ヘッドハンティングされたときの注意点
突然、登録していないはずの人材紹介会社から電話が入り、転職の誘いを受ける……。とびぬけて優秀な成績を挙げていたり、あるいはマスメディアで開発者として取り上げられたりすると、こうしたヘッドハンティングを受けることがあります。海外ではメジャーな転職方法ですが、日本でも少しずつ広がってきました。
ヘッドハンティングを受けると、「自分が認められたのだ」と嬉しく感じるかもしれません。しかし安易にヘッドハンティングの誘いを受けると、いざ転職してから後悔することもあります。ヘッドハンティングを受けた場合、どのように対応すべきか、その注意点を理解し、備えておきましょう。
自分の能力・キャリアを過信しない
ヘッドハンター(転職コンサルタント)は、おもに表には出せない非公開求人を多く扱っています。彼・彼女らは、特出したスキルや知識・経験を持つ人材とコンタクトを取り、企業へ転職させることで、人材紹介料を得ています。
ヘッドハンターの扱う非公開求人は、会社経営や新プロジェクトに関わるような高年収の案件が多いため、ヘッドハンティングの連絡が入った際に、つい「自分はハイキャリアの人間なのだ」などと舞い上がってしまいがちです。しかし転職において、謙虚さはとても大切なこと。おごる気持ちは慢心につながってしまうでしょう。好待遇のポジションを紹介されても、こうした高慢な態度が見抜かれてしまい、せっかくのチャンスをふいにしてしまう人も大勢います。ヘッドハントされても、あくまで“キャリアの選択肢のひとつ”と考え、冷静に受け止めることが大事です。
待遇条件だけに惑わされない
ヘッドハンティングでは、やはり給与待遇など好条件での声がけが多いでしょう。現職での待遇によりますが、驚くような条件に即答で話を受けたくなるかもしれません。
しかし高待遇には、それだけの理由があるもの。例えば残業など過酷な労働条件だったり、相当な経験値を求められるポジションだったり……。前者であれば「給与が良いのだから」と自分を納得させられるかもしれません。しかし後者の場合、企業側の求めに対して力不足だと、期待がストレスになったり、そのためにすぐ降格が起きたりする可能性も考えられます。待遇条件はもちろん転職における大切な指針ですが、それだけに惑わされないよう注意しましょう。
企業研究や比較検討は念入りに
ヘッドハンティングで起こりがちなのが、たいして企業研究もせずに入社してしまうケースです。もちろんヘッドハンターは、企業あるいは求人情報などについて説明してくれるでしょう。しかしそれは一面に過ぎず、説明のない部分に落とし穴があるかもしれません。あるいはよく調べてみると、同じような仕事・ポジションでより高待遇な企業がある場合も。
そのため、ヘッドハンターの話に興味があればこそ、自身でも念入りに企業研究や他社との比較を行いましょう。その中で疑問・不安があれば、ヘッドハンターに確認するようにしてください。こうした必須フローは、通常の転職活動を変わりません。
“アームハンティング”の可能性もある
ヘッドハンターは、人材を企業へ転職させることで人材紹介料を得ています。そのため、「誰でもいいから、とにかく人手不足の会社に転職させよう」と考える、質の悪いヘッドハンターも少数ながら存在します。
こうした人材紹介の手法はアームハンティングと呼ばれ、単なる人材の穴埋め的に人材を転職させます。転職者に対して、甘い誘い文句や過大な宣伝で企業を紹介することも多く、転職してから「だまされた!」と気づくこともあります。「本当に自分のキャリアが求められてヘッドハントされたのか?」と問いかける必要があるでしょう。
ヘッドハンティングの連絡は、いつ、誰に訪れるか分かりません。何気なく掲載された外部メディアの取材記事が目に止まり、思わぬ企業から声が掛かることもあるでしょう。いざとなって舞い上がったり慌てたりしないよう、ここでご紹介した注意点を踏まえ、心構えを持っておいてください。これは、自ら進んでヘッドハンターと接点を持ちたいと考えている方も同様です。(ライター:ナレッジ・リンクス/三河賢文)