できるよう努めてください。(ライター:ナレッジ・リンクス/三河賢文)