【例文あり】面接で「他社の選考状況は?」と聞かれたときの答え方
「他社の選考状況は?」――。この質問、就職や転職の面接でよく出てきますよね。聞かれた瞬間、どきっとした経験はありませんか?
「他社の選考状況」を聞かれることは、決してネガティブなことではありません。むしろ、あなたの価値を認めているからこそ、聞いてくるのです。しっかり準備をして、自分の言葉で誠実に答えれば、必ず良い印象を残せるはずです。
なぜこの質問をされるの?
まず、なぜ面接担当者がこんな質問をするのか、考えてみましょう。
1.あなたの企業の選定基準を理解したい
あなたが就職・転職先の候補としてどのような企業を選んでいるのか、その基準を知りたがっています。
2.この会社への興味度合いを探りたい
あなたが本当にこの会社で働きたいと思っているのか、確認したいのです。
3.採用の緊急度を測りたい
もし他社から内定が出ていれば、採用の意思決定を急ぐ必要があるかもしれません。
4.あなたの市場価値を確認したい
他社からの評価を知ることで、あなたの実力を測ろうとしています。
5.他社と比べてどう思っているか知りたい
自社の強みや弱みを、候補者の目を通して理解しようとしています。
つまり、「本当にうちに来たいの?それともただの保険?」と入社意欲が高いかを確認のために聞いていること多いのであなたの魅力をアピールするチャンスと捉えましょう。
こんな風に答えてみよう!
それでは、具体的な回答例を見ていきましょう。状況に応じて、以下のような答え方ができます。
1.この会社が第一志望の場合
「はい、正直に申し上げますと、他社の選考も並行して受けています。ただ、御社が私の第一志望であることに変わりはありません。特に[具体的な理由]に強く惹かれていて、自分のキャリアプランを考えたときに、ここで働くことが最も自分の成長につながると確信しています」
具体的な理由の例:「特に御社の『グローバル人材育成プログラム』に強く惹かれています。私は将来、国際的な舞台で活躍したいと考えているので、御社の環境は私の目標達成に最適だと感じています。他社にも魅力的な点はありますが、このプログラムは御社にしかない強みだと思います」
2.まだ迷っている場合
「はい、現在いくつかの会社の選考を受けている段階です。正直なところ、まだ最終的な判断には至っていません。ただ、御社には大変興味を持っています。特に[知りたいポイント]について、今日の面接でより詳しくお聞きできればと思っています。それによって、私のキャリアプランと御社がどれだけマッチするか、より明確になると考えています」
知りたいポイントの例:「特に、入社後のキャリアパスについて詳しく知りたいです。例えば、新人研修の内容や、その後のステップアップの機会などです。5年後、10年後の自分をイメージできると、より具体的に御社での未来を考えられると思うんです。他社との比較もできますし、自分の成長プランとの整合性も確認できますから」
3.他社から内定をもらっている場合
「ありがとうございます。実は、他社から内定をいただいている状況です。ただ、御社のような素晴らしい会社の選考に参加できる機会を逃すわけにはいきませんでした。特に[御社の強み]が非常に魅力的で、慎重に検討したいと考えています。もちろん、他社の内定を盾に交渉するつもりは全くありません。純粋に、自分のキャリアにとってベストな選択をしたいと思っています」
御社の強みの例:「特に、御社の『イノベーション推進プロジェクト』に大変興味があります。新しい技術やアイデアを積極的に取り入れる御社の姿勢は、私のような新しいことに挑戦したい人間にとって、とてもワクワクする環境だと感じています。他社でも素晴らしい機会をいただいていますが、御社での可能性も十分に検討したいと思っています」
回答する際のポイント
効果的な回答をするために、以下のポイントを押さえましょう:
1.正直に答えよう
嘘をつくのは良くありません。バレる可能性が高いですし、信頼関係を損ねます。現状を素直に話すことで、誠実さをアピールできます。
2.熱意を示そう
その会社で働きたい理由を具体的に述べましょう。会社の理念や事業内容と、自分のキャリアプランを結びつけて説明するとGood!
