転ばぬ先の杖! 失業保険の受け取り方
誰もがスムーズに、ブランクを空けることなく転職できるとは限りません。転職活動が難航すれば、退職した時点で仕事がないという状況も考えられます。あるいは倒産やリストラなど、予期せぬ事態によって突然に転職活動を強いられる可能性もゼロではありません。
そんな際に金銭的な支えとなるのが、失業保険です。しかし退職経験のない方にとっては、その存在こそ知っていても「どうすれば取得できるのか」と疑問が多いでしょう。ここでは失業保険の給付手続きに必要なもの、またその流れなどについて開設します。
失業保険の給付条件
失業保険は、仕事に就いていないからといって誰でも必ず受け取れるものではありません。その給付を受けるには、以下が条件となります。
- 就職する意志があること
- 転職活動へ積極的に取り組んでいること
- 離職日を起点として、過去2年間に12ヶ月以上の被保険者期間があること
つまり、例えば親の介護のために退職して「いずれ就職するけど、しばらくは就職できない」という場合は、条件に合致せず失業保険を受けられません。あくまでも十分な被保険者期間を経ており、「就業意志を持って、現在も積極的に転職活動している」ことが必要です。
失業保険の申請手続き
失業保険の給付を受けるには、まず以下の書類をハローワークに提出しましょう。その際、ハローワークで配布されている『求職申込書』にも必要事項を記入の上、合わせて渡します。
・ 離職票
・ 雇用保険被保険者証印
・ 照明用の顔写真(2枚)
・ 普通預金通帳
・ 本人確認証明書
ハローワーク窓口では簡単な質疑応答があり、特に問題なければ書類を受理。その後、失業保険の受給資格が与えられます。ただし、この時点で失業保険が給付されるわけではなく、以下のような手続きを経る必要があります。
・ 「雇用保険受給説明会」へ参加
・ 「求職活動計画書」の交付とこれに伴う求職活動の実施
・ 定期的な書類申請および面談による認定手続き(4週間に1回)
「雇用保険受給説明会」では、雇用保険受給資格者証、失業認定申告書という2つの書類が配布されるでしょう。これは失業保険の受給に必要なものですので、なくさないようにしてください。また、失業保険の給付は、4週間に1回の認定手続きを繰り返しながら、1回・2回・3回目とそのつど認定・給付が繰り返されます。もしその際に「就職意志がない」と判断されたり、あるいは転職先が決まったりすれば、そこで給付は打ち切りです。転職活動をおこなっている実態を証明するためにも、求職活動計画書を提出する必要がありますが、この計画書は失業保険の受給資格が認められた人に、窓口から交付されます。
失業保険の給付額
ここまで給付条件や手続きについて解説しましたが、実際に失業保険でいくら受け取れるのでしょうか。これは、退職前(直前6ヶ月間)に前職で受け取っていた給与額(ボーナスを除く。残業代や各種手当などは含まる)によって決まります。この給与額を180日で割って『日額給与』を算出し、これに一定の給付率を掛けることで給付額が決定します。この給付率は日額給与および年齢によって異なるので注意しましょう。ご自身の給付率・給付額については、ハローワーク等に問い合わせてください。
ブランクを空けることなく転職先が決められれば、それにこしたことはありません。しかし実際には、そうもいかないケースもありえます。金銭面で余裕がなくなると、転職活動にも身が入りません。単純に生活費をまかなうといった目的だけでなく、安心して転職活動を行うためにも、必要に応じて失業保険を活用してください。(ライター:ナレッジ・リンクス/三河賢文)