3.自分の基準を説明しよう
なぜその会社に惹かれるのか、自分なりの判断基準を示しましょう。「給料が高いから」ではなく、「自己成長の機会が多いから」といった前向きな理由を挙げるといいでしょう。
4.相手を尊重しよう
丁寧な言葉遣いを心がけましょう。他社の名前を出すのは避け、一般的な表現で話すのがマナーです。
5.自信を持とう
選ぶのはあなたです。自信を持って話すことが大切です。堂々とした態度は、あなたの価値を高めることにつながります。
6.質問を返そう
答えた後に、「御社では、どのような人材を求めていますか?」など、質問を返すのも効果的です。これにより、あなたの積極性とその会社への興味をアピールできます。
これはNG!避けるべき回答例
次のような回答は避けましょう:
1.「他社のことは気にしていません。御社だけです!」
熱意は伝わりますが、比較検討していない印象を与え、かえって評価を下げる可能性があります。
2.「実は、A社とB社からも内定をもらっていて……」
具体的な会社名を出すのは避けましょう。相手の心証を悪くする可能性があります。
3.「まだどこからも声がかかっていません」
自信がないように聞こえてしまいますし、取り合いになっていない人材は魅力が薄れてしまいます。代わりに「現在、いくつかの会社と選考を進めている段階です」と言い換えましょう。
4.「給料が一番高いところに決めます」
金銭的な条件だけで判断しているように聞こえ、印象が悪くなります。
デキる人に見える面接の実践テクニック
面接では、言葉だけでなく、非言語コミュニケーションも重要です。以下のポイントに気をつけましょう。
声のトーン:落ち着いた、でも熱意のある声で話しましょう。早口にならないよう、適度に間を取りながら話します。
目線:面接担当者の目をしっかり見て話しましょう。ただし、じっと見つめすぎるのは避け、時々視線を外すのもOKです。
姿勢:背筋を伸ばし、少し前のめりの姿勢で座りましょう。腕を組んだり、足を組んだりするのは避けましょう。
表情:軽く微笑みながら、誠実さを表現しましょう。硬い表情や、逆に作り笑顔にならないよう注意が必要です。
ジェスチャー:適度に手振りを交えると、より印象的な回答になります。ただし、大げさな動きは控えめにしましょう。
あらかじめ準備しておきたいこと
この質問に効果的に答えるために、事前に以下の準備をしておくと良いでしょう。
1.自己分析
自分の強みや弱みを整理することが望ましいですが、それだけを掘り下げていっても、面接担当者に伝えるべきことはなかなか見つかりにくいものです。
その場合には、自分なりの「企業選びの基準や軸」を明確にしておくといいいかもしれません。そのような軸に基づいて選考を受けていることを伝える過程で、自分のことを話した方がいいでしょう。
2.企業・業界研究
面接を受ける会社の事業内容、企業理念、最近のニュースなどを調べておくことは大事です。「そこまで調べているのね」と思ってもらえれば好感度につながります。そのうえで、その会社ならではの魅力を3つ挙げられるようにしておけば理想的です。
また、大手企業・上場企業の面接を受ける場合、志望業界の動向、主要企業の特徴を把握し、各社の強み、弱みを比較検討しておくと、面接での会話が円滑に進むでしょう。
3.想定問答の準備
予想される質問とその回答を、箇条書きでメモしておき、友人や家族と模擬面接を行い、答え方を練習しておくと、いざというときに役に立つものです。とはいえ、あらかじめ暗記しておいた長文の回答を「立て板に水」で話すのは歓迎されません。あくまでも自然な対話の形になることを目指します。
決してネガティブな質問ではないと考えて
人手不足の現在、面接はかつてのように「企業が求職者を一方的に選別する場」ではなく、企業側も「求職者/候補者体験」の満足度を上げようとしています。双方がお互いを知る機会だと前向きに捉え、緊張しすぎずに自分の魅力を伝える場だと考えましょう。
繰り返しますが、「他社の選考状況」を聞かれることは、決してネガティブなことではありません。むしろ、あなたの価値を認めているからこそ、聞いてくるのです。
この質問は、あなたの魅力をアピールする絶好のチャンスです。しっかり準備をして、自分の言葉で誠実に答えれば、必ず良い印象を残せるはずです。
面接は怖いものではありません。あなたと会社がお互いを知り、最良の選択をするための大切な機会なのです。リラックスして、あなたの素晴らしさを存分に伝えてください。